現代の「ギター・フュージョン」
2015年度もユニークで将来が楽しみな新人がいた。「Linder Bros(リンダー・ブラザーズ)」である。スウェーデン出身のベースを担当するヘンリックと、ヘンリックの弟でギタリストのエリックによるプロジェクト。
レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーに憧れたというロック少年だったヘンリック。そして、パット・メセニーやアラン・ホールズワースを敬愛する弟エリック。そんな兄弟二人のユニットの音楽性は「ロックとジャズの融合」。クロスオーバー寄りのフュージョン・ジャズである。
デビュー作の『Linder Bros』(写真左)を聴けば、その(我々からすると懐かしい響きのする)彼らの音楽性が良く判る。一言で表現すると「バカテク・ギター・フュージョン」。ぱっと聴いた印象は「これって、CASIOPEAのフォロワーやん」である。
バカテクのギターがギュンギュンとカッ飛びフレーズを弾きまくり、チョッパーなエレベがブンブン唸る。ドラムはマシンガンの様な高速ビートを叩き出す。この高速ポリリズムなドラミングの主は「ジョナサン・リュンベルグ」。
そして、そんなバカテクなギターに相対し対抗するキーボードがこれまた凄い。弾きまくるだけで無い、緩急自在に印象的なフレーズを奏でる凄腕キーボードは「クリスチャン・クラフトリング」。ロックとフュージョンの間を取った様なフレーズと響きは実にユニーク。
若さ溢れるバカテク・ギター・フュージョン。初期の頃のCASIOPEAそっくりである。一曲目のバッキングはスティーブ・ルカサーを意識したとか。なるほど「ルカサー」か。ところどころ、アラン・ホールズワースの様なギター・フレーズが見え隠れする。いや〜、実に爽快なギター・フュージョンである。
このデビュー盤を聴くと、弟の音楽趣味が兄貴に良い意味で影響を与えたんやなあ、と微笑ましく思える。DIMENSIONやT-SQUAREやCASIOPEAという日本のフュージョン・バンドに対する限りないリスペクトの念が溢れんばかりのアルバムである。ギターにはアラン・ホールズワースやジェフ・ベックの面影を、ベースには、ジャコ・パストリアスやマーカス・ミラーの面影を感じる。
いや〜、まだまだこういったギター・フュージョンなバンドが現れ出でるんやねえ。しかも、20世紀のギター・フュージョンの音よりも進化した響きとフレーズを聴かせてくれるのが、これまた頼もしい。次作が既に楽しみとなっているLinder Bros(リンダー・ブラザーズ)である。
★震災から5年。決して忘れない。まだ5年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« ナベサダさんのビッグバンド盤 | トップページ | 80年代のロリンズを表した好盤 »
コメント