マッコイの作曲&アレンジの才能
マッコイ・タイナーは、ジョン・コルトレーンの黄金のカルテットのレギュラー・ピアニストとして有名。しかし、マッコイは単なるピアニストでは無い。その作曲能力、そしてアレンジの能力は素晴らしいものがある。
そのマッコイの優れた作曲能力、アレンジ能力は、マッコイのキャリアのどの辺りから発揮されていたのか。それはこの彼のリーダー作を聴けば判る。このアルバムは、マッコイのリーダー作の第2弾。つまりは、マッコイは彼のキャリアの初期の頃から、その作曲能力、そしてアレンジの能力は既に発揮されていたことになる。
そのアルバムとは、McCoy Tyner『Today and Tomorrow』(写真左)。1963年6月と1964年2月の録音のカップリング。ちなみにパーソネルは、1963年6月録音時はトリオ編成で、McCoy Tyner (p), Jimmy Garrison (b),Albert Heath (ds)。1964年2月録音時はセクステット編成で、McCoy Tyner (p), Butch Warren (b), Elvin Jones (ds), John Gilmore (ts), Thad Jones (tp), Frank Strozier (as)。
このアルバムに収録された曲は全てマッコイの作曲になっている。聴けば良く判るのだが、確かにマッコイ独特の曲想、節回し。既にこの時点で、マッコイの作曲の個性は確立されていたことになる。特にモーダルな曲に偏っている様な気もするが、これもマッコイ独特の個性として捉えるべきだろう。
そして、1曲目から3曲目は、テナー、アルト、トランペットの3管がフロントに立ったセクステット編成の演奏なのだが、このセクステットの演奏のアレンジがこれまた良い。しかも、マッコイ独特の響き、音符の重ね方を聴きとることが出来て、なるほど、既にこの時点で、マッコイのアレンジの個性は確立されていたことになる。
1964年と言えば、マッコイは26歳。この盤での作曲能力、アレンジ能力を聴けば、いかにマッコイが早熟だったかが判る。曲想や節回し、音の響き、音符の重ね方等々、後は如何にこなれていくか、だけの状態で、マッコイの個性の基本はもうこのアルバムで確立されている。
モーダルなジャズがメインの、その時代のトレンドを捉えたマッコイの初期の好盤だと思います。マッコイのファンである「マッコイ者」にはマスト・アイテム、そして、モード・ジャズとは如何なるものか、の問いに答える、モード・ジャズ初期のサンプルとしても有効な盤だと思います。
明らかに、それまでのビ・バップな、ハードバップなピアニストとは一線を画する、明らかに異なる奏法と響き、そしてフレーズ。もちろん、マッコイのピアノは実に良く鳴っています。
★震災から5年。決して忘れない。まだ5年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« マッコイの初リーダー作である | トップページ | マッコイの「変わり種」な盤 »
桜満開、卒業の季節ですね。^^
いつもこの季節になるとショパン三昧なのですが(^.^)、特に「別れの曲」などノクターンやワルツ、エチュードのアルバムをあれこれ引っ張り出しては楽しむことが多いです。^^
個人的に一番好きなショパン弾きは、実は若き日の中村紘子でありますが、日本人が思う、日本人にしかできないショパンとして、本場ものといわれる幾多の有名盤より好きです。
日本人のジャズと黒人のジャズの決定的な違いは、そのパワーではないかなあ?と長年思っているのですが(~_~;)生演奏では特にその感を強くします。
プロとアマのバンドの決定的違いはダイナミックレンジの幅だ、とある本で読みましたが、これもクラシックやジャズのオケやフルバンの生演奏では良く経験したことでもありました。
マッイコイの生をかぶりつきで見て、そのパワー感に驚いたことがありますが、日本人のライブ(山下洋スケ他)でこうした驚きを感じたことがないのは、おそらくそのダイナミックレンジの表現の幅の差異なのかなあ?と思ったりしていますです。(~_~;)
投稿: おっちゃん | 2016年4月 3日 (日曜日) 05時06分