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2016年3月 1日 (火曜日)

カシオペア・サウンドの基準

1980年4月にリリースされた驚愕ライブ盤『Thunder Live』で、メジャーな存在となったCASIOPEA。野呂一生 (g), 向谷実 (key), 櫻井哲夫 (b), 神保彰 (ds) の最強の4人で、1980年11月にスタジオ録音盤をリリースする。日本フュージョンの名盤の一枚に数えられるほどの、これがまあ、素晴らしい出来のアルバムとなった。

CASIOPEA『Make Up City』(写真左)。カシオペアの通算4枚目のアルバムである。日本フュージョン・ジャズの到達点の一枚。冒頭の「Gypsy Wind」からラストの「Twinkle Wing」まで、とてもバランスのとれた優れた楽曲がズラリと並ぶ。そう、このアルバム、収録曲が粒ぞろい。

演奏のレベルはそれはもう最高のもの。野呂・向井・櫻井・神保の伝説の4人の演奏である。しかし、前作の『Thunder Live』までのテクニック第一の圧倒的演奏力でグイグイ押していく様な演奏では無い。テクニックを出しつつも適度に余裕を持った演奏が実に頼もしい。この余裕を持った演奏がこのアルバムの1番の聴きもの。

そして、このアルバムの音の特色は「シンセ・サウンド」と「デジタル・サウンド」。シンセ・サウンドの方は、シンセサイザーのマニピュレーターとして松武秀樹が全面参加して、その実力をいかんなく発揮している。デジタル・サウンドの方は、当時開発されたばかりの3M社の32トラックのデジタルテープレコーダーが使用されている。
 

Make_up_city1

 
当時の触れ込みは「日本初のデジタルレコーディングのアルバム」。但し、デジタル録音の欠点を補うためのアナログ処理は施されている。それでも、音のクリアさは特筆ものだった。自分のチープなステレオ・セットが1グレードアップした様な感じだったなあ。 

この『Make Up City』は、カシオペアの最初の基準となるアルバムです。デビュー盤から、メンバー・チェンジを経つつ、突き詰めてきたカシオペア・サウンドの最初の基準です。以降、アルバムをリリースする都度、このアルバムは『Make Up City』と比べて云々、などと評価される様になります。これって、カシオペア者として良く判るなあ(笑)。

日本のフュージョンもここまでやるんだ、とリリース当時、嬉しくなりました。近未来都市を連想させるイラストが素敵なジャケットも良好で、当時ヘビロテの一枚でした。今でも、ハードな純ジャズの合間の耳休めに、たまに聴いてはうっとりしています。良いフュージョン盤です。

そうそう、このアルバムのタイトル『Make Up City』って、ちょっと違和感を感じますよね。意訳すると「街を掃除しろ」。変なタイトルやなあ、と思っていたら、とある雑誌のインタビューで、カシオペアのメンバーいわく、「街を創りだす」という意味をこめてつけたとのこと。ちょっとそれちゃうやん、と思わず雑誌の記事に向かって突っ込みを入れたことを昨日のことの様に覚えています(笑)。

 
 

震災から4年11ヶ月。決して忘れない。まだ4年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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