『ジム・ホールの想い出』に感服
ベーシストがリーダーのアルバムが面白くて、まだまだその聴き直しは続くぞ〜。今日もロン・カーターのアルバムをチョイス。初めて聴いた時、思わず「これは良いアルバムではないか」と、ただただ感心した。
Ron Carter『In Memory of Jim featuring Larry Coryell and Peter Bernstein』(写真左)。2014年1月20日、ブルーノート東京にてライヴ録音。2013年12月に他界したジャズ・ギター界の巨匠、ジム・ホールに捧げたライブ演奏を収録した盤。
改めて、パーソネルは、Ron Carter (b), Larry Coryell, Peter Bernstein (g)。ベースと「2本のギター」とのデュオ演奏。これがまあ、聴けば判るんだが大正解な編成。ギターを2本重ねることで、ジャズ・ギターの音の細さを補って、かつ旋律をクッキリと浮かび上がらせる。
ロンとジムは何枚かの競演アルバムを残している。テクニックを駆使しつつ、歌心溢れるアドリブ・フレーズを繰り出しながら、素晴らしいデュオ・パフォーマンスを展開する。そんな競演ではあるが、僕にはどうしても気になることがあった。
どう聴いてもジムのギターの音が細いのだ。シングルトーン中心のアドリブ演奏なので、それはそれで仕方が無いのだが、相手は太っとい弦のベースである。比べれば、音の細さがどうしても気になる。
で、今回のロンのアルバムでは、その音の細い傾向のギターを2本重ねることによって、その弱点を完全に克服。加えて、ロンのベースとギターのデュオ演奏という、ロンとジムのデュオ競演の雰囲気をしっかりと再現しているのだ。旋律がクッキリと浮かび上がる。ユニゾン&ハーモニーが様々なバリエーションで豊かに響く。
演奏全体の雰囲気は、典雅で濃密、そして柔軟。特に、ギターのラリー・コリエルの参入が意外だった。コリエルと言えば、クロスオーバーからフュージョン系のギタリストのイメージが強い。そんなコリエルがメインストリームなジャズ・ギターをやるのだ。どうなるんや。どきどきする。
これがまあ、このアルバムの一番のサプライズで、そんなコリエルのギターに「ジムが降臨している」。ジムのギターの雰囲気が、このコリエルのギターに宿っているのだ。これにはビックリした。コリエルのギターの奥の深さと引き出しの多さ、そして、テクニックの高さにおもわず脱帽である。
もう一人のギタリスト、ピーター・バーンスタインのギターは「安心、安全、安定」の安全運転ギタリスト。ジム・ホールの直弟子だとのことで、その演奏も、直系の端整さが聴いて取れます。メインストリーム・ジャズ・ギターの「ど真ん中」。
ジャズ演奏の中での理想的なベースの役割、ベースの音色、そしてそのテクニックを、グループ・サウンズを通じて演出する。そんな、ジャズ演奏におけるベースの役割の明確化と理想的なベースの演奏モデルの提示。そういうリーダーを張るベーシストの王道をしっかりと押さえたロンのベースのパフォーマンスはさすがです。
ジャケットもお洒落。編成とアレンジの勝利。『ジム・ホールの想い出』。初めて聴いた時、思わず「これは良いアルバムではないか」と、ただただ感心した。
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