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2016年2月17日 (水曜日)

ベテラン達のクロスオーバー化

1970年代に入ると、商業ロックやポップスの波が大衆の耳を捉え、ジャズはポップスのジャンルの片隅へ片隅へと押しやられていった。時に、1970年当時の純ジャズのトレンドは「フリー・ジャズ」。これでは大衆の耳を取り戻すことは出来ない。

しかし、それではジャズメンは皆、お飯の食い上げである。なんとか食いつないでいく為に、ジャズとロックやポップスの融合を図って、大衆の耳をジャズに繋ぎ止めようとした。そのトレンドが「クロスオーバー・ジャズ」である。

「クロスオーバー・ジャズ」は、ヴァーブのプロデューサーであったクリード・テイラーが1967年に立ち上げた「CTIレーベル」を中心に発展する。ちなみにCTIは「Creed Taylor Issue」の略である。

このCTIレーベルに、当時の有名ベテラン・ジャズメンがこぞって移籍した。電気楽器を交えたジャズとロックの融合ジャズ、クロスオーバー・ジャズに手を染めた訳である。しかし、今の耳で振り返ると、このCTIレーベルの音は意外とジャズに留まっている。

ソフト&メロウなフュージョン・ジャズまではポップに洗練されてはいない、まだまだオフビート濃厚、ファンクネス漂うジャズの感覚がしっかりと残っている。つまり、今の耳で聴き直すと、意外とCTIレーベルのアルバム達は「ジャズ」しているのだ。

例えば、このアルバムなどはその好例だろう。Paul Desmond『Skylark』(写真左)。1973年の録音。ちなみにパーソネルは、Paul Desmond (as), Bob James (p, el-p), Gabor Szabo, Gene Bertoncini (g), George Ricci (cello), Ron Carter (b), Jack DeJohnette (ds), Ralph MacDonald (per), Don Sebesky (arr)。
 

Paul_desmond_skylark

 
パーソネルを見渡せば良く判る。ほとんどが当時の純ジャズのベテラン達ではないか。まず、リーダーがポール・デスモンド。あのデイブ・ブルーベックとの双頭バンドを長年運用してきたベテラン・アルト奏者である。その他、ベースのロン・カーター、ドラムのジャック・デジョネット、パーカッションのラルフ・マクドナルドなど、ベテラン純ジャズメンである。

しかし、演奏される音世界は、クロスオーバーの人、キーボードのボブ・ジェームス、ギターのガボール・ザボ、アレンジのドン・セベスキーを中心に展開されている。明らかに「クロスオーバー・ジャズ」な音世界。このアルバムの音の雰囲気、アレンジの仕掛け、選曲の妙、それぞれが「クロスオーバー・ジャズ」のそれである。

電気楽器がメインに展開される。ビートは8ビート。2曲目の「Romance de Amor」は、映画音楽で有名な「禁じられた遊び」。あの素人でも弾きこなせるギターの大衆曲を生真面目にクロスオーバー・ジャズ化している。この生真面目さが可愛い。ジャズ化には絶対に合わない「禁じられた遊び」だが、本当に生真面目に演奏している。大衆の耳をジャズに繋ぎ止めようとした努力が滲み出ている。

それでも、冒頭の「Take Ten」や「Skylark」などは、現代ジャズから見れば、十分に「メインストリーム・ジャズ」化していて、意外と聴き応えがあって「おっ」と思う。最近、強く思うのだが、CTIレーベルのアルバムって、どれもが意外と聴き応えがあって隅に置けない。最近は結構な頻度でCDプレイヤーのトレイに載っていたりするのだ。

 
 

震災から4年11ヶ月。決して忘れない。まだ4年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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コメント

CTIレーベルはとても質が高いですよね。特にジャケットのすばらしさでこれだけレーベルイメージを統一したことも特筆に値しますよね。

発売当時はイージーリスニングジャズなどとも言われましたが、私としては現在のスムースジャズ?なんていう陳腐な表現(~_~;)よりははるかに受け入れやすい感じがありました。

スムースジャズなんて表現をきくとどうしても三流なチープ感(~_~;)のイメージしかわかないのは自分だけかもしれませんね。(~o~)

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