ジョンスコ・孤高の変態ジャズ
John Scofield(ジョン・スコフィールド)。愛称、略して「ジョンスコ」。現代ジャズ・ギターのスタイリストの一人と目しているギタリスト。エレギがメインで、その捻れた音色&フレーズは一度聴いたら忘れられないほど個性的なもの。どこかで流れていても、これはジョンスコや、と直ぐに判るほどの個性である。
エレギをメインに捻れに捻れたフレーズを連発する訳だが、意外とその底にファンクネスが漂っているから堪らない。音色は「くすんでいる」。ほどよく「くすんだ」明快な音色は如何なる楽曲でもポジティブに響く。ジョンスコのギターはポジティブ。とても前向きである。
捻れたフレーズを個性に、思いっきりぶっ飛んだコンテンポラリーなジャズから、捻れを適度に押さえて、伝統のオクターブ奏法を織り込みながらのメインストリームなジャズまで、尖った現代的なジャズから伝統的な純ジャズまで、適用力の広さもジョンスコの個性である。
僕は思いっきりぶっ飛んだコンテンポラリーなジャズのジョンスコがお気に入りである。尖って硬派にぶっ飛んで捻れに捻れたジャズ・ギター。決して他に追従を許さない、孤高の「変態ジャズ」。そんなジョンスコが大好きだ。
そんな捻れに捻れた「変態ジャズ」のジョンスコは、リーダー作のジャケット・デザインを見れば直ぐに判る。ジョンスコのアルバムは、その内容についてはジャケット・デザインを見れば容易に想像出来る。恐らく、意識しているのだろう。
例えば、このアルバムなどがその良い例だろう。John Scofield『Überjam』(写真左)。2002年のリリース。まず、この盤のジャケット・デザインを見て欲しい。このジャケットは尋常では無い。
普通、こういう捻れた「変態デザイン」なジャケットを採用しないだろう。これはジョンスコの、我々聴き手に対するメッセージである。この盤は、尖って硬派にぶっ飛んで捻れに捻れた「変態ジャズ」だよ、と。
で、聴いてみると、なるほど、尖って硬派にぶっ飛んで捻れに捻れた「変態ジャズ」である(笑)。ディストーションした太いエレギの音色が捻れに捻れまくる。ジャケットのイメージ通り、ジャジーで曼荼羅な音世界が展開する。インド音楽とジャズの邂逅。エレギで奏でる東洋音楽と西洋音楽の融合。これも「フュージョン」である。
打ち込みでないベースやドラムが心地良く響き、適度なノリの良さが特徴の「ジャム・バンド系」の音世界。John Medeskiのオルガンのレガシーな響きが効いている。途中4曲目「I Brake 4 Monster Booty」ではラップが出てきたり、で、ほんと、良い意味でアウトに外れて、適度にぶっ飛んでいます。
この盤の音世界って、ジャズ者の皆さんのどれだけが、心から楽しむことが出来るのでしょうか。そんなふとした不安を思いっきり感じる「変態ジャズ」盤です。でもなあ、この尖って硬派にぶっ飛んで捻れに捻れた「変態ジャズ」な風情が良いんだよな〜(笑)。
食べ物に喩えると、くさやの干物、リヴァロ(ウォッシュタイプのチーズ)、シュールストレミング(塩漬けして発酵させたニシンを缶詰にしたもの)などと同じ感じのコンテンポラリー・ジャズですね。捻れに捻れてアウトに外れたフレーズですが、聴けば聴くほどに、その底に潜む、知る人ぞ知る魅力に填まっていく。
マイルス御大が生きていたら、恐らく絶対に要求しそうな、そんなリズム&ビート、そしてアウトなフレーズが満載です。現代ジャズの最前線な音世界でもあります。でもなあ、このアルバム・ジャケットですから、手にとって聴くのに「ちょっと勇気の要る」好盤ですね(笑)。
震災から4年11ヶ月。決して忘れない。まだ4年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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