こんなアルバムあったんや・59
ジャズの拠点は、ニューヨークやロスアンゼルス、サンフランシスコばかりでは無い。デトロイトやシカゴもジャズの拠点として有名である。特に、デトロイトとシカゴは、後にニューヨークに進出して有名になったジャズメンの若かりし頃の活動拠点として、つとに有名である。
そんなデトロイト出身のジャズメンで固めた、渋い内容のハードバップなアルバムが2枚ある。『Jazzmen Detroit』(写真左)と『Motor City Scene』(写真右)である。
『Jazzmen Detroit』は誰がリーダーという訳ではないみたい。1956年4月と5月の録音。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g), Tommy Flanagan (p), Pepper Adams (bs), Poul Chambers (b), Kenny Clarke (ds)。ピアノのトミー・フラナガン、ギターのケニー・バレル、そしてベースはポール・チェンバースは生粋のデトロイト出身。バリサクのペッパー・アダムスはデトロイト近郊のグロスポイントビレッジだが、デトロイト出身としてよいだろう。
『Motor City Scene』は、一応、ペッパー・アダムスとドナルド・バードがリーダー格。1960年の録音。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g), Tommy Flanagan (p), Pepper Adams (bs), Poul Chambers (b) までは前の『Jazzmen Detroit』と同じ。Donald Byrd (tp), Louis Hayes (ds)。ペッパー・アダムスをデトロイト出身とすれば、ここでは全員がデトロイト出身で固められている。
どちらの盤も、Kenny Burrell (g), Tommy Flanagan (p), Pepper Adams (bs), Poul Chambers (b) の4人が被っているので、演奏の雰囲気は似通っている。一言で言うと、ゆったりとした渋い雰囲気のハードバップである。どちらのアルバムもこの被っている4人の演奏が良い。出身が一緒という気安さも手伝ってか、実にリラックスした、それでいてしっかりと楽器を鳴らした好演が詰まっている。
『Motor City Scene』では、ドナルド・バードのトランペットがやけに元気だ。トランペットという楽器がよく「鳴っているなあ」という気分になる。輝かんばかりのブラスの響き。ハードバッパー、ドナルド・バードの面目躍如である。そして、意外とルイス・ヘイズのドラムが良い。1960年の録音ということもあるが、当時のハードバップとして、とてもコンテンポラリーな響きはルイス・ヘイズのドラミングに依るところが大きいと感じる。
いずれにしろ、ハードバップとして「とても渋い内容」で、楽器の音の強弱、楽器毎の音の高低のメリハリが明確で、IPhoneにイヤホンというアウトドアでのリスニングよりは、しっかりとしたジャズ喫茶でのしっかりとしたステレオ・セットである程度の音量でジックリと聴きたい音源である。
どちらの盤のアルバム・ジャケットも小粋で洒落たイラスト中心のデザインでジャズっぽくて秀逸。こんなアルバムは、ジャケットを見ながら、春から夏の昼下がりにウトウトしながら聴き流すのが心地良くて最適。ジャズ本なんかで紹介される派手な盤ではありませんが、とにかく渋くて小粋な好盤です。
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