聴き初めのアルトの「続き」
昨日、Lee Konitz『Motion』で聴き始め。コニッツのアルトを聴いて、次に思い浮かべるのが「フィル・ウッズ」。まるで連想ゲームのようなんだが、僕の頭の中ではそうなる(笑)。
硬派でスカっとする純ジャズ。硬派でストイック。甘さも微塵も無い、切れ味の良いインプロビゼーションの嵐。とくれば、それに似合ったフィル・ウッズのアルバムがこれだろう。Phil Woods『Musique du bois』(写真)。
1974年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Phil Woods (cl, as), Jaki Byard (p), Richard Davis (b), Alan Dawson (ds)。ピアノがジャキ・バイアード、ベースがリチャード・デイビス、ドラムがアラン・ドーソン。いや〜良いリズム・セクションですね。ウッズが喜々として吹きまくる気持ちが判ります。
冒頭の「Samba du Bois」を聴けば、その硬派ぶりが良く判る。リチャード・デイビスの「ブブブンブン」としなやかに唸るようなベースから始まり、なんだなんだ、と思っていたら、そこにフィル・ウッズのアルトがスッと乗りかかってくる。重なるシンバル、そして、ピアノ。自然な流れの様に淀みなく流れていく。
まったくして「硬派でストイック、甘さも微塵も無い、切れ味の良いインプロビゼーション」とはこのことである。「あ〜、ほんま、ジャズ聴いてるわ」と心から思える瞬間。ジャズ者ベテランであれば、皆、そう感じるでしょう、ね。ほんと、このアルバムって、そんな思いを強く持たしてくれる、ジャズ者ベテラン御用達の好盤です。
2曲目の「Willow Weep for Me」が、これまた面白い。どこかで聴いた前奏。これって「All Blues」のベースラインやん、て思うんですが、そこに乗っかってくる旋律が「あれれ、柳よ泣いておくれ」。いや〜、これもいかにもジャズらしいなあ。何でもありのジャズ。「洒落てるだろ」と得意げなウッズの顔が目に浮かぶ。
3曲目は「Nefertiti」ですよ。あのマイルスの名演で有名なウェイン・ショーターの名曲ですが、これがまた良い。切れ味の良いウッズのアルトが「Nefertiti」のフレーズを、エモーショナルに紡いでいく。マイルスのそれは「クール」、ウッズのそれは「ホット」。バックのリズム・セクションが個性あるバッキングを繰り広げる。マイルス・バンドには無い「ホット」なビート。
6曲目の「Airegin」も良い。もともとウッズのアルトは切れ味良く、グッと締まったアルトなんだが、この「エアジン」のアルトのアドリブ・ラインもグッと締まっていて、聴いていて気持ちが良い。70年代のウッズのベスト・プレイに近いのではないか。
この盤が録音されたのが1974年。ジャズの世界では、フリーじゃ、クロスオーバーじゃ、フュージョンじゃ、と大騒ぎの時代。そんな時代に、こんな硬派でスカっとする純ジャズ。硬派でストイック。甘さも微塵も無い、切れ味の良いインプロビゼーションの嵐。どっこい純ジャズは生きている。そんな想いが嬉しい、爽やかな好盤です。
震災から4年9ヶ月。決して忘れない。まだ4年9ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
フィルウッズは一番好きなアルトです。そのフルトーンで豪快に飛ばすスタイルが好きです。パーカーの影響をモロに受け、その未亡人までも受け継いだ?くらいのパーカー直系アルト吹きですが、個人的にはパーカーよりはるかに好きであります。ww
良く聞くのは「ウッドロア」、「フィルトークスクィル」(エピック盤)あたりですが、ヨーロピアンリズムマシーンも血が騒ぎますね。^^
今年も楽しい。マスターや皆様の話題を期待していますです。(^^♪
投稿: おっちゃん | 2016年1月 5日 (火曜日) 11時09分