ロンのクロスオーバー期の好盤
昨日書いたが、ロン・カーターのリーダー作については、意外と1970年代のアルバムは注目されない。辛うじて、CTIやKuduというクロスオーバー・ジャズのレーベルからのリーダー作については採り上げられることはあるが、1970年代後半のMilestoneレーベルの諸作については語られることは少ない。
しかし、Milestoneレーベルの諸作は、クロスオーバー系のジャズ、若しくはピッコロ・ベースを弾き込んだ企画盤の好盤が目白押し。純ジャズ命のジャズ者の方々については、このロン・カーターの1970年代のクロスオーバー系のジャズなどは許せないアルバムなんだろうが、フュージョン・ジャズのマニアである我々からすると、意外とのこのMilestoneレーベルの諸作には以前より親しんでいる。
ジャズメンたるもの、一流という看板を背負う位に立身出世した暁には「ウィズ・ストリングス」のリーダー作をリリースすべし、という「習わし」があるのかどうかは知らぬが、確かに、それぞれレジェンドと言われるジャズメンは、ほぼ全て「ウィズ・ストリングス」なリーダー作をリリースしている。
さて、ロン・カーターのリーダー作の中にも「ウィズ・ストリングス」なリーダー作がある。Ron Carter「Pastels」(写真左)。1976年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Ron Carter (b), Kenny Barron (p), Hugh McCracken (el-g), Harvey Mason (ds)。加えて、Don Sebesky (cond, arr)。
カーターのカルテットは、クロスオーバー系ジャズのカルテット。純ジャズ的な雰囲気も宿してはいるが、リズム&ビートは8ビート、ギターはエレギ、ドラムがハービー・メイソンとくれば、やはり、クロスオーバー系のジャズに落ち着く。そんなクロスオーバー系ジャズのロン・カーターのクインテットの演奏に豪華なストリングスが伴奏につく。アレンジはドン・セベスキー。当時の売れっ子アレンジャーである。
1970年半ば、クロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズへの移行期独特の音がこのアルバムに詰まっている。メインストリーム・ジャズ出身ではあるが、意外とグルーヴィーに泳ぐロンのベース。このロンのベース・ソロが全編に渡って響き渡る。このベース・ソロについては未だに賛否両論であるが、僕はこのグルーヴ感漲るロンのベース・ソロが気に入っている。
加えて、メイソンの固くタイトに打つドラムと全くもってクロスオーバーな雰囲気を醸し出すマクラッケンのエレギ。そして、この人のピアノが、このクロスオーバー系ジャズの雰囲気の中に純ジャズ的な雰囲気を宿しているのだが、端正で典雅なバロンのピアノ。
そんなロン・カーター・カルテットの演奏をセベスキー指揮のストリングスが盛り立てる。1970年代独特のファンクネス漂う雰囲気が実に芳しい。アルバム全体は明らかに1970年代の音で、今の耳で聴けば明らかに古さを感じさせるが、チープに感じることなく、懐メロっぽくも聴こえない。演奏の土台がしっかりしているんだろう。
震災から4年10ヶ月。決して忘れない。まだ4年10ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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