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2016年4月23日 (土曜日)

こんなアルバムあったんや・61

癖が無く端正なところがバロンのピアノの個性。平均的に素晴らしいプレイを聴かせるところが、いわゆるピアニストとしての総合力の高さが個性。ハードバップから当時、純ジャズ復古の時代まで、こういうピアニストはいなかった。何かしら強烈な個性を持ったピアニストは多く存在した。しかし、バロンの様な、総合力で勝負する、癖が無く端正な個性を持ったピアニストは珍しかった。

リリカルではあるが耽美的では無い。切れ味鋭いが鋭角な鋭さでは無い。奇をてらった革新的な響きは皆無。アブストラクトな展開にも無縁。とにかくバリバリに弾きまくる。ネオ・ハードバップにつながる正統派な展開。癖が無い。流麗かつ端正である。テクニックは優秀。ファンクネスは希薄。それでいてドライブ感は旺盛。グイグイ弾きまくる力強さはある。逆に繊細な表現も出来る。とにかく器用なピアニストである。

とまあ、あれこれ書いたが、ケニー・バロンのピアノは「癖が無く端正」が個性。これが良い。加えて、バロンはそういうピアニストなので「駄作」が無い。どのアルバムも平均点以上の出来で、これはこれで素晴らしいことだ。どのアルバムを聴いても、期待を裏切られることは無い。

このアルバムもそうだ。Kenny Barron『Landscape』(写真)。1984年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Kenny Barron (p), Cecil McBee (b), Al Foster (ds)。日本発のレーベル、Baystateからのリリース。

いわゆる日本発の企画盤である。加えて、収録曲に「Kojo No Tsuki(荒城の月)」と「Ringo Oiwake(りんご追分)」が入っている。「荒城の月」と言えば「春高楼の花の宴・・・」で始まる滝廉太郎作曲の名曲。「りんご追分」といえば「リンゴの花びらが〜風に散ったよな〜」で始まる、美空ひばりの歌唱で有名な名曲。この2曲がジャズになる。これって「際もの」やん(笑)。
 

Kenny_barron_landscape

 
ということで、このアルバムがリリースされた時は「敬遠」。思い切って購入に踏み切ったのがリリースされた10年後。「際もの」2曲には目を瞑って、他のスタンダード曲「Hush-A-Bye」や「Dear Old Stockholm」に惹かれて思い切って、というのが購入の動機。「癖が無く端正」な正統派ピアニストが弾くスタンダード曲は魅力だ。

で、この『Landscape』、日本発の企画盤の割に意外と内容が良い。まずスタンダード曲が良い。ベースのセシル・マクビー、ドラムのアル・フォスター、そしてピアノのバロン。この組合せ、相性が良いのだろう。実に良い雰囲気のピアノ・トリオの演奏を聴かせてくれる。端正で余裕のあるアドリブ。メロディアスで柔和な展開。

そして、「際もの」と思い込んでいた「荒城の月」と「りんご追分」についてはこれが意外と良い。恐らく、バロンを始め、マクビー、フォスター共に原曲の雰囲気に馴染みがないのであろう、それが良い方向に作用している。日本人だったら、この2曲の雰囲気は直ぐに思い出す。どちらもマイナー調。日本人だったら原曲の雰囲気をドップリ引き継いでジャズにするんで、恐らく「これはあかんわ〜」となると思われる。 

しかし、このトリオはそうはならない。原曲のマイナーな部分を上手く採り上げて、アドリブの展開に回している。アドリブの展開になった途端、原曲の雰囲気を全く引き摺らない。原曲のコード進行を上手く借用して、実に純ジャズなアドリブ展開に昇華している。アドリブ部だけ聴いたら、原曲が「荒城の月」もしくは「りんご追分」なんて全く思いもつかない。

意外と良いアルバムです。「荒城の月」と「りんご追分」については「際もの」と決めつけずに、柔軟な耳で聴けば、ほとんど気になりません。ちなみにジャケット・デザインは2種類あるんですが、僕の馴染みは「写真左」のイラスト・バージョン。こういうのって、最初に購入して初めて聴いた時の盤のジャケットが一番印象に残るようです。

 
 

震災から5年1ヶ月。決して忘れない。まだ5年1ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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コメント

>ケニー・バロンのピアノは「癖が無く端正」が個性
そうですね、同感です。^^

ご紹介のアルバムはたしか日本企画だったと思いますが、「荒城の月」と「りんご追分」も異色でしたよね。笑

外人の演奏する日本名曲ではセロニアスモンクの「荒城の月」やビリーハーパーの「ソーラン節」なども有名ですが、私が感動したのは秋吉トシ子のChildren in the Temple Ground(福島県の民謡「かんちょろりん節」
アルバム「ロングイエローロード」収録)が最初でした。

秋吉さんの祖国ニッポンへの郷愁の気持ちが強く感じれられ、また、「外人の感じた日本」?のような違和感もなく、私に日本民謡への興味を持たせててくれた曲でもありました。

自分が年齢を重ねるにつれ、秋吉さんのアルバムへの愛着が増していく、と実感しています。

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