トロンボーンなジャズを愛でる
トロンボーンの音が好きである。ちょっとのんびりしたような丸みを帯びた音。意外と高い音から低い音までをカバーする幅広い音程。トロンボーン2本以上でのユニゾン&ハーモニーなぞ、ファンクネス濃厚に漂い、耳に柔らかく至福の時である。
そんなトロンボーン、ジャズの世界ではちょっとマイナーな楽器ではある。スライド管を動かして音程をとるので、速いパッセージが苦手。ビ・バップなど、速さとテクニックを誇る向きには、この楽器はちょっと向かない。しかし、どの楽器にも才人というのはいるもので、この難しい楽器をいともたやすく吹きこなす強者もいるのだ。
そんなジャズ・トロンボーンの強者二人が組んだデュオ・グループがある。「J&K」である。J.J.Johnson,とKai Windingという二人のジャズ・トロンボーン奏者がガッチリと組んだグループである。とにかく、この二人のトロンボーンは天才的である。トランペットやサックスの様にトロンボーンを吹き上げる。
そんなジャズ・トロンボーンのデュオ・グループの先駆け「J&K」 の記念すべき初セッション盤がこれ。J.J.Johnson & Kai Winding『Jay & Kai』(写真左)。1947,1952,1954年と3つの時期の録音を集めたもの。全10曲のうち、1954年の録音によるもので、「J&K」がフロントでデュオ演奏しているのは8曲。残りの2曲はJ.J.とカイが1曲ずつコンボで演奏しています。
J.J.Johnsonは1924年生まれなので、1954年を基準とすると30歳。Kai Windingは1922年生まれなので32歳。ジャズでいうとまだまだ若手のレベル。やんちゃで溌剌として尖った、若々しいジャズ・トロンボーンを聴くことが出来ます。
このアルバムを聴き通すと判るんですが、この二人のデュオ・グループ、とってもクオリティが高い。アンサンブルも優秀、アレンジが良いのでしょうね。とにかく天才的なジャズ・トロンボーン奏者が二人、フロントをとって吹きまくるですから、それはそれは、スリリングな展開がそこかしこに現れます。
1947,1952,1954年という、かなり年代物の録音なんですが、さすがサボイ・レーベル、中音域を前面に押し出した、厚みのあるジャジーな音が心地良く、この録音の個性が「J&K」のトロンボーンの音色を惹き立たせています。ライブ感を感じさせてくれる適度なテンションが良いですね。
収録曲を見渡すと、収録されている楽曲はほぼJ.J.の代表的なオリジナルで埋め尽くされていて圧巻です。聴き応え満点。このアルバムは「J&K」のアルバムの中でも上位に位置する好盤だと思います。ジャズ・トロンボーンを感じる入門盤としても良いですね。ジャズ・トロンボーンを愛でたくなると、この盤は必ず登場します。
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・・そういえば自分にとってトロンボーンの愛聴盤ってなんだろ?と考えてみますと・・ないのです。笑
ご紹介の盤もなかなか良いですよね。^^本来低音楽器好きな私は、バリトンならサージチャロフ他いろいろ思い浮かぶのですが;;
トロンボーンのリーダー作ではありませんが、ドルフィーをフューチャーした「オーケストラUSAプレイズ クルトワイル」がとても好きなのですが、ボントロやドルフィーの力の抜けた?バスクラが楽しめる1枚でもありますね。
投稿: おっちゃん | 2016年2月12日 (金曜日) 08時26分