マッコイの初リーダー作である
いつの頃からか、マッコイ・タイナーのピアノが意外と好みである。テクニック良く多弁でモーダルな右手、ハンマー打法と呼んでピッタリの「ガーン、ゴーン」と打ち付ける様に弾く左手。とにかく明確で良い。
マッコイ・タイナーは、ジョン・コルトレーンの黄金のカルテットのレギュラー・ピアニスト。しかしながら、僕はコルトレーンのカルテットでバックに回ったマッコイよりも、独立してリーダーとして、ならではの個性的なピアノを弾きまくるマッコイの方が好みである。ということで、マッコイ・タイナーのリーダー作の聴き直しを進めることにした。
まずは初リーダー作である。McCoy Tyner『Inception』(写真左)。1962年1月の録音。1960年にジョン・コルトレーンのカルテットに参入しているので、コルトレーンと共演していた時期に、初リーダー作をリリースしたことになる。
第一印象は、バリバリ硬派のピアノ・トリオである。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p), Elvin Jones (ds), Art Davis (b)。3人ともコルトレーン門下生の優秀どころ。演奏全体の雰囲気は明らかに「コルトレーン・ミュージック」である。しかも、フリーに傾いていない、モーダルな雰囲気。
ベースにアート・デイビス、ドラムにエルビン・ジョーンズという超弩級のトリオで、迫力のあるピアノ・トリオが聴ける。特に、エルビンのドラミングは迫力十分、超絶技巧の極み。アート・デイビスのベースは重量感溢れ、迫力十分。タイナーのピアノは、初リーダー作とはいえ、バリバリに弾きこなしていて立派。
奏法としては、既に「シーツ・オブ・サウンド」のピアノ版的な、音符を敷き詰めた様な、テクニックとスピード溢れる奏法は、コルトレーンをピアノに置き換えた様な雰囲気。それでも、冒頭の「インセプション」などは、初リーダー作ゆえ、前がかり気味な早弾きになりがちで、タイナーの緊張と意気込みが伝わってくるようで微笑ましい。
まだまだこなれていないところもあって、マッコイの個性の確立というところまではいかないが、マッコイのピアノの個性については、この初リーダー盤で十分に聴いて取れる。明らかに、それまでのビ・バップな、ハードバップなピアニストとは一線を画する、明らかに異なる奏法と響き、そしてフレーズ。
当時、このアルバムがリリースされた時、当時のジャズ者の皆さんは、結構驚愕したか戸惑ったか、したんでは無いでしょうか。それほど、この初リーダー作には、新しいジャズ・ピアノの響きが充満しています。ジャズ・ピアノ好きにはマスト・アイテムでしょうか。
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