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2016年1月14日 (木曜日)

ビ・バップを体感できるライブ盤

年初から続いているジャズの「アルトサックス」のアルバム聴きのシリーズ。意外とアルト・サックスってバリエーション豊かで面白い。そう言えば、アルト・サックスって最近、集中して聴いていなかったなあ。ということで、まだまだ続く「アルト・サクソフォーニスト」の特集。

今日は、ジャズのアルト・サキソフォンといえば、この人だろう、そう「チャーリー・パーカー(Charlie Parker)」。ビ・バップの祖の一人。「モダン・ジャズ(ビ・バップ)の父」。ジャズを聴く上で、この人の演奏は避けられないだろう。いつかは聴かなければならない、マスト・ミュージシャンの一人である。

そんなチャーリー・パーカーであるが、彼のアルバムについては、録音した時代が古いこともあって音もあまり良く無く、テクニック優先のビ・バップの演奏が中心なので、ゆっくりそのプレイを楽しむという類のものでは無い。そういう意味で、パーカーを楽しむことの出来るアルバムはあまり多く無いというのが本音。

そんな中、このアルバムは、音はあまり良く無いが意外と聴き易く、パーカーのビ・バップの演奏の特徴をしっかりと掴むことが出来る、僕のお気に入りアルバムの一枚である。Charlie Parker『The Washington Concerts』(写真左)。2001年の発掘リリースになる。なんとリリースしたレーベルはブルーノートなんですね。さすがです。

タイトル通り、米国の首都、ワシントンDCでのライブ録音。1952年10月と1953年3月はThe Howard Theater、1953年2月はClub Kavakosでの録音となっている。ビ・バップのピークは1940年代後半なので、ビ・バップからハードバップへ移行し始めた、ビ・バップにとって微妙な時期の録音になる。
 

Parker_the_washington_concerts

 
とある楽曲からコード進行を借用し、そのコード進行に乗って、いかにイマジネーション溢れる、かつ疾走感溢れるハイテクニックなアドリブを聴かせるか。そんな一種アクロバティックな、瞬間芸の様なジャズ。そんな「ビ・バップ」という演奏形態が、このライブ盤では手に取るように判る。

アルバムの最初から最後まで、パーカーの熱い「ビ・バップ」のアルト・サックスが堪能出来ます。とにかくテクニックが凄い。どうやったら、これだけ滑らかな、これだけ複雑でアクロバティックな、そして魅力的なアドリブ・フレーズが紡ぎ出せるのか。とにかく、パーカーは天才でした。

実は、私、ビ・バップについては、このライブ盤を聴いて、やっと理解出来る様になりました。そういう意味で、このCharlie Parker『The Washington Concerts』というライブ盤は、僕にとって記念すべきライブ盤です。ジャケットも何気に良い感じですしね。

フレーズの流麗さを聴くのでは無く、そのテクニックの凄さ、複雑でアクロバティックなアドリブ・フレーズという「瞬間芸」を楽しむ様な塩梅なんだとやっとこさ理解して、チャーリー・パーカーもディジー・ガレスピーも楽しめる様になりました。

 
 

震災から4年10ヶ月。決して忘れない。まだ4年10ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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