ピアノ・トリオの代表的名盤・51
ジャズって裾野が広くて、ジャズを散々聴いて来ても、この盤はあんまし見たこと無いなあ、という盤が沢山ある。さすがに40年以上も聴き続けて来たので、どこかで見たことがある盤なんだが、その内容は全く記憶に無い、という盤は沢山ある。
先日出会った盤が、Duke Pearson『Bag's Groove』(写真左)。アルバムの品の無いジャケットを見た瞬間は「なんじゃこれ、知らんなあ」だったんだが、収録曲を眺めて「あれ、これって」と思いだし始め、タイトルを見て、ああ、この盤、聴いたことある、というか持ってるやん(笑)。
手に入れたのは、20年位前かなあ。久し振りやなあ、とトレイに載せてスタート・スイッチを押す。冒頭の「I'm An Old Cowhand」のキュートで小粋な小唄の様な、味わう深いアドリブ・フレーズに、このピアノ・トリオ盤は「只者では無い」と直感する。肩のこらない軽いタッチと豊かなメロディ。ピアソンのピアノが豊かでファンキー。
1961年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Duke Pearson (p), Thomas Howard (b), Lex Humphries (ds)。このパーソネルを見ただけでも「渋いなあ」と直感する。とにかく、まずはリーダーのピアソンのピアノが出色の出来。軽いタッチでありながら、良く鳴るフレーズは個性的。さらりと弾き流す感じなんだが、ファンクネスはしっかりと入っている。
選曲も良くて、ポップなアレンジで聴き易く耳に馴染む。4曲目の「Exodus(栄光への脱出)」は、ジャズにアレンジするのは、ちょっと難物だと思うんだが、原曲の良さをしっかりと残しつつ、ポップなジャズとして楽しく聴かせてくれる。5曲目のタイトル曲「Bags Groove」は実に品が良い。品の良いファンクネス、ベタベタしないサラッとしていてブルージー。
CD(写真右)やLPではなかなか手に入りにくい盤なんですが、最近、ジャケット違いですが、ダウンロード・サイトで入手できるようで、まずは「めでたいこと」です。 アルバム全体を聴き通した後で思うのは、この盤ってピアソンのトリオ作品の中で一二を争う出来ではないだろうか。
こういうピアノ・トリオ盤があったりするから、ジャズは気が抜けない。ジャズ本で紹介されることはほぼ皆無、マーケットに在庫はまず無い。そういう盤って通常は「聴く価値無し」の盤のはずでなんですが、これが違うんだからジャズは面白い。これだけの内容を誇る盤だったら、常時、マーケットで流通していても良いと思うんですがねえ。
良いアルバムです。ピアノ・トリオの演奏として、しっかりとアレンジされ、整理整頓された粋なピアノ・トリオ盤としてジャズ者万民にお勧めです。ピアソンを再認識しました。ピアノ・トリオの代表的名盤の一枚として、謹んで選定させていただきました。
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日本では徳間から発売された「ジャズタイム~ジャズライン」のCDはマニアの間では話題でしたよね。ウォルタービシップのスピークロウやロッキーボイド(現在ではケニードーハム名義の輸入版もあり)、デイブベイリーのリーダー作など、どれも驚きのCD化でした。
ちなみに、一昔前の「幻の名盤」として、ウォルターBのスピークロウやジュニアマンスのジュニア(ヴァーブ)などは特に「ベースがすごい」ということで話題だったように思っています。
優秀録音として話題に出るピーターソンのプリーズリクエストも同じく「ベースの音がすごい」ということでも話題でした。
現在の録音のレベルからすれば「当時としては・・」という前提つきかも知れませんが、これらのアルバムはナロウレンジながらも、ジャズベースの魅力を堪能できるという意味では今も大の愛聴盤です。^^
投稿: おっちゃん | 2016年4月 2日 (土曜日) 07時15分