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2016年3月21日 (月曜日)

ディ・メオラのビートルズ盤

ジャズは結構な数のビートルズのカバー盤を出している。ジャズの大衆音楽としての成熟時期に、ビートルズは英国から米国に上陸してきた。ビートルズの人気の勢いは凄まじいばかりであった。それに便乗するのが、大衆音楽のジャズとしての「手っ取り早い」対抗策だった。

しかし、ジャジーなマイナー調が基本のジャズに、あの当時、革新的なコード進行を持ったビートルズの楽曲とは相性があまり良く無かった様な気がする。大量に制作された、ジャズのビートルズのカバー盤は玉石混交としていた。というか、僕の耳には、優れたビートルズのカバー盤は数が少なかった。

ということで、逆に、ジャズを聴き始めてから、ジャズのビートルズのカバー盤をずっと気にしてきた。ジャズの優れたビートルズのカバー盤は無いか、ジャズとビートルズの相性は良いのか、悪いのか。

最近、このジャズのビートルズのカバー盤に感心した。Al Di Meola『All Your Life(A Tribute to the Beatles)』(写真左)。2013年のリリースなんだが、ちょっと「寝かせて」おいた。アルバムのライナーノーツにはこう記されている。「All guitars and percussion on this recording played by Al Di Meola」。
 

Al_di_meola_all_your_life

 
アル・ディ・メオラのソロ・パフォーマンス。アコースティック・ギターとパーカッションだけの、とってもシンプルな構成で、ジャズのビートルズのカバーが奏でられる。選曲も実にマニアックな選曲で好感が持てる。ビートルズのヒット曲をカバーする、という切り口には目をくれず、アコギで、ジャズのアレンジで弾くに適したビートルズの楽曲を堅実に選んでいる。

とにかくアレンジが優れている。カバーされた楽曲の特性を良く活かしつつ、ジャジーにアレンジされる。ビートルズの楽曲を知っていれば、当然、その「アレンジの妙」を感じることが出来て、大いに楽しめる。逆に、ビートルズの楽曲を知らなくても、純粋にジャズのアコギの好演として十分に楽しめる、そんな優れたアレンジである。

ここまで、ビートルズの楽曲をジャズにアレンジして、そのジャズメンの音に、作品になっている盤もなかなか無い。アル・ディ・メオラの個性はビートルズの楽曲の中でも健在で、ビートルズの楽曲の個性と共存している。恐らく、アル・ディ・メオラは、ビートルズについてかなり造詣が深いと思われる。このカバー盤を聴いていて、ビートルズへの敬愛がひしひしと伝わってくる。

良いアルバムです。冒頭の「In My Life」を聴いていて、グッと惹き込まれます。フレーズを聴けば、これはアル・ディ・メオラのギターであることが直ぐに判ります。久し振りに優れた「ジャズのビートルズのカバー盤」に出会った気がします。

 
 

★震災から5年。決して忘れない。まだ5年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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