ポール・ブレイのソロ・ピアノ 『Alone Again』
今年は早々から、様々なジャンルでの有名人、著名人が鬼籍に入っている。ジャズ界でもその動きに呼応する様に、ジャズの歴史に名を残したレジェンド・レベルのジャズメンの逝去が相次いでいる。
今年早々、1月3日に逝去したのが、Paul Bley(ポール・ブレイ)。ビバップ・スタイルからスタートし、フリー・ジャズ、アヴァンギャルドへ音楽性を変遷させながら、独自の耽美的な演奏スタイルを築き、独自の地位を確立したジャズ・ピアニストのレジェンドの一人。享年83歳。
その耽美的なピアノは、僕はジャズを聴き始めた、ジャズ者初心者早々の時期から知っていた。1972年録音のPaul Bley『Open, to Love』(2014年12月5日のブログ参照・左をクリック)は、ジャズ者初心者の頃の愛聴盤である。
おおよそジャズとは異なる、どちらかといえば現代音楽の雰囲気が強い「凛とした」静謐感溢れるソロ・ピアノ盤。ジャズ・ピアノに思わず足でリズムを取ってしまう様なスィング感とか、耳に聴き易い、滑らかで綺麗なコード進行とかキャッチャーなメロディーとかを期待する人は裏切られてしまう確立大です。
しかし、私が初めてこの盤を聴いた時には、この盤のソロ・ピアノには新しいジャズのスタイル、新しいジャズ・ピアノの形を強く感じました。それからというもの、現在まで、パーソネルにポール・ブレイの名前が入ったアルバムは見当たる度に聴いてきました。
ポール・ブレイのジャズ・ピアノの個性を愛でるには、『Open, to Love』の様なソロ・ピアノが1番相応しい演奏スタイルの様に思えるが、そのポール・ブレイのソロ・ピアノの中で、マスト・アイテム的な内容を誇るアルバムが、Paul Bley『Alone Again』(写真左)。1974年8月、ノルウェーはオスロでの録音。
先にご紹介した『Open, to Love』よりもジャジー、左手のリズム&ビートが明瞭で、この『Alone Again』の方がジャズのソロ・ピアノ盤として聴き易い、親しみ易い内容になっている。奏でられるフレーズも耳に聴き易い、滑らかな響きを持つもので、ブレイのピアノの持つ個性、官能的、かつ耽美的、硬質でクリスタルなタッチが、この『Alone Again』の方が楽しめる。
内容のアカデミック加減は『Open, to Love』、ソロ・ピアノ盤として聴き易い、親しみ易い内容は『Alone Again』。ポール・ブレイのソロ・ピアノの個性を愛でるには、この2枚は必須アイテムでしょう。ジャケットの抽象画もポール・ブレイのソロ・ピアノのイメージと良く合っていて良好です。
しかし、これでまた一人、強烈な個性を持ったジャズ・ピアノのレジェンドを失ったことになります。どんどん寂しくなるなあ。ご冥福をお祈りします。
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