圧倒的に吹きまくるロリンズ
ロリンズの全アルバムの聴き直しを再開した。1986年のライブ盤からの再開。ジャズ界は「純ジャズ復古」のムーブメントの真っ只中を進んでいたのだが、ロリンズは、最早そんなトレンドなどには左右されない。ロリンズはもう「ロリンズ節」としか言いようのない、ロリンズ独自のフレーズを吹きまくっている。
そんなロリンズ節吹きまくりのライブ盤がこれ。Sonny Rollins『G-Man』(写真左)。1986年8月16日、ニューヨークのソーガティズにある「Opus 40」でのコンサートでのライブ録音である。Sonny Rollins (ts), Clifton Anderson (tb), Mark Soskin (p), Bob Cranshaw (el-b), Marvin "Smitty" Smith (ds)。テナーとトロンボーンの2管フロントのクインテット構成である。
収録された曲は全てロリンズのオリジナル。スタンダード皆無のストイックな内容です。このライブ盤でのロリンズはとにかく吹きまくります。まず、冒頭のタイトル曲「G-Man」を聴き通してビックリ。約15分の長尺演奏なんですが、なんとロリンズのソロだけが延々と続きます。マンネリや繰り返しにならない創造性豊かなフレーズにもビックリですが、15分間、ソロを吹きまくる体力にもビックリです。
2曲目の「Kim」はロリンズお得意の大らかで朗々とした「ゴキゲン調」の演奏ですが、トロンボーンやピアノのソロが好調です。この日のロリンズ・バンドの好調さがこの2曲目の演奏を聴いていて良く判ります。そして、この「ゴキゲン調」をバックで煽り鼓舞するドラミングがこれまた見事。マーヴィン・スミッティ・スミスの面目躍如ですね。
3曲目の「Don't Stop The Carnival」は、これまたロリンズお得意の「カリプソ調」の演奏。この演奏で、ボブ・クランショウのエレベの響きに耳を奪われます。前の1〜2曲目の演奏でも、このクランショウのエレベの響きの素晴らしさに気がつくのですが、この3曲目の演奏で、その「気づき」が「確信」に変わります。実はこのライブ盤でのクランショウのエレベは素晴らしい。アコベにひけをとらないエレベの響き。このレベルであれば、純ジャズにおいてエレベも「アリ」ですね。
ラストの「Tenor Madness」はハードバップ時代のロリンズの名曲ですが、バンド全体が一体となって、ソロ・フレーズを吹きまくり、弾きまくり、叩きまくります。この一体となった演奏野中で、ロリンズは限りなく自由なアドリブ・フレーズを吹きまくります。決してアブストラクトに、決してフリーキーにならないロリンズの自由なアドリブ。一瞬、コルトレーンの自由なアドリブを思い出しました。
実はこのライブ盤、録音状態はまあまあなレベルでそれだけが「玉に瑕」なのが実に惜しい。それでも、まずまず聴けるレベルではあるので、まずはロリンズ者(ロリンズ・ファン)の方々にはマスト・アイテムでしょう。これだけ圧倒的迫力を持って、全編吹きまくるロリンズは実に魅力的です。
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