フュージョンの安心のブランド
「2015年度 ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー」というもの、フュージョン&スムース・ジャズに着目することは少ない。やはり、どうしてもメインストリーム・ジャズが中心になる。でも、フュージョン&スムース・ジャズにも、なかなかの好盤がリリースされている。
昔、フュージョン・ジャズがメインの「ADLIB(アドリブ)」という雑誌があった。2010年に廃刊になったが、この「ADLIB」という雑誌にはいろいろとお世話になった。フュージョン&スムース・ジャズがメインの雑誌なので、フュージョン者にとっては貴重な情報源だった。
そんなADLIB誌の「2015年度 フュージョン&スムース・ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー」があったらどんなアルバムが選出されていたんだろう。想像するだけでワクワクするなあ。ということで、バーチャル音楽喫茶『松和』がADLIB誌の代わりに「2015年度 フュージョンジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー」を特集したい。
まずはこのアルバム。Jeff Lorber Fusion『Step It Up』(写真左)。「Jeff Lorber Fusion」、フュージョン・ジャズの安心のブランドである。1970年代後半からのフュージョン・ジャズを更に洗練して、大人のフュージョン・ジャズの今、を聴かせてくれるバンドである。
リーダーのジェフ・ローバー(写真右)は、フュージョン・ジャズのキーボーディスト&プロデューサー、コンポーザー。趣味の良い、小粋なファンクネス漂うサウンドと、良い意味で捻れた新しい響きを感じるコード進行が個性。このジェフ・ローバーのキーボードは癖になる。フュージョン者には必須のアイテム。
中核メンバーに、ジミー・ハスリップ(b)とエリック・マリエンサル(sax)が控えていたが、今回、マリエンサルがラインアップから外れて、ジェフ・ローバーとジミー・ハスリップのツー・メン・ユニットになった。しかし、サックスについては、ゲイリー・ミークとボブ・ミンツァーが埋めている。
加えて、ポール・ジャクソンJr.&マイケル・トンプソン(g)、ヴィニー・カリウタ(ds)、レニー・カストロ(perc)らがバックを分担している。そして、ゲストにロベン・フォード、ラリー・クーンズという個性的なギタリストを迎えていて、このメンバーを見渡しただけでも、この新作は「買い」である。「大人のフュージョン・ジャズの今」の旬のメンバーがズラリ勢揃い。
丸くてシッカリと芯のある、心地良いグルーブ感がこのバンドの特徴。その心地良いグルーブ感にそこはかと漂う小粋なファンクネス。決して耳触りにならない、ハイ・テクニックで歌心溢れるアドリブ・ソロ。ジャズ、ロック、ファンク、さらにワールド・ミュージックまで幅広な音楽性を融合した、絵に描いた様な「フュージョン・ジャズ」。
何気なく流し続けていると、1970年代後半のエレ・ハンコックを典雅にメロウに洗練した様な「ジャズ・ファンク」な音に、思わず心が揺れていることに気がつく。フュージョンなスイング感もこのバンドのビートの個性でもある。
非常にクオリティの高いフュージョン・ジャズ盤である。こういうフュージョン・ジャズが創造され、アルバムとしてリリースされる。フュージョン&スムース・ジャズもまだまだ捨てたもんじゃ無い。
震災から4年10ヶ月。決して忘れない。まだ4年10ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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