スナーキー・パピー『SYLVA』
ジャズ雑誌を読んでいて「2015年度 ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー発表」とある。そうか、もうそんな時期なんだ。ということで、この「2015年度 ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー」に選定されたアルバムから、私、松和のマスターが何枚か、注目盤をピックアップしてみました。
まずは「スナーキー・パピー(Snarky Puppy)」。バンドというかグループ名である。ネットの情報によると「2004年結成。ツアーやセッションによって40人以上のメンバーが流動的に入れ替わる大所帯編成で、ノラ・ジョーンズも輩出した名門北テキサス大学の出身」とある。つまりは流動的にメンバーが入れ替わるバンドなのね。
なかなか面白いコンセプトのグループである。この「スナーキー・パピー」のメジャー・デビュー作が、昨年、2015年にリリースされている。この「スナーキー・パピー」、ジャズ+ファンク+ダンス+フュージョンを融合した「Jafunkadansion」サウンドがウリだそうなんだが、この「ウリのサウンド」が非常に良く判る、なかなかの内容のライブ盤である。
そのライブ盤とは、Snarky Puppy『SYLVA』(写真左)。2015年4月のリリース。実は僕はこの「スナーキー・パピー」というグループの存在を全く知らなかった。全くもってジャズというのは奥が深く裾野が広い。アルバムの宣伝コメントとしては「メンバーの長年の夢だったというオーケストラとの共演作で、ジャズ・ミュージシャンとの共演歴も多いメトロポール・オルケストと共演」とある。
ジャズバンドとオーケストラとの共演。オーケストラのぶ厚いユニゾン&ハーモニーと、ジャズバンドの柔軟な自由度のある演奏とが融合した演奏内容となっている。最初聴いた時にフッと思い浮かんだのが、チック・コリアの「Return to Forever(RTF)」というバンド。特にRTFの後期から最終期のライブサウンドが、このジャズバンドとオーケストラとの共演だった。
音の印象としても、チック・コリアのRTF的な音がする。そして、このライブ盤、フェンダー・ローズやムーグシンセ、アープの音が蔓延している。1970年代からキーボード系の音に親しんでいる僕達にとっては懐かしい音の響きである。
珍しいなあ〜と思って解説を読んでいたら、このライブ、オーガニックというテーマに沿って、アナログ楽器しか使わない、つまり、通常のデジタル系のシンセサイザーの代わりに、アナログ系のフェンダー・ローズ、ウーリッツァー、ピアノ、クラヴィネット、ムーグ、そしてオルガンを使用、という「こだわりの作品」なんだそうだ。
この盤の内容は一言で言うと現代の「フュージョン・ジャズ」。電気楽器を上手く活用して、アコースティックとエレクトリックを上手く融合させ、オーケストラに「メインストリーム・ジャズ」の雰囲気を、バンドに「フュージョン・ジャズ」の雰囲気を担わせて、コンテンポラリーなジャズ表現に成功している。
面白いのは、バンド・サウンドの部分がジャズの最新のトレンドを押さえて演奏しているんだが、そのバックのオーケストラは、意外とレガシーなアレンジでバッキングしていて、このバンドとオーケストラの対比が実にユニーク。ストリングスやブラスを含んだ63名というアンサンブルは実に「緊密」。今までにない新しいジャズの音を感じます。
「スナーキー・パピー(Snarky Puppy)」、実にユニークなグループです。ジャケットのデザイン・センスは「?」ですが、これはこれで良しとしましょう。良いアルバムです。名門レーベル Impulse!からメジャー・デビューというのも、これからが期待出来る有望株です。
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