ロンがベース・ソロを弾きまくる
ロン・カーターについては、ベーシストとしては珍しく、かなりの数に上る。リーダー作というのは、まずテクニックがあって積極性があって、そして、プロデュース力があって、統率力がなければ出来ない。そういう面で、ロンは意外と目立ちたがり屋なのかもしれない。
そんなロン・カーターのリーダー作であるが、意外と1970年代のアルバムは注目されない。辛うじて、CTIやKuduというクロスオーバー・ジャズのレーベルからのリーダー作については採り上げられることはあるが、1970年代後半のMilestoneレーベルの諸作については語られることは少ない。
そんな1970年代後半のMilestoneレーベルからリリースされたロン・カーターのリーダー作の中で、ロンが前面に立って、ロンがベースを弾きまくるというアルバムがある。1978年リリースの、Ron Carter『Peg Reg』(写真左)。録音は1977年11月。ちなみにパーソネルは、Ron Carter (b), Kenny Barron (p), Jay Berliner (g), Buster Williams (b), Ben Riley (ds, perc)。
アルバム全体の雰囲気は、CTIやKuduからクロスオーバー・ジャズの雰囲気を踏襲している。よくよくパーソネルを見渡すと、フロントを張る楽器がギターしか無い。逆にバックのリズム・セクションを勤めるべきベースが2本もある。どういう編成なんだ、と思いきや、なんと、ロンのベースは基本的にフロントの「ソロ」楽器なのだ。
冒頭のタイトル曲「Peg Leg」から、ロンのベースは「アクセル全開」。弾きまくる弾きまくる。ケニー・バロンのピアノと絡み合いながら、難度の高そうなフレーズをバリバリに弾き上げて行きます。軽快に弾きまくるロン。これだけ軽快なベースのソロはなかなか他では聴く事はできません。
聴いていると、ベースのキーが高いのが判る。あれ〜、これってなんていうベースなんだ。そう「ピッコロ・ベース」ですね。ソロのフレーズがフロント楽器の様に聴き易くなることを狙いに開発されたロンの秘密兵器です。
セロニアス・モンクの難曲「Epistrophy」があれば、リラックスしたブラジリアン・ナンバー「Patchouli」と収録された曲はとりとめもない選曲ですが、どの曲もロンのピッコロ・ベースがのソロが炸裂します。いやいや、よくもまあこれだけ指が動くもんだ、と感心します。アコースティック系のベースを速弾きとしては、ロンは最右翼でしょう。
語られることが少ない、1970年代後半のMilestoneレーベルの諸作の中で、この『Peg Reg』は、クロスオーバー・ジャズな内容で、ロンがピッコロ・ベースを弾きまくる「異色盤」です。ロンのベースの難点であった「ピッチ」についても、このアルバムではまずまず合っていて、聴き応えがあります。
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ロンカーターのアルバムで私が良く聞くのはベースで全編ピチカートで挑んだ「バッハ無伴奏チェロ組曲」(フィリップス)なのですが、素人耳できいても
「音程の不確かさ」?がわかるほどのフラフラ音程ながら、なぜか気持ちがいいのであります。笑
一時期はあの独特の「ぶーん、ぶーん」フレーズにやり過ぎ感を感じたりもしましたが、ある意味でその存在感をあまり表面にださないベーシトという意味では、ドラムのジャックでジョネットと並ぶ「新世代感覚」を感じます。
ロンもジャックも、私は「この人のスタイルで聞きたい」という意味ではほとんど興味を感じませんが(~_~;)、ソリストにとってはやりやすいスタイルなのだろうなあ、と思いますです。
投稿: おっちゃん | 2016年1月24日 (日曜日) 08時31分