「悪友」たちのライブの記録
21世紀に入っても、70年代ロックの「お宝音源」が予告も無く、突然「ポロッ」と出てきたりするので、常にそういう系統の情報にはアンテナをしっかり張っていなければならない。逆に、アンテナを張りつつ、そんな「耳寄りな情報」を探索したするのが面白かったりする。
さてさて、今回、何の予告も無く、突然「ポロッ」と出てきた70年代ロックの「お宝音源」がこれである。Bad Company『Live 1977 & 1979』(写真左)。バッド・カンパニー(以降、略して「バドカン」)のオリジナル・ラインナップ時代のライヴ音源を収めたライヴCD2枚組である。
CD1には1977年5月23日に米テキサス州ヒューストンのThe Summitで行われた公演、CD2には1979年3月9日に英ロンドンのウェンブリー・アリーナ(当時はThe Empire Pool)で行われた公演の音源をそれぞれ収めている。つまり、CD1はオリジナルアルバム『Burnin' Sky』(1977年3月リリース)直後、CD2は『Desolation Angels』直後のライブ音源になる。
日本では「芳しき英国ロックが米国ロックナイズされてしまった」として、セカンド盤の『Straight Shooter』以降、マスコミや評論家が好意的な評論をしなかったこともあって人気が激減、1979年の『Desolation Angels』がリリースされた頃には完璧に「過去の伝説ロックバンド化」していたんだが、このライブ音源を聴くと、米国ではまだまだ結構な人気があったことが良く判る。
僕はこの「バドカン」が意外とお気に入りで、周りの人気が激減したこととは関係無く、貸レコードをベースに新譜はしっかり押さえていた。つまり、このライブ音源に直結するアルバム『Burnin' Sky』と『Desolation Angels』については違和感は無い。
さて、そのライブ盤の内容であるが、当時の「バドカン」がバンドとして如何に充実していたか、を良く理解出来る内容になっている。英国ハードロック・バンドの面目躍如的な演奏で、テンションもほどよく、聴き始めたら一気に聴き切ってしまう。
バドカンの音のベースは、1970年前半に活躍したバンド「フリー」なんだが、フリーの音よりもブルース色を希薄にして、ほどよく洗練されコントロールされたハードロックな音に仕上がっている。その音世界が米国で受けたのも頷ける。この音世界を「商業ロックに走った」として、ロックの風上にも置けない、と息巻いて一切聴かなくなるのはあまりにも短絡的だろう。
今の耳で聴けば、そこはかとなく、ライトではあるがブルージーな感覚は漂っていて、リズム&ビートの重心も低い。米国のハードロックやポップロックと比べたら、その音の違いは歴然としており、このバドカンの音が「米国ロックの音」と同一とすること自体に無理がある。このバドカンの音は「英国ハードロック」の系譜を引き継ぐものである。
とにかく、このライブ音源をフラットな気持ちで聴けば、なかなか「いけてる」バンドの演奏やなあ、と単純に感じることができる。まあ、ロックにしろジャズにしろ、自分の耳で聴いて自分の感性で判断することが大切。他人の評論を鵜呑みにしてばかりだと、自分にとっての「良い音楽」を聴き逃してしまう可能性がある。
しかし、びっくりポンである。よくまあこんな良質のライブ音源が残っていたもんだ。長生きはしてみるものである(笑)。そうそう、ちなみに「Bad Company」って直訳すると「悪友」になります。
震災から5年2ヶ月。決して忘れない。まだ5年2ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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