キャノンボールのアルトの愛で方
年初からアルト・サックスを聴き込んでいて思うんだが、意外とアルト・サックスのジャズは奥が深い。まずは、意外とアルト・サックスの奏者が多い。しかも個性的な奏者が多くて、聴き進めていくとなかなかに面白い。そう言えば、アルト・サックスのジャズを聴き込むことはあまりなかったことに気がついた。
アルト・サックスのジャズを聴き込むと、必ずこの人にぶち当たる。キャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)。ファンキーな健康優良児。大きな太った身体を揺らしながら、キンキンにアルト・サックスを吹き挙げる。とにかく喧しいくらいである。
僕は最初、このキャノンボールが喧しくて嫌いだった。とにかく五月蠅い。耳について耳について、キャノンボールのファンキー・ジャズのアルバムは暫く遠ざけた。が、である。大学時代の例の「秘密の喫茶店」のママさんに、このアルバムを聴かせて貰って、キャノンボールに対する考え方を改めた。
そのアルバムとは『Cannonball Adderley Quintet in Chicago』(写真左)。1959年2月の録音。マイルスの当時の6重奏団から、その親分のマイルスを抜いたクインテットでの演奏である。改めて、ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), John Coltrane (ts), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。
1曲目の「Limehouse Blues」を聴いて、喧しい位にアルトを吹き上げる中に流麗な歌心が潜み流れていることに気がつく。これだけ流麗で明るいブルース。これはこれで「有りかな」と思う。そして、次の曲で「おおっ」と思う。
2曲目の「Stars Fell On Alabama」である。邦題「アラバマに星堕ちて」は、こってこてのバラード・ナンバー。これが絶品なのである。この演奏はコルトレーン抜き。カルテット形式、キャノンボールのワンホーン・カルテットである。ここでのキャノンボールのバラード・プレイは絶品。これだけの歌心溢れる、流麗で明るいバラードは他に無い。
3曲目以降、流麗で明るくて陽気なハードバップが展開される。陽気な中に歌心が溢れ、楽しい楽しいハードバップ。なるほど、キャノンボールって、喧しいだけのアルト・サックスや無かった。陽気な明るい音の中にしっかりと歌心が潜んでいて、その歌心は意外とワン・ホーンな演奏の時に現れ出でるのだ。
加えて、競う必要の無い、競う気にならないパートナーの場合も、しっかりとその「歌心」が現れ出でる。なるほどそうなんや。そうと判れば、キャノンボールの聴き方が決まったというもの。以降、キャノンボールのアルト・サックスは僕のお気に入り。大学時代の例の「秘密の喫茶店」のママさんに感謝、感謝である。
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