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2016年3月14日 (月曜日)

ナイロン弦のリトナー『Portrait』

ナイロン弦でのジャズ・ギターと言えば「アール・クルー」が頭に浮かぶ。アール・クルーがナイロン弦ギターで、ジャズの第一線に躍り出たのが1970年代半ば。しかし、なかなか他には拡がらない。そして時は経ち、1980年代半ばに差し掛かる。

1987年のことである。Lee Ritenour『Portrait』(写真左)がリリースされる。アルバム・ジャケットの下の方に横たわっているのは、ナイロン弦のギターでは無いか。もしかして、リー・リトナーがナイロン弦ギターに手を染めたのか、と思って、思わず即ゲット、である。

そして、聴いてみて「当たり〜」。このアルバム『Portrait』は、リー・リトナーのナイロン弦ギター・シリーズの第一弾だったのだ。そして、音作りのトレンドは「ブラジル・サウンド」。冒頭の「ASA」を聴けばそれが良く判る。明らかな「ラテン・フレイバー」。テーマの部分はまだストラト系のエレギなんだが、途中からナイロン弦ギターのカッティングが入ってくるところが「イカしている」なあ。

3曲目の「Windmill」はミディアムテンポの綺麗な曲。ナイロン弦ギターの世界が満載で、心地良いことこの上無し。ナイロン弦ギターを柔らかい伸びのあるエレギの様に弾くリトナー。リトナーのナイロン弦ギターの個性が良く判ります。
 

Portrait

 
6曲目には「G-Rit」という、読んで字の如く、ケニーGとリトナーとの共演があったりで、全体的な雰囲気はフュージョン・ジャズというよりは、後のスムース・ジャズの先取りという音世界です。ナイロン弦のアコギのパートが殆どなので、エレギ中心のフュージョン・ジャズと比べると、柔らかで優しい落ち着きのある雰囲気が特徴ですね。

1987年当時と言えば、デジタル録音が主流になった頃。それでもデジタル録音には問題が山積。特にエレギ中心の演奏は、エレギの音がやせ気味になって、キンキンと高音が耳につく、アナログ録音時代には思いもつかないプアな音になったりしていた。そういう問題を回避するのにも、このナイロン弦アコギでの演奏は良かったのではないか、と思う。

ジャケットの下にも記されている様に「デジタル・マスター」のアルバムですが、意外と良い音で録音されています。ナイロン弦アコギの音とデジタル録音の相性が良かったのでは、と睨んでいます。スムース・ジャズの先駆け、ナイロン弦ギターの好盤です。

 
 

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Never_giveup_4

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