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2016年5月31日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・82

単純に「フュージョン・ジャズの先駆け」なんて紹介されることの多い盤なんだが、何度聴いても、フュージョン・ジャズの先駆けとは感じない。後のフュージョン・ジャズの音世界とはちょっと違うんだな〜。

エイトビートにファンキー・ジャズを乗せて、ソウル・ミュージックの要素やブルース・ロックの要素を混ぜ込んで、ポップな旋律と踊りたくなるような、足でリズムをとりたくなるような絶妙なリズム&ビートを充てたら、こんな「レアグルーブ」な好盤になった。そんなジャジーなアルバムである。

絶対に根は「ジャズ」である。リズム&ビートはロックでは無い。ソウルである。ジャズとR&Bの融合と言った方が判り易いんじゃないかなあ。ジャズとR&Bを融合して、聴き易い「ポップ」に仕立てた。そんな感じのアルバムである。

そのアルバムとは、Donald Byrd『Black Byrd』(写真左)。1973年リリースのドナルド・バードのヒット作である。録音は1972年4月と11月。ちなみに主なパーソネルは、Donald Byrd (tp), Joe Sample (el-p.ac-p). Chuck Rainey, Wilton Felder (b), David T. Walker (g), Harvey Mason (ds), 加えて、パーカッションを大々的に採用している。

まあ、この主だったパーソネルを見渡すと、その名前だけで「フュージョン・ジャズの先駆け」となっちゃうのかも知れないけど、このアルバムの音はフュージョン・ジャズでは無い。ファンキー・ジャズやソウル・ジャズの延長線上にあって、決して、電気楽器を大々的に導入している訳では無く、決して、音の基本は「ソフト&メロウ」では無い。
 

Black_byrd

 
喩えるならば「ダンス・ミュージック」であり、「ジャズ・ファンク」である。ポップで親しみ易いラウンドなアレンジがなされているので、なんとなく「ソフト&メロウ」に結びつけたくなるが、それはソウル・ミュージックの持つ「柔らかさと滑らかさ」であり、ポップ・ロックと融合した「ソフト&メロウ」では無い。いわゆる「レアグループ」である。

そして、なんといっても、このアルバムでのドナルド・バードのトランペットが素晴らしい。これだけバリバリと吹き進めていくドナルド・バードはなかなか無い。バックのリズム隊のグルーブがポップにダンサフルで、それに触発され、鼓舞され、ドナルド・バードはトランペットを吹きまくる。これがまた良い。

音の方向性としては、エレクトリック・マイルスと同様だろう。エレ・マイルスは硬派でモーダルな、アートを追求したファンク・ジャズだが、エレ・バードは柔らかでソウルフル、ポップを追求したファンク・ジャズ。対極にあるがアプローチの方向は同じ。エレクトリック・ジャズの良好な成果の一枚である。

で、さすがにジャケット・デザインには思わず「仰け反る」(笑)。1973年、フラワー・ムーブメントやサイケデリックの残骸が横たわり、こんなデザインを想起させたのだろうか。このジャケットだと誰も進んで買わんやろな(笑)。でも、中身は一流の「レアグルーブ」。これもジャズです。

 
 

震災から5年2ヶ月。決して忘れない。まだ5年2ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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