ナベサダさんのビッグバンド盤
2015年度も今月で終わり。先月辺りから、ジャズ界の2015年度を振り返って好盤を聴き直す、なんて、ジャズ雑誌みたいな事をやっている。
2015年度はボックス盤などの企画盤に目立ったものは無かったし、新譜も大々的な話題をさらった盤も無かったなあ、と思って、今年度はイマイチだったか、と思いながら選盤していたら、意外と多くの好盤がピックアップされた。案外、2015年度もジャズにとって良い一年だったのかも、と思いつつ好盤を順に聴き直している。
今日の好盤は、渡辺貞夫『I'm with You』(写真左)。014年12月14日Bunkamuraオーチャードホールにてライヴ録音。村田陽一ら日本のトップ・ホーン・プレイヤーによって構成されたスペシャルなビッグ・バンドとの共演。アルバムの宣伝文句を見ると「60年を越えるキャリアの中で初めて、自身のオリジナル曲で固めたビッグバンド盤」とか。へ〜そうなんや。
非常に洗練されたビッグバンドのアレンジ。ビッグバンドの音が邪魔にならない。ビッグバンドの音をバックに、ナベサダさんのアルト・サックスがクッキリと浮かび上がる。クッキリと浮かび上がると良く判る、ナベサダさんのアルト・サックスの音の伸びの良いこと。そして、アルト・サックスが実に良く「鳴っている」。ナベサダさん、まだまだ第一線現役である。
バックのリズム・セクションが良い音を出している。この音の粘りと漂うファンクネスは日本人のものでは無い、と目安を付ける。そして、調べるとやっぱりと納得する。イエロー・ジャケッツのキーボード奏者である、Russell Ferrante (key)。ウェザー・リポートなどで活躍したドラマーである、Peter Erskine (ds)。そして、粘りのある骨太でファンキーなベース音が嬉しいベーシスト、Edwin Livingston (b)。
この外国人リズム・セクションがコンテンポラリーな良い音を出しているのだ。この外国人リズム・セクションの存在、彼らの奏でるコンテンポラリーな音が、このナベサダさんの、自身のオリジナル曲で固めたビッグバンド盤を決して「懐メロな盤」にさせない。この外国人リズム・セクションとナベサダさんのアルトだけでも、実にコンテンポラリーな純ジャズな音がする。カルテット構成、ナベサダさんのワンホーンで聴いてみたい。
この盤、2015年3月のリリースで、約半年ぶりに聴き直した訳ですが、やはり「良いものは良い」。ジャズがポップス音楽のひとつだと言うことを思い出させてくれる、楽しい演奏がギッシリ詰まっています。ジャズは聴いて楽しむ音楽なんだ、って改めて思いました。ナベサダさんの面目躍如なビッグバンド盤です。好盤です。
震災から5年。決して忘れない。まだ5年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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>ジャズがポップス音楽のひとつだ
本当にそうですよね。^^
最近改めて1960年当時のジャズメッセンジャーズ初来日当時のSJ誌のインタビューを読み直していて、改めてこのことを実感しました。
ただ、晩年のブレーキーの「ホラまじり」?(*^。^*)のインタビューを読むと、初来日の感動があまりに素晴らしかったので、少し本人が脚色しているなあ・・と思えなくもありませんが。。(~o~)
しかし、図書館でジャズ誌以外(新聞など)で当時の様子を調べると、「ビートルズ来日もかくや?」と思わせるほどの熱狂ぶりは事実だったことがわかりました。
アベサダさん・・もとい、ナベサダさん(~_~;)も、カリフォルニアシャワーの頃、GJTとの純ジャズアルバム(ビクター盤)もありましたが、売れなかったと記事で読みました。
やはりジャズはPOPSであってほしいなあ、と、思うこの頃であります。(*^_^*)
投稿: おっちゃん | 2016年3月29日 (火曜日) 08時01分