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2016年1月の記事

2016年1月31日 (日曜日)

GUITAR WORKSHOP Vol.1

1970年代後期からから1980年代初期に一世を風靡したフュージョン・ジャズ。日本のレコード会社では、レコーディングのコスト削減や手っ取り早い売上を目論んで、オムニバスな企画盤をいろいろ制作している。ほとんどが売らんが為の企画盤なんで、21世紀の時代になってリイシューされることは無い。しかし、たまに「これは」と目を見張るような懐かしのリイシューがあるから面白い。

『GUITAR WORKSHOP Vol.1』(写真左)。当時、メディアで話題になり大ヒットしたシリーズ、ギターワークショップの歴史的第一作。創造的で内容の濃いオムニバス。1977年のリリース。懐かしいなあ。僕は1979年辺りで、このオムニバスの企画盤と出会っている。ロックとは違うフュージョン・ジャズのギターのインプロに心底感じ入った。しかもギタリストは日本人ばかり。愛聴盤になったのは言うまでも無い。

この企画盤、4人の日本人ギタリストの競演になる。伝説のフュージョン・グループ、プリズム参加直前の森園勝敏、YMO参加前の「ギターを知り抜いた男」大村憲司、浪速のブルース・ギタリストとしてならした山岸潤史、そして、若き日のフュージョン・ジャズの日本のエース・ギタリスト渡辺香津美。

収録されたどのセッションも内容に優れたものばかり。1970年代後期からから1980年代初期に一世を風靡したフュージョン・ジャズのブームの中で、日本のフュージョン・ギタリストのレベルが如何にハイレベルであったかが理解出来る。そんな日本人のギタリストのショーケースの様な企画盤である。ちなみに収録曲は以下のとおり。
 

Jazz_guitar_work_shop_vol1

 
1.Day Dream(森園)
2.Left Handed Woman(大村)
3.Neptune(渡辺)
4.Mornin' Bright(山岸)
5.Genetle Afternoon(渡辺)
6.Groovin'(山岸)
7.When A Man Loves A Woman(大村)
8.Out Of Blue(森園)
9.I'm In You(森園、大村、渡辺、山岸)

 
それぞれの曲の内容の詳細については、他のフュージョン者の方々がネット上で詳しく解説されているので、それをご覧あれ。「GUITAR WORKSHOP Vol.1」でググっただけで、かなりの数の関連ブログが出てくる。

現在においての、このオムニバス企画盤の人気の度合いが見て取れる。リイシューは正解だろう。今の耳で聴いても、この『GUITAR WORKSHOP Vol.1』の中に詰まっているフュージョン・ギターは色褪せていない。

曲によっては、伝説の天才ドラマー、村上ポンタ秀一や、YMO参加直前の「教授」こと坂本龍一などもゲスト参加していて、このアルバムに詰まって居るセッションのレベルを更に高めている。

更に、よくよくセッション・メンバーを見ると、スペクトラムのメンバーもホーン・セクションで参加したりで、当時の日本のフュージョン・ジャズ・シーンの充実度が如何に高かったかを思い知る。

 
 

震災から4年10ヶ月。決して忘れない。まだ4年10ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

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2016年1月30日 (土曜日)

「クロスオーバー」は生きている

さてさて、バーチャル音楽喫茶『松和』が、伝説のフュージョン・ジャズ雑誌「ADLIB」の代わりに特集する「2015年度 フュージョンジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー」。今日のアルバムはこれ。

Lionel Loueke『Gaïa』(写真左)。まず、このアルバム・リーダーの名前が読めない(笑)。Lionel Loueke=ライオネル・ルエケと読むらしい。このライオネル・ルエケは1973年、ペニン生まれのギタリスト。今年で43歳になる。バークリー音楽院出身。アフリカ出身のジャズ・ミュージシャンの中でも、カメルーンのリチャード・ボナとともに21世紀初頭最高のミュージシャンとの評価の高いギタリストである。

さて改めて、Lionel Loueke『Gaïa』。昨年のリリース。ちなみにパーソネルは、Lionel Loueke (vo,g), Massimo Biolcati (b), Ferenc Nemeth (ds)。ブルーノート・レーベルからのリリースである。もともとブルーノートからリリースされるアルバムのリーダーは元来曲者が多い。このリーダー・ギタリストのライオネル・ルエケも曲者ギタリストではある。

加えて、プロデュースはドン・ウォズ。現代の「アルフレッド・ライオン」と謳われるドン・ウォズ。ブルーノートの社長であり、プロデューサーでもある。そんなドン・ウォズのプロデュース盤である。ありきたりの盤である筈が無い。と思いつつ聴いて、あぁやっぱりと納得の素晴らしい内容のアルバムである。

内容的には「クロスオーバー・ジャズ」と表現するのが一番適切だろう。フュージョン・ジャズと表現するには、音がシンプルでストイックで攻撃的。ジャズとロックの融合がメインな音世界。ソフト&メロウな要素はほとんど無い。そういう意味で、1970年代の「クロスオーバー・ジャズ」の音世界に近似している、と表現するのが、この盤に相応しい。
 

Lionel_loueke_gaia

 
さて、このライオネル・ルエケの4枚目のブルー・ノート作品は親しい友人を観客に迎えたスタジオ・ライヴ盤。トリオの緊張感溢れるインプロビゼーションが心地良い。

1970年代のクロスオーバー・ジャズを温故知新しつつ、1980年代以降、現在までのジャズ演奏のトレンドもそこはかとなく織り込んでいるので、音の古さは全く感じない。逆に新しい響きを湛えたクロスオーバー・ジャズの音にちょっとどぎまぎする。

一言で言うと「ジャズとロックの融合がメインで、アフリカ的な音の響きを織り込むことが個性」な音世界である。これが実にユニーク。今までありそうでなかった大人のだ。どこかで聴いたことがあるんじゃないか、と思って聴き込むのだが、これが「無い」。

このクロスオーバー・ジャズの世界に織り込まれたアフリカ的な音の響きという部分が、このルエケのトリオの個性であり、このルエケを曲者ギタリストとする所以である。

1970年代のエレクトリック・ジャズの世界を臨書しつつ、アフリカな響きを現在までのジャズ演奏のトレンドと共に取り込んで展開する。こういう内容のアルバムが2015年にリリースされるという事実を捉えると、クロスオーバー・ジャズは生きている、まだまだ進化しているんやなあ、と改めて感動する。良いアルバムです。

 
 

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2016年1月29日 (金曜日)

程良いホットなハードバップ

ジャズのアルト・サックスの探求の聴き直しは続く。この聴き直しでは「リー・コニッツ」を好んで聴き直している。熱い演奏がウリのビ・バップの時代に、程良くアレンジされたクールなジャズをメインとしていた「リー・コニッツ」。そんなクール・ジャズの代表格な「リー・コニッツ」のアルトが実に興味深いのだ。

クール・ジャズの代表が程良く熱いブロウを繰り広げるリーダー作がある。Lee Konitz『Very Cool』(写真左)。1957年5月、ニューヨークでの録音。ちなみにパーソネルは、Lee Konitz (as), Peter Ind (b), Shadow Wilson (ds), Sal Mosca (p), Don Ferrara (tp)。コニッツ以外、ベースのピーター・インドは辛うじて知ってはいるが、後は全く僕にとって無名なメンバー。

しかし、この『Very Cool』でのコニッツのアルトは実に味わい深い。録音した年代、1957年と言えば、ジャズについては「ハードバップ」がトレンド真っ只中。ハードバップな優れた演奏がアルバムになって、どしどしリリースされていた時代。そんな時代にこのコニッツのクールなブロウ。

コニッツは、なクール・ジャズの代表格。程良くアレンジされた、抑制の美を追究するのが旨の「クール・ジャズ」。そんなクール・ジャズなアルトに少しだけ火を付けて暖かみを持たせるだけで「あ〜ら不思議」。実に粋な、実に程良いホットなハードバップ演奏に早変わり。
 

Very_cool

 
コニッツのアルトは、程良い「熱」も持ったアドリブ演奏に早変わり。これが聴き手である我々にグッと訴求するのだ。程良くコントロールされた「熱」を持った、趣味の良いハードバップなアドリブ・フレーズ。程良い熱を持った「クール・ジャズ」なアルト。これが良いのだ。これがこの盤の魅力の全て。

実はこの『Very Cool』という盤は、1970年代後半、ジャズ雑誌とレコード会社がタイアップしたキャンペーンで、ジャズLPの入門盤として結構紹介されていた。が、しかし、このアルバムのジャケットを見ていただければ判るのであるが、とにかく趣味が悪い。この趣味の悪いジャケットのお陰で、その時、全くこの盤に触手が伸びなかった。

ほとんど成金趣味な、趣味の悪いおっさんが好みそうな趣味の悪い、こってこてなジャケット・デザイン。これが僕をこの盤から遠ざけた。この盤を真面目に最後まで聴き通したのは、21世紀になってからである。不明を恥じるのではあるが、このジャケット・デザインはあんまりである。

僕にとっては、ジャケット・デザインに惑わされ、愛でるに遅れた好盤です。クールなジャズに熱を加えて仄かに暖める。すると、こんなに小粋で趣味の良い、適度にホットなハードバップな演奏になる。そんなリー・コニッツのアルトが愛おしい好盤です。
 
 
 
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2016年1月28日 (木曜日)

オズ・ノイのエレギの入門盤です

さて、バーチャル音楽喫茶『松和』が、伝説のフュージョン・ジャズ雑誌「ADLIB」の代わりに特集する「2015年度 フュージョンジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー」。今日のアルバムはこれ。

Oz Noy『Asian Twistz』(写真左)。変幻自在の捻れギター・プレイが個性の、イスラエル出身のエレギの鬼才、オズ・ノイのライブ盤。ちなみにパーソネルは、Oz Noy (g), Dave Weckl (ds), Etienne Mbappe (b)。ギター・トリオである。2014年上海、タイでのライブ音源。

オズ・ノイの幽玄で変幻自在な捻れエレギについては、彼のアルバムに出会う度に愛でている。初めのリーダー・アルバムがリリースされたのが、2000年前半、2003年から2004年辺りだと記憶しているので、まだ、デビューして10年程度。1972年生まれだそうなので、今年で44歳になる。まだまだ中堅ど真ん中。

「Jeff Beck meets John Scofield in James Brown’s band」。オズ・ノイのエレギの個性をズバリ言い当てた言い回しである。なるほどなあ。確かに、オズ・ノイのエレギの基本部分はジェフ・ベックのロック・エレギの音のテイストに通じる。なるほどなあ。

で、やはり、このオズ・ノイのエレギの捻れ方は、John Scofield(ジョン・スコ)になぞらえられるんやなあ。確かに「捻れ方」はジョンスコと良い勝負。ジョンスコよりも漂う様に捻れるところが個性。
 

Asian_twistz

 
そして、ジャズ・ギターというよりは、R&Bなテイストのファンキー&ダンサフルなギターである。なんしかノリが良い。ファンキーでノリが良いので「ダンサフル」。オズ・ノイのエレギの個性その2である。

そんな個性バリバリのオズ・ノイのエレギに負けず劣らず個性的な、デイヴ・ウェックルのドラムとエティエンヌ・ムバペのベースが絡むのだ。
 
ということで、このギター・トリオの音は、フュージョン・ジャズの中でも飛び切り尖っていて、最先端のトレンドを音にした様な、とりわけ新しい音の塊なのだ。

タイトルが「アジアン・ツイスト」だけど、ツイストな演奏ばっかりが詰まっている訳ではない。8曲目の「Freedom Jazz Dance」などは、1960年代、新主流派の名曲のカバー。モーダルな楽曲を、捻れ絡んだギター・トリオが幽玄な音世界を紡ぎ上げていく。名演である。 

昨年リリースのオズ・ノイの最新作『Asian Twistz』。気軽に楽しめる好盤だと思います。オズ・ノイのエレギの入門盤としても良いアルバムです。

 
 

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2016年1月27日 (水曜日)

キャノンボールのアルトの愛で方

年初からアルト・サックスを聴き込んでいて思うんだが、意外とアルト・サックスのジャズは奥が深い。まずは、意外とアルト・サックスの奏者が多い。しかも個性的な奏者が多くて、聴き進めていくとなかなかに面白い。そう言えば、アルト・サックスのジャズを聴き込むことはあまりなかったことに気がついた。

アルト・サックスのジャズを聴き込むと、必ずこの人にぶち当たる。キャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)。ファンキーな健康優良児。大きな太った身体を揺らしながら、キンキンにアルト・サックスを吹き挙げる。とにかく喧しいくらいである。

僕は最初、このキャノンボールが喧しくて嫌いだった。とにかく五月蠅い。耳について耳について、キャノンボールのファンキー・ジャズのアルバムは暫く遠ざけた。が、である。大学時代の例の「秘密の喫茶店」のママさんに、このアルバムを聴かせて貰って、キャノンボールに対する考え方を改めた。

そのアルバムとは『Cannonball Adderley Quintet in Chicago』(写真左)。1959年2月の録音。マイルスの当時の6重奏団から、その親分のマイルスを抜いたクインテットでの演奏である。改めて、ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), John Coltrane (ts), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。
 

Cannonball_in_chicago

 
1曲目の「Limehouse Blues」を聴いて、喧しい位にアルトを吹き上げる中に流麗な歌心が潜み流れていることに気がつく。これだけ流麗で明るいブルース。これはこれで「有りかな」と思う。そして、次の曲で「おおっ」と思う。

2曲目の「Stars Fell On Alabama」である。邦題「アラバマに星堕ちて」は、こってこてのバラード・ナンバー。これが絶品なのである。この演奏はコルトレーン抜き。カルテット形式、キャノンボールのワンホーン・カルテットである。ここでのキャノンボールのバラード・プレイは絶品。これだけの歌心溢れる、流麗で明るいバラードは他に無い。

3曲目以降、流麗で明るくて陽気なハードバップが展開される。陽気な中に歌心が溢れ、楽しい楽しいハードバップ。なるほど、キャノンボールって、喧しいだけのアルト・サックスや無かった。陽気な明るい音の中にしっかりと歌心が潜んでいて、その歌心は意外とワン・ホーンな演奏の時に現れ出でるのだ。

加えて、競う必要の無い、競う気にならないパートナーの場合も、しっかりとその「歌心」が現れ出でる。なるほどそうなんや。そうと判れば、キャノンボールの聴き方が決まったというもの。以降、キャノンボールのアルト・サックスは僕のお気に入り。大学時代の例の「秘密の喫茶店」のママさんに感謝、感謝である。

 
 

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2016年1月26日 (火曜日)

フュージョンの安心のブランド

「2015年度 ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー」というもの、フュージョン&スムース・ジャズに着目することは少ない。やはり、どうしてもメインストリーム・ジャズが中心になる。でも、フュージョン&スムース・ジャズにも、なかなかの好盤がリリースされている。

昔、フュージョン・ジャズがメインの「ADLIB(アドリブ)」という雑誌があった。2010年に廃刊になったが、この「ADLIB」という雑誌にはいろいろとお世話になった。フュージョン&スムース・ジャズがメインの雑誌なので、フュージョン者にとっては貴重な情報源だった。

そんなADLIB誌の「2015年度 フュージョン&スムース・ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー」があったらどんなアルバムが選出されていたんだろう。想像するだけでワクワクするなあ。ということで、バーチャル音楽喫茶『松和』がADLIB誌の代わりに「2015年度 フュージョンジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー」を特集したい。

まずはこのアルバム。Jeff Lorber Fusion『Step It Up』(写真左)。「Jeff Lorber Fusion」、フュージョン・ジャズの安心のブランドである。1970年代後半からのフュージョン・ジャズを更に洗練して、大人のフュージョン・ジャズの今、を聴かせてくれるバンドである。

リーダーのジェフ・ローバー(写真右)は、フュージョン・ジャズのキーボーディスト&プロデューサー、コンポーザー。趣味の良い、小粋なファンクネス漂うサウンドと、良い意味で捻れた新しい響きを感じるコード進行が個性。このジェフ・ローバーのキーボードは癖になる。フュージョン者には必須のアイテム。
 

Step_it_up1

 
中核メンバーに、ジミー・ハスリップ(b)とエリック・マリエンサル(sax)が控えていたが、今回、マリエンサルがラインアップから外れて、ジェフ・ローバーとジミー・ハスリップのツー・メン・ユニットになった。しかし、サックスについては、ゲイリー・ミークとボブ・ミンツァーが埋めている。

加えて、ポール・ジャクソンJr.&マイケル・トンプソン(g)、ヴィニー・カリウタ(ds)、レニー・カストロ(perc)らがバックを分担している。そして、ゲストにロベン・フォード、ラリー・クーンズという個性的なギタリストを迎えていて、このメンバーを見渡しただけでも、この新作は「買い」である。「大人のフュージョン・ジャズの今」の旬のメンバーがズラリ勢揃い。

丸くてシッカリと芯のある、心地良いグルーブ感がこのバンドの特徴。その心地良いグルーブ感にそこはかと漂う小粋なファンクネス。決して耳触りにならない、ハイ・テクニックで歌心溢れるアドリブ・ソロ。ジャズ、ロック、ファンク、さらにワールド・ミュージックまで幅広な音楽性を融合した、絵に描いた様な「フュージョン・ジャズ」。

何気なく流し続けていると、1970年代後半のエレ・ハンコックを典雅にメロウに洗練した様な「ジャズ・ファンク」な音に、思わず心が揺れていることに気がつく。フュージョンなスイング感もこのバンドのビートの個性でもある。

非常にクオリティの高いフュージョン・ジャズ盤である。こういうフュージョン・ジャズが創造され、アルバムとしてリリースされる。フュージョン&スムース・ジャズもまだまだ捨てたもんじゃ無い。

 
 

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2016年1月25日 (月曜日)

ホーンがメインのジャズ・ファンク

雑誌の「2015年度 ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー」に触発されて、我がバーチャル音楽喫茶『松和』でも、昨年リリースされたジャズ盤の中から印象に残ったものをピックアップしています。今日は、 ホーンがメインのジャズ・ファンク・バンドの新作。

「Lettuce」=レタスと読む。バンド名である。どんなバンドなのか。ネットの情報をそのまま借用すると、以下の様な説明になる。

「ソウライヴのギタリスト、エリック・クラズノを中心にバークリー音楽大学時代の悪友達、アダム・ダイチ(ジョン・スコフィールド・バンドでも活躍するバカテク・ドラマー)、サム・キニンジャー(ご存知メイシオ・パーカーの正統後継者であるアルト・サックス奏者)、ライアン・ゾイディス(ts)、エリク・クームス(el-b)、アダム・スミノフ(g)、ラショーン・ロス(tp)に、これまたソウライヴのオルガン弾きニール・エヴァンスが加わった8人組」。

ジャズの本場、米国では、このような「ホーンがメインのジャズ・ファンク・バンド」はなかなか根付かなかった。逆に日本では、1970年代後半に「スペクトラム」が現れ、1980年代以降、「東京スカパラダイスオーケストラ」や「熱帯JAZZ楽団」「渋さ知らズ」など、ホーン・アンサンブルが「ウリ」のバンドが、必ず、その時代時代に根付いている。
 

Lettuce_crush

 
で、この「Lettuce」=レタスであるが、ありそうでなかなか無い、米国では珍しい「ホーンがメインのジャズ・ファンク・バンド」。そのレタスの昨年の新作が、Lettuce『Crush』(写真左)。

ぶ厚いブラス・アンサンブル、耳当たりの良いユニゾン&ハーモニー、圧倒的かつ攻撃的なヘビー・ファンク。エレギとエレベがガッツリ効いて、ロックな感じも芳しく、オルガンの音がむっちゃノリノリでファンクネス濃厚。聴き進めるうちに、身体が自然に動き、足でリズムを取り始める。

変にラップなど、最近のファンクなトレンドに迎合すること無く、音の作り、アレンジは最新なんですが、ずっと聴いていると不思議な懐かしさを感じる、意外と正統派な、レガシーなブラスとエレギ、エレベの響きが良い。メンバー全てがテクニックが素晴らしいので、音の厚み、迫力が圧倒的。切れ味の良い、サラッとしたファンクネスが耳に優しい。

良いアルバムです。米国の「ホーンがメインのジャズ・ファンク・バンド」、「Lettuce」=レタスというバンドを僕はこのアルバムで初めて知りました。いや〜良いですね。フッとかけ始めて、さり気なく流して聴くことが出来るブラス・アンサンブル。僕はこの「Lettuce」=レタスというバンドのアルバムを掘り下げてみたくなりました。

 
 

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2016年1月24日 (日曜日)

珍しい「ロンとチックの共演盤」

ロン・カーターの1970年代のリーダー作群を眺めていて、へ〜っこんなアルバムあったんや、とちょっとビックリするものが何枚かある。基本的には組合せの妙なんだが、このアルバムはとにかく珍しい。

Ron Carter『Parade』(写真左)。1979年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Ron Carter (b), Chick Corea (p), Tony Williams (ds) のピアノ・トリオをベースに、テナー2本、アルト1本、トランペット3本、チューバ2本が加わる、11人編成のスモール・オーケストラ。ユニークな編成。

まず、ちょっとびっくりするのが、ピアノのチック・コリアの参加。ロンの音楽性を鑑みる中で、チック・コリアがピアノで参加する動機が浮かばない。そして、ドラムのトニー・ウィリアムス。ロンのクロスオーバー系ジャズのアルバムには、トニー・ウィリアムスは、事実として決して呼ばない。

そういう意味で、この『Parade』というアルバムは異色作といえる。全11人のユニークな編成は、チック・コリアの「Return to Forever」の編成を彷彿とさせる。ホーン・アレンジがシンフォニック・ジャズやビッグ・バンド・ジャズ的なアレンジが中心となっている。

アルバム全体の雰囲気としては、チックの音楽的趣味を前面に押し出した、スパニッシュ、ボサノバ&サンバ等、チックのフュージョン・ジャズのトレンドがメインの展開になっていて、そこにロンとトニーがリラックスして付き合う、ってな感じになっている。といって、チックもロンもトニーも適当に流している訳では無い。よくよく聴くと、かなり気合いの入ったプレイを聴かせてくれているところが嬉しい。
 

Parade

 
よくよく振り返ってみると、チックとトニーは短期間ではあるが、マイルスやゲッツのバンドで共演している経緯がある。そこでの相性は悪くなかった。基本的に音楽性の志向が合わないだけで、チックとトニーは意外と良い組合せであると僕は思う。逆に、ロンとチックは全くといって良い程、共演のアルバムが無い。

ロンからしてみると、一度はチックとのアルバムを残しておきたい、と思ったのではないか。ロンのクロスオーバー系ジャズについては、スパニッシュ、ボサノバ&サンバ等、チックのフュージョン・ジャズの志向に合致したものが多く、そんな志向の中では、やはり、ピアノ&キーボードはチックが相応しい。でも、縁が無かったんでしょうね。

このアルバムは、ロン、チック、トニーの3人が顔合わせをした唯一のアルバムなので、ピアノ・トリオかワン・ホーン・カルテットといった編成で、ストレート・アヘッドな純ジャズをじっくり聴きたかったという要望が強いのか、あんまり評判が良くありませんが、ロンのフュージョン・ジャズとして聴けば、これはこれで内容のあるアルバムだと思います。

チック者の私からすると、このアルバムはやはり外せませんね。もともとマイルストーン・レーベルのロンのリーダー作は廃盤状態に陥ることが多く、この盤についても、なかなかポピュラーな存在では無かったのですが、最近、やっとダウンロードサイトからの入手も可能になりました。まず、チック者の方々にはお勧めですね。

 
 

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2016年1月23日 (土曜日)

ロンのクロスオーバー期の好盤

昨日書いたが、ロン・カーターのリーダー作については、意外と1970年代のアルバムは注目されない。辛うじて、CTIやKuduというクロスオーバー・ジャズのレーベルからのリーダー作については採り上げられることはあるが、1970年代後半のMilestoneレーベルの諸作については語られることは少ない。

しかし、Milestoneレーベルの諸作は、クロスオーバー系のジャズ、若しくはピッコロ・ベースを弾き込んだ企画盤の好盤が目白押し。純ジャズ命のジャズ者の方々については、このロン・カーターの1970年代のクロスオーバー系のジャズなどは許せないアルバムなんだろうが、フュージョン・ジャズのマニアである我々からすると、意外とのこのMilestoneレーベルの諸作には以前より親しんでいる。

ジャズメンたるもの、一流という看板を背負う位に立身出世した暁には「ウィズ・ストリングス」のリーダー作をリリースすべし、という「習わし」があるのかどうかは知らぬが、確かに、それぞれレジェンドと言われるジャズメンは、ほぼ全て「ウィズ・ストリングス」なリーダー作をリリースしている。

さて、ロン・カーターのリーダー作の中にも「ウィズ・ストリングス」なリーダー作がある。Ron Carter「Pastels」(写真左)。1976年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Ron Carter (b), Kenny Barron (p), Hugh McCracken (el-g), Harvey Mason (ds)。加えて、Don Sebesky (cond, arr)。
 

Pastels

 
カーターのカルテットは、クロスオーバー系ジャズのカルテット。純ジャズ的な雰囲気も宿してはいるが、リズム&ビートは8ビート、ギターはエレギ、ドラムがハービー・メイソンとくれば、やはり、クロスオーバー系のジャズに落ち着く。そんなクロスオーバー系ジャズのロン・カーターのクインテットの演奏に豪華なストリングスが伴奏につく。アレンジはドン・セベスキー。当時の売れっ子アレンジャーである。

1970年半ば、クロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズへの移行期独特の音がこのアルバムに詰まっている。メインストリーム・ジャズ出身ではあるが、意外とグルーヴィーに泳ぐロンのベース。このロンのベース・ソロが全編に渡って響き渡る。このベース・ソロについては未だに賛否両論であるが、僕はこのグルーヴ感漲るロンのベース・ソロが気に入っている。

加えて、メイソンの固くタイトに打つドラムと全くもってクロスオーバーな雰囲気を醸し出すマクラッケンのエレギ。そして、この人のピアノが、このクロスオーバー系ジャズの雰囲気の中に純ジャズ的な雰囲気を宿しているのだが、端正で典雅なバロンのピアノ。

そんなロン・カーター・カルテットの演奏をセベスキー指揮のストリングスが盛り立てる。1970年代独特のファンクネス漂う雰囲気が実に芳しい。アルバム全体は明らかに1970年代の音で、今の耳で聴けば明らかに古さを感じさせるが、チープに感じることなく、懐メロっぽくも聴こえない。演奏の土台がしっかりしているんだろう。

 
 

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2016年1月22日 (金曜日)

ロンがベース・ソロを弾きまくる

ロン・カーターについては、ベーシストとしては珍しく、かなりの数に上る。リーダー作というのは、まずテクニックがあって積極性があって、そして、プロデュース力があって、統率力がなければ出来ない。そういう面で、ロンは意外と目立ちたがり屋なのかもしれない。

そんなロン・カーターのリーダー作であるが、意外と1970年代のアルバムは注目されない。辛うじて、CTIやKuduというクロスオーバー・ジャズのレーベルからのリーダー作については採り上げられることはあるが、1970年代後半のMilestoneレーベルの諸作については語られることは少ない。

そんな1970年代後半のMilestoneレーベルからリリースされたロン・カーターのリーダー作の中で、ロンが前面に立って、ロンがベースを弾きまくるというアルバムがある。1978年リリースの、Ron Carter『Peg Reg』(写真左)。録音は1977年11月。ちなみにパーソネルは、Ron Carter (b), Kenny Barron (p), Jay Berliner (g), Buster Williams (b), Ben Riley (ds, perc)。

アルバム全体の雰囲気は、CTIやKuduからクロスオーバー・ジャズの雰囲気を踏襲している。よくよくパーソネルを見渡すと、フロントを張る楽器がギターしか無い。逆にバックのリズム・セクションを勤めるべきベースが2本もある。どういう編成なんだ、と思いきや、なんと、ロンのベースは基本的にフロントの「ソロ」楽器なのだ。
 

Peg_leg

 
冒頭のタイトル曲「Peg Leg」から、ロンのベースは「アクセル全開」。弾きまくる弾きまくる。ケニー・バロンのピアノと絡み合いながら、難度の高そうなフレーズをバリバリに弾き上げて行きます。軽快に弾きまくるロン。これだけ軽快なベースのソロはなかなか他では聴く事はできません。

聴いていると、ベースのキーが高いのが判る。あれ〜、これってなんていうベースなんだ。そう「ピッコロ・ベース」ですね。ソロのフレーズがフロント楽器の様に聴き易くなることを狙いに開発されたロンの秘密兵器です。

セロニアス・モンクの難曲「Epistrophy」があれば、リラックスしたブラジリアン・ナンバー「Patchouli」と収録された曲はとりとめもない選曲ですが、どの曲もロンのピッコロ・ベースがのソロが炸裂します。いやいや、よくもまあこれだけ指が動くもんだ、と感心します。アコースティック系のベースを速弾きとしては、ロンは最右翼でしょう。

語られることが少ない、1970年代後半のMilestoneレーベルの諸作の中で、この『Peg Reg』は、クロスオーバー・ジャズな内容で、ロンがピッコロ・ベースを弾きまくる「異色盤」です。ロンのベースの難点であった「ピッチ」についても、このアルバムではまずまず合っていて、聴き応えがあります。

 
 

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2016年1月21日 (木曜日)

『ジム・ホールの想い出』に感服

ベーシストがリーダーのアルバムが面白くて、まだまだその聴き直しは続くぞ〜。今日もロン・カーターのアルバムをチョイス。初めて聴いた時、思わず「これは良いアルバムではないか」と、ただただ感心した。

Ron Carter『In Memory of Jim featuring Larry Coryell and Peter Bernstein』(写真左)。2014年1月20日、ブルーノート東京にてライヴ録音。2013年12月に他界したジャズ・ギター界の巨匠、ジム・ホールに捧げたライブ演奏を収録した盤。

改めて、パーソネルは、Ron Carter (b), Larry Coryell, Peter Bernstein (g)。ベースと「2本のギター」とのデュオ演奏。これがまあ、聴けば判るんだが大正解な編成。ギターを2本重ねることで、ジャズ・ギターの音の細さを補って、かつ旋律をクッキリと浮かび上がらせる。

ロンとジムは何枚かの競演アルバムを残している。テクニックを駆使しつつ、歌心溢れるアドリブ・フレーズを繰り出しながら、素晴らしいデュオ・パフォーマンスを展開する。そんな競演ではあるが、僕にはどうしても気になることがあった。

どう聴いてもジムのギターの音が細いのだ。シングルトーン中心のアドリブ演奏なので、それはそれで仕方が無いのだが、相手は太っとい弦のベースである。比べれば、音の細さがどうしても気になる。

で、今回のロンのアルバムでは、その音の細い傾向のギターを2本重ねることによって、その弱点を完全に克服。加えて、ロンのベースとギターのデュオ演奏という、ロンとジムのデュオ競演の雰囲気をしっかりと再現しているのだ。旋律がクッキリと浮かび上がる。ユニゾン&ハーモニーが様々なバリエーションで豊かに響く。
 

In_memory_of_jim_3  

 
演奏全体の雰囲気は、典雅で濃密、そして柔軟。特に、ギターのラリー・コリエルの参入が意外だった。コリエルと言えば、クロスオーバーからフュージョン系のギタリストのイメージが強い。そんなコリエルがメインストリームなジャズ・ギターをやるのだ。どうなるんや。どきどきする。

これがまあ、このアルバムの一番のサプライズで、そんなコリエルのギターに「ジムが降臨している」。ジムのギターの雰囲気が、このコリエルのギターに宿っているのだ。これにはビックリした。コリエルのギターの奥の深さと引き出しの多さ、そして、テクニックの高さにおもわず脱帽である。

もう一人のギタリスト、ピーター・バーンスタインのギターは「安心、安全、安定」の安全運転ギタリスト。ジム・ホールの直弟子だとのことで、その演奏も、直系の端整さが聴いて取れます。メインストリーム・ジャズ・ギターの「ど真ん中」。

ジャズ演奏の中での理想的なベースの役割、ベースの音色、そしてそのテクニックを、グループ・サウンズを通じて演出する。そんな、ジャズ演奏におけるベースの役割の明確化と理想的なベースの演奏モデルの提示。そういうリーダーを張るベーシストの王道をしっかりと押さえたロンのベースのパフォーマンスはさすがです。

ジャケットもお洒落。編成とアレンジの勝利。『ジム・ホールの想い出』。初めて聴いた時、思わず「これは良いアルバムではないか」と、ただただ感心した。

 
 

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2016年1月20日 (水曜日)

ドラムレス・トリオの音が新鮮

ベーシストがリーダーのアルバムが面白くて、まだまだその聴き直しは続く。ベーシストがリーダーと言えば、やはり「ロン・カーター」だろう。ジャズ・ベースのレジェンドの一人。1937年生まれなので今年79歳ですが、まだまだ意気軒昂。そのベース・プレイはしなやかで活力のあるもの。

そんなロン・カーターがリーダーで結成したバンドが「ゴールデン・ストライカー・トリオ」。パーソネルは、Donald Vega (p), Russell Malone (g), Ron Carter (b)。ギターとピアノとベース。ドラムレスのオールド・スタイルなピアノ・トリオ。21世紀の今、このドラムレス・トリオを主宰するロンの趣味の良さ。

そのゴールデン・ストライカー・トリオのライブ盤がある。Ron Carter Trio『Cocktails At The Cotton Club』(写真左)。邦題は「Live In Japan : コットンクラブでカクテルを」。まるでバブル時代の様な「歯の浮くような邦題」である(笑)。しかも、リリースするレーベルが日本の「サムシン・エルス」。

これだけ見れば、このアルバムって、日本のレーベルお得意の、売らんが為の「ベッタベタな純ジャズ基調の企画もの」という臭いがプンプンする。これはなあ、とちょっと触手が伸びない。リリースは2013年。このアルバムを手にするまで2年かかった。

さて、改めて、Ron Carter Trio『Cocktails At The Cotton Club』である。2012年12月14日、15日 丸の内コットンクラブにてライヴ録音になる。まず、録音が良い。左側がピアノ、右側にギター、正面手前からのベースと、音像がくっきりと浮かび上がる。
 

Cocktails_at_the_cotton_club

 
そして、しっかりと分離された音が渾然一体となって、耳に滑り込んでくる。臨場感溢れ、音がグッと迫ります。音が良いと言うことはライブ盤では必須の要素で、そういう意味ではこのライブ盤は合格。

加えて、ロンのベースの音が良い。まず、ロンのベースの長年の懸案であった「ピッチ」がバッチリと合っている。音程がしっかりしたロンのベース。これでこそ、ロンのベース・テクニックが映えるというもの。ベースの胴鳴りも心地良く、ロンのベースを心ゆくまで堪能することができる。

ギターは中堅どころの名手マローン、ピアノもこれまた中堅どころの名手ベガ。ロンは良いメンバーを選んだもんだ。テクニックは申し分無く「歌もの」が得意な二人、自らが唄う様に演奏することはもちろんのこと、ロンがソロを取った時のラッセルとベガのバッキング(歌伴)は絶妙である。これだけ、ベースのソロを唄わせることの出来るバッキング(歌伴)はなかなか他では聴けない。

「ベッタベタな純ジャズ基調の企画もの」ではないか、という警戒心が杞憂であることが明確になる、なかなか聴き応えのある内容です。選曲は思いっきりスタンダードものばかりなので、スリリングで革新的な展開は無いのですが、趣味の良い、切れ味の良い、ネオ・ハードバップなドラムレス・ピアノ・トリオの演奏を聴くことが出来ます。

全くジャズを知らない音楽ファンやジャズ者初心者の方々に向くかと思いきや、意外と、ジャズ者中堅からベテランの方々にお勧めしたい、メインストリームなジャズのライブ盤です。特に、ドラムレス・トリオの音が新鮮に響きます。好盤です。

 
 

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2016年1月19日 (火曜日)

鈴木良雄 & Generation Gap

さて、今日も「2015年度 ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー」に選定されたアルバムから、私、松和のマスターが注目盤をピックアップしてみました。今日のアルバムはこれ。

鈴木良雄 & Generation Gap『Generation Gap』(写真左)。日本人ベーシスト・鈴木良雄のリーダー作。鈴木良雄は1946年生まれ。現在69歳。鈴木良雄が息子の年齢ほどのフレッシュな若手を起用した2管編成のメインストリーム・ジャズである。

ちなみに、鈴木良雄 & Generation Gapとはバンド名で、そのパーソネルは、鈴木良雄 (b), 中村恵介 (tp), 山田拓児 (sax), ハクエイ・キム (p), 石若駿 (ds)。実に魅力的なラインナップ。特に、ピアノのハクエイ・キムの参加が目を惹く。

中村恵介は1977年生まれの38歳。山田拓児は1980年生まれの35歳。ハクエイ・キムは1975年生まれの40歳。石若駿は1992年生まれの23歳。たしかに、リーダーの鈴木良雄から見れば、他のメンバーは息子と言って良い。タイトルの「ジェネレーション・ギャップ」は言い得て妙(笑)。

このアルバムの内容の一端はこの1曲に集約される。冒頭の「御嶽」。和太鼓との共演による、和の雰囲気を織り込んだ純ジャズな演奏。和の音楽とジャズの融合。今まであるにはあったが、ここまでしっかりとジャズに昇華された演奏は無かったと思う。今までは、なんとなく違和感がつきまとう「和の音楽とジャズの融合」であったが、この「御嶽」については違和感が全く無い。

そして、2曲目の「モネ」は、いきなり鈴木良雄のベースのボウイングから始まる、フリーキーな、現代音楽の響きを宿した演奏。静謐でフリーキーなジャズ。これもまた「凛とした純ジャズ」である。それぞれの楽器の響きが実に魅力的だ。
 

Generation_gap

 
3曲目の「スキャヴラ」は熱いモード・ジャズ。1960年代のマイルス・バンドを彷彿とさせる自由度の高い、ハイテクニックな演奏。そんなモーダルな演奏のバックに、鈴木良雄のベースがコンダクター然とした居座る。クールにコントロールされたメインストリーム・ジャズ。

21世紀のこの時代に、このアルバムに聴かれる様な、ネオ・ハードバップ、ネオ・モード、そしてフリーな演奏は時代遅れでは無いのか、とネガティブに思われるジャズ者の方々も居るでしょうが、これはこれで、いつの時代も大事な事では無いかと思います。

過去のジャズのスタイルを踏襲することは、書道で言う「臨書(自分の個性は出さずにお手本に忠実に書く事)」と同じ様なものだ解釈していて、そのスタイルの忠実な踏襲の上に、個性の展開、いわゆる、個性的なアドリブ・フレーズの展開があれば良いと思っています。

そういう点では、この『Generation Gap』というアルバムの内容は、十分に及第点を呈上できる素晴らしい内容だと思います。2015年という時点で、こんなに素晴らしい内容のメインストリーム・ジャズが日本で創作されていることを知って、思わず嬉しくなりました。

米国本国の一流どころの創作するメインストリーム・ジャズと全く遜色ない内容に、聴き進むにつれ、清々しい気分になります。一聴に値する2015年の好盤です。

 
 

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2016年1月18日 (月曜日)

スナーキー・パピー『SYLVA』

ジャズ雑誌を読んでいて「2015年度 ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー発表」とある。そうか、もうそんな時期なんだ。ということで、この「2015年度 ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー」に選定されたアルバムから、私、松和のマスターが何枚か、注目盤をピックアップしてみました。

まずは「スナーキー・パピー(Snarky Puppy)」。バンドというかグループ名である。ネットの情報によると「2004年結成。ツアーやセッションによって40人以上のメンバーが流動的に入れ替わる大所帯編成で、ノラ・ジョーンズも輩出した名門北テキサス大学の出身」とある。つまりは流動的にメンバーが入れ替わるバンドなのね。

なかなか面白いコンセプトのグループである。この「スナーキー・パピー」のメジャー・デビュー作が、昨年、2015年にリリースされている。この「スナーキー・パピー」、ジャズ+ファンク+ダンス+フュージョンを融合した「Jafunkadansion」サウンドがウリだそうなんだが、この「ウリのサウンド」が非常に良く判る、なかなかの内容のライブ盤である。

そのライブ盤とは、Snarky Puppy『SYLVA』(写真左)。2015年4月のリリース。実は僕はこの「スナーキー・パピー」というグループの存在を全く知らなかった。全くもってジャズというのは奥が深く裾野が広い。アルバムの宣伝コメントとしては「メンバーの長年の夢だったというオーケストラとの共演作で、ジャズ・ミュージシャンとの共演歴も多いメトロポール・オルケストと共演」とある。

ジャズバンドとオーケストラとの共演。オーケストラのぶ厚いユニゾン&ハーモニーと、ジャズバンドの柔軟な自由度のある演奏とが融合した演奏内容となっている。最初聴いた時にフッと思い浮かんだのが、チック・コリアの「Return to Forever(RTF)」というバンド。特にRTFの後期から最終期のライブサウンドが、このジャズバンドとオーケストラとの共演だった。
 

Sylva

 
音の印象としても、チック・コリアのRTF的な音がする。そして、このライブ盤、フェンダー・ローズやムーグシンセ、アープの音が蔓延している。1970年代からキーボード系の音に親しんでいる僕達にとっては懐かしい音の響きである。

珍しいなあ〜と思って解説を読んでいたら、このライブ、オーガニックというテーマに沿って、アナログ楽器しか使わない、つまり、通常のデジタル系のシンセサイザーの代わりに、アナログ系のフェンダー・ローズ、ウーリッツァー、ピアノ、クラヴィネット、ムーグ、そしてオルガンを使用、という「こだわりの作品」なんだそうだ。

この盤の内容は一言で言うと現代の「フュージョン・ジャズ」。電気楽器を上手く活用して、アコースティックとエレクトリックを上手く融合させ、オーケストラに「メインストリーム・ジャズ」の雰囲気を、バンドに「フュージョン・ジャズ」の雰囲気を担わせて、コンテンポラリーなジャズ表現に成功している。

面白いのは、バンド・サウンドの部分がジャズの最新のトレンドを押さえて演奏しているんだが、そのバックのオーケストラは、意外とレガシーなアレンジでバッキングしていて、このバンドとオーケストラの対比が実にユニーク。ストリングスやブラスを含んだ63名というアンサンブルは実に「緊密」。今までにない新しいジャズの音を感じます。

「スナーキー・パピー(Snarky Puppy)」、実にユニークなグループです。ジャケットのデザイン・センスは「?」ですが、これはこれで良しとしましょう。良いアルバムです。名門レーベル Impulse!からメジャー・デビューというのも、これからが期待出来る有望株です。

 
 

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2016年1月17日 (日曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・49

ベーシストがリーダーのアルバムが面白くて、まだまだその聴き直しは続く。というか、今回のアルバムは「聴き直し」というか、2015年の新盤の中でも印象に残った優れもの。

僕が思うに、ベーシストのリーダー作として理想的なのは、ジャズ演奏の中での理想的なベースの役割、ベースの音色、そしてそのテクニックを、グループ・サウンズを通じて演出するやり方。ジャズ演奏におけるベースの役割の明確化と理想的なベースの演奏モデルの提示。

これが本来のベーシストがリーダーを張る、リーダー・アルバムのあるべき姿だと思うんですが、その「あるべき姿」のひとつがこのライブ盤に凝縮されています。Christian McBride Trio『Live at the Village Vanguard』(写真左)。2014年12月14日の録音。ちなみにパーソネルは、Christian McBride (b), Christian Sands (p), Ulysses Owens, Jr. (ds)。

ベースでリーダーのクリスチャン・マクブライド自身、初めてヴァンガードに出演したのが1995年だそうで、以来20年選手になります。マクブライドのアコ・ピアノ・トリオは、ビレッジ・バンガードのクラブ・オーナーであるロレイン・ゴードンのお気に入りでもあり、2007年から年に一度の定例公演をスタートしたのをきっかけに、今では2週間公演がブッキングされる正真正銘のレギュラー・バンドでもあるそうです。

なろほど、このライブ盤には、そんなマクブライド・トリオの堂々とした、王道を行くメインストリームなジャズ・トリオの演奏が目一杯詰まっています。しかし、テンションも適度に高くて、それぞれ、トリオを構成する3人のテクニックも凄まじいほど高く、それぞれの演奏を聴いていると、思わず唖然とする瞬間が度々あります。凄いなあ。
 

Christian_mcbride_live_at_the_villa

 
このライブ盤を聴いていると、1970年代後半の「Great Jazz Trio」を想起します。ピアノにハンク・ジョーンズ、ドラムにトニー・ウィリアムス、ベースにロン・カーターを配した相当に高度な演奏がメインのトリオでしたが、このベースのロン・カーターにとってのGJTの位置づけが、今回のマクブライドにとっての、この純ジャズ・ピアノ・トリオなんでしょうね。

1970年代後半のGJT(Great Jazz Trio)」と、今回のCMT(Christian McBride Trio)を比較してみると、その演奏テクニック、演奏全体のトレンドやコンセプト、演奏の展開やアレンジ、どれをとってみても、大きく進歩していることが判ります。いや〜、やっぱりジャズって生きているんですね。この40年間のジャズ演奏の進歩というか深化って凄いですね。

CMTの演奏は一言で言うと「スインギー&ハード・ドライブ」。ホレホレという感じで畳みかけるように、良い意味で追い立てるように、グイグイ疾走していきます。もはやそれは驚きを超えて爽快感のみが後に残るスピードで、ジャズの演奏テクニックもここまで進化したのか〜、と改めて感慨に耽ってしまいます。

二人のクリスチャン、マクブライドはベース、サンズはピアノのテクニックと歌心は凄まじいばかりのレベルの高さです。そして、その二人のリズム&ビートを支え、バンド全体を統制していくオーエンズのドラミングには思わず脱帽です。常に冷静に、決して前に出ることも無く、それでいて時に熱く、特にクールにリズム&ビートを繰り出していくオーエンズのドラム。素晴らしいです。

凄まじいレベルの高さを保持した純ジャズなピアノ・トリオ、そして、ライブ盤です。後のジャズの歴史に残るライブ盤になっていくのでは無いでしょうか。ジャズ演奏におけるベースの役割の明確化と理想的なベースの演奏モデルの提示。ベーシストのリーダー作として理想的な好盤です。

 
 

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2016年1月16日 (土曜日)

久々にベーシストのリーダー盤

ベーシストがリーダーのアルバムが面白くて、結構、昔から時々、集中して聴いている。そもそもベースはソロ楽器(トランペットやサックスなど)とは違い、リズムセクションの重要なパートを担う楽器ゆえ、その演奏上の特長が現れにくい楽器である。それ故、ベース奏者のリーダー・アルバムは、そのコンセプトを打ち出しにくく、その数が非常に少ない。

それでもベーシストがリーダーのアルバムには2つの傾向がある。ひとつは、ベースの演奏自体が非常に特徴的な場合は、その特徴的な演奏内容を全面に押し出したスタイル。もうひとつは、ベーシストが卓越した作曲能力、編曲能力を有する場合で、この作曲能力、編曲能力にスポットを当てて、リーダー・アルバムを演出するケースである。ただ、どちらもグループ・サウンズとして、バランスを欠いたケースがほとんどで、純粋なベーシストとしてのリーダー作とは言い難い。

僕が思うに、理想的なのは、ジャズ演奏の中での理想的なベースの役割、ベースの音色、そしてそのテクニックを、グループ・サウンズを通じて演出するやり方です。ジャズ演奏におけるベースの役割の明確化と理想的なベースの演奏モデルの提示。これが本来のベーシストがリーダーを張る、リーダー・アルバムのあるべき姿だと思います。

ということで、久々に「ベーシストのリーダー盤」として選んだアルバムがこれ。Eddie Gomez『Palermo』(写真左)。2007年のリリース。ちなみにパーソネルは、Stefan Karlsson (p), Eddie Gomez (b), Nasheet Waits (ds)。jazz eyes というイタリアはシチリア島の都市,パレルモにオフィスを構える新興レーベルからのリリース。

ベースのエディ・ゴメスをリーダーに、ピアノのステファン・カールソンとドラムのナシート・ウェイツという強力メンバーが参加した人気盤である。このアルバムから、現代の理想的なピアノ・トリオの演奏を聴くことが出来ます。モードを加えたネオ・ハードバップ的な演奏内容は、四文字熟語に喩えると「温故知新」。

印象派な、リリカルでロマンティシズム溢れるピアノ、そこに自由度高く絡みつつ、ベースラインを支えるベース。自由度高く絡み合うピアノとベースに対して、リズム&ビートをしっかりと供給し支えるドラム。1960年代半ば、ビル・エバンス・トリオが提示した、当時、新しかったトリオの形態だが、今回のトリオ演奏はその形態を踏襲している。
 

Eddie_gomez_palermo

 
それでも、音の雰囲気、アドリブ・フレーズのラインは1960年代当時とは全く異なる。モーダルな響き、自由度の高さ、リズム&ビートのバリエーション、どれをとっても現代のもの。

リーダーでベーシストのゴメスについては、1960年代からのレジェンドなので、その演奏内容、演奏スタイルは基本的に変わらないですが、ピアノとドラムについては、ゴメスと比べてさすがに世代の違いを感じる。

ドラムのウェイツは1971年生まれ、ピアノのカールソンは1965年生まれ。エディ・ゴメスが1944年。なるほど、リーダーでベーシストのゴメスと残りの二人とは親子ほど年が異なる。この組合せの妙がこのアルバムの新しい響きを生み出しているのだ。

ビル・エバンスとは異なる、リリカルでロマンティシズム溢れるピアノ。その響き、雰囲気はチック・コリアやリッチー・バイラークの流れを感じる。ドラミングは明らかにポリリズミック。自由度が高く、モードからメインストリームまで幅広い演奏トレンドに適用するモダンなドラミング。

そこに1960年代から変わらないゴメスのベースが被る。スタイルは変わらないのに、様々な演奏トレンドに適用する柔軟なベース。間の取り方からアドリブ・フレーズの展開の仕方を変えることで、様々な演奏スタイルに適用する。ジャズ演奏におけるベースの役割の明確化と理想的なベースの演奏モデルの提示。

シチリア島のパレルモからのジャズの音。爽やかで陽光うららかなピアノの音が眩しい、なかなかの好盤だと思います。このトリオ演奏、三人三様、魅力ある演奏力で、現代のピアノ・トリオの音を聴かせてくれる好盤です。

 
 

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2016年1月15日 (金曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・29

年初から続いているジャズの「アルト・サックス」のアルバム聴きのシリーズ。そろそろええやろ、とも思うんだが、これだけはというアルバムがあと2〜3枚あって、う〜んどうしようかなあ、で、やっぱり、今日もアルト・サックス(笑)。

一昨日、ご紹介したリー・コニッツ。1927年10月生まれなんだが、まだまだ現役。現時点で88歳。米寿である。もはや、これって「アルト・サックスの仙人」と呼んでも良いのでは無いか。80歳を過ぎても、まだまだ若々しいアルトの音色が素晴らしい。

そんなリー・コニッツの懐の深さを感じさせてくれるアルバムがある。Lee Konitz『Alone Together』(写真左)。1996年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Lee Konitz (as), Brad Mehldau (p), Charlie Haden (b)。アルト・サックスをフロントに据えて、ピアノとベースをバックに配するドラムレスの変則トリオ。

リーダー格のリー・コニッツは、1927年10月生まれなので、録音当時は69歳。いつまでもその若々しい音色と卓越したテクニックに経緯を表して、僕は「アルト・サックスの仙人」と呼ぶ。ベースのチャーリー・ヘイデンは1937年8月生まれ。録音当時は59歳。一昨年惜しくも亡くなったが、その思索的なベースももってして、僕は「ジャズ・ベースの哲人」と呼ぶ。

そして、このアルバムの聴きどころは、ピアノのブラッド・メルドーの参加だろう。メルドーは、1970年8月生まれなので、録音当時は弱冠26歳。メルドーのピアノは、現在のジャズ・ピアノの演奏スタイルの基本となる一人で、そのメロディアスで個性的なフレーズは実に魅力的。僕は彼を「ジャズ・ピアノの詩人」と呼ぶ。
 

Lee_konitz_alone_together

 
この『Alone Together』というアルバムは、この「ジャズ・ピアノの詩人」そして「ジャズ・ベースの哲人」が、この「アルト・サックスの仙人」とガップリ四つに組んだ、素晴らしいジャズ・インプロビゼーションの記録である。

この3人、まず心から感心するのは、楽器の音が素晴らしく良い。楽器が良く鳴っている、と言ったら良いのか、とにかく魅力的な音色がこのアルバムに溢れている。

そして、次に感心するのが、それぞれの奏でるフレーズの歌心が飛び抜けて素晴らしいこと。アルト・サックス、ピアノ、ベース、それぞれの楽器で奏でる歌心。思わずグッと身を乗り出してしまう様な流麗さ。

熱くないビ・バップ、抑制の効いた理知的でクールなアドリブが得意のリー・コニッツが、モーダル・ジャズの「ベースの哲人」と現代ジャズの「ピアノの詩人」と組んで、どうなるんだろうと不安になるのですが、ところがどっこい、モーダルなジャズにも、現代の最先端のネオ・ハードバップにもしっかりと適応していくリー・コニッツのアルト。思わず「びっくりポン」です(笑)。

「アルト・サックスの仙人」リー・コニッツのミュージシャンとしての懐の深さを感じさせてくれる好盤です。若き「ジャズ・ピアノの詩人」ブラッド・メルドーも大健闘、そんな二人をしっかりと底で支える「ジャズ・ベースの哲人」チャーリー・ヘイデン。一期一会のドラムレス変則トリオの名演がここにあります。お勧めの好盤です。

 
 

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2016年1月14日 (木曜日)

ビ・バップを体感できるライブ盤

年初から続いているジャズの「アルトサックス」のアルバム聴きのシリーズ。意外とアルト・サックスってバリエーション豊かで面白い。そう言えば、アルト・サックスって最近、集中して聴いていなかったなあ。ということで、まだまだ続く「アルト・サクソフォーニスト」の特集。

今日は、ジャズのアルト・サキソフォンといえば、この人だろう、そう「チャーリー・パーカー(Charlie Parker)」。ビ・バップの祖の一人。「モダン・ジャズ(ビ・バップ)の父」。ジャズを聴く上で、この人の演奏は避けられないだろう。いつかは聴かなければならない、マスト・ミュージシャンの一人である。

そんなチャーリー・パーカーであるが、彼のアルバムについては、録音した時代が古いこともあって音もあまり良く無く、テクニック優先のビ・バップの演奏が中心なので、ゆっくりそのプレイを楽しむという類のものでは無い。そういう意味で、パーカーを楽しむことの出来るアルバムはあまり多く無いというのが本音。

そんな中、このアルバムは、音はあまり良く無いが意外と聴き易く、パーカーのビ・バップの演奏の特徴をしっかりと掴むことが出来る、僕のお気に入りアルバムの一枚である。Charlie Parker『The Washington Concerts』(写真左)。2001年の発掘リリースになる。なんとリリースしたレーベルはブルーノートなんですね。さすがです。

タイトル通り、米国の首都、ワシントンDCでのライブ録音。1952年10月と1953年3月はThe Howard Theater、1953年2月はClub Kavakosでの録音となっている。ビ・バップのピークは1940年代後半なので、ビ・バップからハードバップへ移行し始めた、ビ・バップにとって微妙な時期の録音になる。
 

Parker_the_washington_concerts

 
とある楽曲からコード進行を借用し、そのコード進行に乗って、いかにイマジネーション溢れる、かつ疾走感溢れるハイテクニックなアドリブを聴かせるか。そんな一種アクロバティックな、瞬間芸の様なジャズ。そんな「ビ・バップ」という演奏形態が、このライブ盤では手に取るように判る。

アルバムの最初から最後まで、パーカーの熱い「ビ・バップ」のアルト・サックスが堪能出来ます。とにかくテクニックが凄い。どうやったら、これだけ滑らかな、これだけ複雑でアクロバティックな、そして魅力的なアドリブ・フレーズが紡ぎ出せるのか。とにかく、パーカーは天才でした。

実は、私、ビ・バップについては、このライブ盤を聴いて、やっと理解出来る様になりました。そういう意味で、このCharlie Parker『The Washington Concerts』というライブ盤は、僕にとって記念すべきライブ盤です。ジャケットも何気に良い感じですしね。

フレーズの流麗さを聴くのでは無く、そのテクニックの凄さ、複雑でアクロバティックなアドリブ・フレーズという「瞬間芸」を楽しむ様な塩梅なんだとやっとこさ理解して、チャーリー・パーカーもディジー・ガレスピーも楽しめる様になりました。

 
 

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2016年1月13日 (水曜日)

リー・コニッツのクール・ジャズ

リー・コニッツについては、若い頃は聴かなかった。リー・コニッツは白人のアルト・サックス奏者。レニー・トリスターノに師事し、トリスターノ派のジャズメンとして有名。とまあ、そこまでは良いのだが、じゃあ、彼のプレイを聴いてみて、若い頃は不覚にも「なんか平凡やなあ」なんて思ったりしたのだ。

ここに、Lee Konitzの『Subconscious-Lee』(写真左)というアルバムがある。1949年と1950年の録音。ちなみにパーソネルは、Lee Konitz (as), Warne Marsh (ts), Billy Bauer (g), Lennie Tristano (p),  Sal Mosca (p), Arnold Fishkin (b), Shelly Manne (ds), Denzil Best (ds), Jeff Morton (g)。トリスターノ傘下の精鋭がズラリ。

時は1949年から1950年。ジャズ演奏のトレンドは「ビ・バップ」。とある楽曲からコード進行を借用し、そのコード進行に乗って、いかにイマジネーション溢れる、かつ疾走感溢れるハイテクニックなアドリブを聴かせるか。そんな一種アクロバティックな、瞬間芸の様なジャズ。そんな「ビ・バップ」真っ只中な時代に、トリスターノ傘下の俊英達が抑制の効いたデリカシーに富むプレイを聴かせる。

そう、コニッツをはじめ、トリスターノ傘下の俊英達の演奏の雰囲気は「ビ・バップ」のマナーに則っているのだが、チャーリー・パーカーやディジー・ガレスピー達の「ビ・バップ」の様に熱くないのだ。トリスターノ傘下の俊英達は、疾走感溢れるハイテクニックなアドリブとは、ほぼ正反対の抑制の効いた理知的でクールなアドリブを展開するのだ。

この熱くないビ・バップ、抑制の効いた理知的でクールなアドリブというのは、後の1950年代中盤以降、ジャズの演奏のトレンドがハードバップに移行した後、マイルスを中心に展開されたクールでヒップなジャズに繋がるスタイルなのだ。1949年から1950年には、このようなスタイルは無かった。トリスターノ派のみが為し得たスタイルであった。
 

Subconsciouslee

 
当時、米国東海岸中心に展開されていた、疾走感溢れるハイテクニックなアドリブ、熱いイマジネーション溢れるブロウがメインの「ビ・バップ」の時代に、後のハードバップ時代を完全に先取りした、このトリスターノ派の熱くないビ・バップ、抑制の効いた理知的でクールなアドリブが存在したということに意味があるんですね。私が40歳を迎えたあたりで、そういうことに気がつきました。

とはいえ、米国東海岸中心の熱いビ・バップも、トリスターノ派の抑制の効いた理知的でクールな演奏も、どちらも演奏の雰囲気、マナーは大差なく、ハイテクニックでイマジネーション溢れるアドリブを聴かせるところは同じ。ただ、トリスターノ派の方がグループ・サウンズの追求という点では一歩リードかなあ、というくらい。

ということで、40歳を迎えるあたりから、やっとこの『Subconscious-Lee』の演奏の内容が楽しめる様になりました。抑制の効いた理知的でクールなジャズ、そういう観点から「クール・ジャズ」とも呼ばれるみたいですが、そういう観点では、このトリスターノ派の演奏の方向性は、1950年代の米国西海岸ジャズにかなり影響を与えたのではないか、と睨んでいます。

ジャズの歴史、ジャズの演奏のトレンドの歴史を紐解きながら、やっとこさ理解し楽しむ事のできるトリスターノ派であり、このLee Konitzの『Subconscious-Lee』という盤です。こういうところがジャズって面白いですね。親しめば親しむほどに奥が深い。止められませんなあ(笑)。

「subconsciously(潜在的に)」という単語に自分の名前の“lee”をかけたタイトルがお洒落。また、この『Subconscious-Lee』の録音が、プレスティッジ・レーベルの最初の立ち上げ録音だったという逸話も含めて、このアルバムはなかなか面白いと思います。でも、録音年が古いが故に録音もあまり良く無いし、ジャズ者初心者にはちょっと重荷かも。ジャズ者中級者以上にお勧め。

 
 

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2016年1月12日 (火曜日)

絶好調のドナルドソンが爽快

今年の「聴き始め」のトレンド、アルト・サックスの特集はまだまだ続きまっせ〜。今週はアルト・サックスのレジェンド、ビ・バッパーのルー・ドナルドソン。僕がよく聴くドナルドソンのアルバムがこれ。

Lou Donaldson『Lou Takes Off』(写真左)。1957年12月の録音。ブルーノートの1591番。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Donald Byrd (tp), Curtis Fuller (tb), Sonny Clark (p), Jamil Nasser (b), Art Taylor (ds)。アルトのドナルドソンを筆頭にした「六重奏団」。

一応ドナルドソン名義のアルバムではあるが、アルバム全編を聴き通して見ると、この六重奏団の雰囲気は「ジャム・セッション」。アレンジもヘッド・アレンジ中心だろう。ただし、ブルーノートの特徴であり長所である、リハーサルをしっかり積んでいるようで、それぞれの演奏について、まったく危なげが無く、破綻がない。

演奏のトレンドは「ビ・バップ」を踏襲しているが、演奏全体の構成は「ハードバップ」。ビ・バップのマナーで吹きまくるアルトのドナルドソン、トランペットのバード、トロンボーンのフラー、このフロント3管のブロウが熱い。それぞれの個性も明快。このフロント3管が好調なのが、このアルバムの良いところ。
 

Lou_takes_off

 
ドナルドソンのアルトが突出して良い。手慣れた「ビ・バップ」のマナーを踏襲しているだけに、ドナルドソンのアルトは滑らかに疾走する。ふらつくこと、まごつくこと、一切無し。これ、と決まれば一気に吹き抜ける。そんな爽快なドナルドソンが実に良い。

そして、僕がこのアルバムで注目したのが、ピアノのソニー・クラークの存在。クラークのピアノが意外にブルージーで、溌剌と弾きまくっているのだ。好調な時のソニー・クラークのピアノの凄みを体感できるところがこのアルバムのもうひとつの良いところ。

ほんと、このアルバムを聴いていると面白い。ビ・バップの影を思いっきり引き摺っているんだが、アレンジが完璧にハードバップ。このアルバムは、ビ・バップ期からハードバップ期の「過渡期の雰囲気」を音にした、サンプルの様なアルバムなのだ。

冒頭の曲は「Sputnik(スプートニク)」。タイトルからも判る様に、ソビエトのスプートニク1号にインスパイアされて作られている。ということで、ジャケットはブルーノートには珍しくロケットの写真がメイン。それでもタイポグラフィーは素晴らしいの一言。

 
 

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2016年1月11日 (月曜日)

ボブ・ディランを聴き直す。

1970年代、高校生だった僕は、ボブ・ディランが理解できなかった。しわがれ声でフレーズを崩して唄うスタイル、当時の最新の楽器とは異なる、トラディショナルな響きが中心のサウンド。アコースティック・ギターを活用したフォーキーな展開。いずれも、高校生の僕にはディランの「意義」、そしてディランの「価値」が理解出来なかった。

大学時代には、ディランは、1970年代の終わりから80年代にかけてキリスト教に傾倒、そのアルバムにリアルタイムに遭遇し、宗教に連携したロックなんて、ということで意識的に敬遠した。で、それ以降、21世紀に至るまで、ボブ・ディランを聴き直すことは無かった。

しかし、2012年、自ら生命の危機に遭遇して以来、1970年代ロックをマニアックに聴き楽しんで来たが、ロックを聴いてきた以上、その源のひとつと目されるディランを避けているのはいかがなのもか、と思い出した。

そんなところに、2013年11月、『Bob Dylan : Complete Columbia Albums Collection』(写真)が発売された。ディランのスタジオアルバム35作、ライヴ盤6作の41タイトルが、一気に収録された優れものボックスセットである。このボックスセットのリリースを機会に、ディランをちゃんと聴き直すことにした。

特に今年はその聴き直しの総決算の年。昨年1年で、このボックスセットを中心にちょくちょく聴き直しをしてきて、コレクションの課題であった「The Bootleg Series」もほぼコンプリートできて、いよいよ今年はディランの聴き直しに決着をつける年となったのである(笑)。
 

Bob_dylan_the_complete_box

 
昨年の聴き直しで、ディランの先取性と革新性については十分に追体験出来た。ある音楽評論家が「昨日今日聞いた奴にディランの良さがわかってたまるか!」と言ったとか。確かに、ディランのアルバムの何枚かをつまみ食いして、その真髄を理解出来るものでは無いのは理解出来る。

しかし、長年、1960年代から80年代のロックを聴き親しんできた方々であれば、時代背景を振り返り、確認しつつ、ディランのアルバムの全てを聴き直していけば、十分にディランは理解できる。
 
初めて聴く方々は、ガイドブック等で解説にて、それぞれのアルバムの位置づけ、内容を予習しつつ聴き進めていけば、ディランの大凡を感じることが出来るのでは無いだろうか。

今年のディランの「聴き直し総決算」のコメントについては、Twitterをベースに、不定期に都度、その印象をアップしていこうと思います。Twitterでは、名称「松和のマスター」でつぶやいています。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さればヒットすると思います。

さあ、いよいよ、長年の懸案であった「ディランの聴き直し」、いよいよ総決算の年です。今年を境に、やっと及ばずながら、ディランについて、なんとか語れるようになるかな。今まではディランについては後ろめたさのような感覚が付きまとってきたので、ようやく晴れ晴れとした気持ちになれそうです(笑)。

 
 

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2016年1月10日 (日曜日)

ジェフ・ポーカロの (ほぼ) 全仕事

1970年代から音楽を聴き続けているので、1970年代後半から1980年代前半のフュージョン・ジャズのブーム、ロックのAORブームについては、年代的にリアルタイムで体験出来た。実にラッキーであった。

そんなフュージョン・ジャズのブーム、ロックのAORブームの中、お気に入りのドラマーが3人いる。米国西海岸中心に活動した、適度にラフな横ノリ、グルーブ感旺盛なハービー・メイソン、米国東海岸中心に活動した、革新的な縦ノリ、独特なビート感が個性のスティーヴ・ガッド。

そして、ロック畑出身であるが、ノリの良いリズム&ビート、切れ味の良いスネア、シンバル。ロック・バンド、TOTOのドラマー、ジェフ・ポーカロ。僕は、このメイソン、ガッド、ポーカロの3人が、フュージョン・ジャズのブーム、ロックのAORブームの中、お気に入りのドラマーになる。

ポーカロはロック畑出身なのだが、AORのみならず、ポップス、R&Bのアルバムにも参加している。加えて、フュージョン・ジャズのアルバムにもその名を連ねているのだから、まさに当時「売れっ子=ファースト・コール」ドラマーの一人として大活躍していたことになる。

そして、そんなジェフ・ポーカロに関するとんでもない書籍が、昨年発売されている。そのタイトルは『ジェフ・ポーカロの(ほぼ)全仕事』(DU BOOKS刊行・写真左)。ポーカロの参加作505枚を紹介する驚愕の一冊である。本書はポーカロの参加作をほぼ網羅していると思う。
 

Books_jeff_porcaro

 
しかも、この書の内容が素晴らしいのは、505枚それぞれについて聴きどころを検証し、オーディオという観点(音質やリマスタリングについて)で考察を施していること。さらに素晴らしいのは「ドラマー目線のプレイ分析に関するコメント」。多角的な視点でジェフの魅力を掘り下げている。この2つの視点での考察が実に参考になるし、味わい深い。

本書で紹介されたポーカロの参加盤を聴き進めることで、当時のフュージョン・ジャズ、およびAORのトレンドと特徴が透けて見える。バンドやミュージシャンという従来の視点からでは無く、オーディオという観点、ドラミングという観点から、それぞれのアルバムを評していくという、意外と斬新な切り口が楽しい。

当バーチャル音楽喫茶『松和』として、この本書『ジェフ・ポーカロの(ほぼ)全仕事』に紹介されたアルバムの中から、ジェフ・ッポーカロが単独で全てのドラミングを担当したアルバムをピックアップして、その印象をアップしていこうと思います。

ただし、このブログはジャズが中心。ここにAORの要素を混在させるとブログの内容が混乱するので、Twitterをベースに、不定期に都度、その印象をアップしていこうと思います。Twitterでは、名称「松和のマスター」でつぶやいています。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さればヒットすると思います。

ジェフ・ポーカルは1992年に38歳という若さで亡くなってしまいましたが、そのドラマーとしての功績は計り知れないものがあります。TOTOのドラマーとしても、セッション・ミュージシャンとしても数え切れないほどの名演を残し、フュージョン者やAOR者の我々を魅了して止みません。このポーカロ参加アルバムの聴き直し、意外と面白そうで自分からしてとても楽しみです。

 
 

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2016年1月 9日 (土曜日)

モード・ジャズなマクリーン

今週の「聴き始め」週間は、図らずも「アルト・サックス」週間。締めはジャキー・マクリーン。マクリーンは先取性の高い「進化のアルト・サックス」。ひとつの演奏スタイルに留まらない、チャレンジブルでイノベートなアルト・サックスである。新年を迎えて、聴き始めに相応しいジャズメンである(ちょっとこじつけか・笑)。

Jackie Mclean『It's Time』(写真左)というアルバムがある。1964年8月の録音。ブルーノートの4179番。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Charles Tolliver (tp), Herbie Hancock (p), Cecil McBee (b), Roy Haynes (ds)。

昨日のブログでご紹介した、ほぼ一年前の『One Step Beyond』では、オーネット・コールマン系のフリー・ジャズに適応したマクリーンであったが、このアルバムでは、変わり身早く、当時、ジャズの最先端の演奏スタイルである、モード・ジャズ、いわゆる新主流派のジャズ・スタイルを採用している。

まずはバックのミュージシャンを若手の精鋭を中心に固めている。一番年長のドラマー、ロイ・ヘインズですら、録音当時39歳。トランペットのチャールズ・トリヴァーは22歳、ベースのセシル・マクビーは29歳、ピアノのハービー・ハンコックは24際。主役のマクリーンが33歳。平均年齢は30歳を下回る。

このアルバムでのキーマンは、当時弱冠24歳の若き精鋭の一人、ピアノのハービー・ハンコックだろう。冒頭のトリヴァー作の「Cancellation」のハービーのピアノの響き、フレーズが何から何までモードであり、新主流派なのだ。実はこのアルバム全編に渡って、このハービーのモーダルなピアノが、演奏全体の雰囲気を決定付け、フレーズ展開の方針を指し示す。
 

Its_time

 
そこに二人目のキーマン、当時29歳のセシル・マクビーのベースが、演奏全体を支えリードし、盛り立てる。「ポスト・バップ・ジャズの最も進歩的で多才なベース奏者」と評されるマクビーのベースが、これまた何から何までモードであり、新主流派なのだ。このマクビーのベースが、ハービーのピアノとコラボして、コッテコテのモード・ジャズの雰囲気を撒き散らす。

そして、主役のマクリーンである。昨日も書いたが、マクリーンは、ジャズの新しい演奏スタイルに対しての適応力が高い。楽器のテクニックもさることながら、ジャズの新しい演奏スタイルに適応しやすいアレンジを施すのが実に上手い。

実際には、ヘッド・アレンジなのか、デスク上のライティングなのか、本人に訊いてみないと判らないが、彼のアレンジ能力の高さが、ジャズの新しい演奏スタイルに対しての適応力がの高さに繋がっていると思う。

この『It's Time』は、意外とモード・ジャズ、新主流派ジャズの雰囲気が色濃く、モード・ジャズの入門盤としてもお勧めできるものです。録音当時は1964年。この辺りからジャズはフリー・ジャズの洗礼を受けつつ、ロック・ミュージックに「大衆音楽」の座を奪われ、混迷の時代を迎えていくことになります。

アルバム・ジャケットも良いですね。エクスクラメーション・マークを並べ立てて、上部に印象的なタイポグラフィー。主役の写真は小さく右上に飾られる。現代アートの好例としても楽しめる、優れたデザイン・センスには脱帽です。

 
 

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2016年1月 8日 (金曜日)

先取性の高いマクリーン

今週の「聴き始め」週間は、図らずも「アルト・サックス」週間となっている。初日、リー・コニッツから始まって、フィル・ウッズ、そして、アート・ペッパーと来た。そう来たら、次は「ジャキー・マクリーン」である。

ジャキー・マクリーンは前進する、進歩するアルト・サックス奏者であった。ハードバップ全盛期にデビューするが、彼はハードバップに安住することは無かった。オーネット・コールマンが出現するや、オーネットの限りなく自由度の高いジャズに手を染め、新主流派のモーダルな演奏が出現すれば、モーダルな演奏にチャレンジする。マクリーンは先取性の高いジャズメンであった。

さて、そんな先取性の高いマクリーンを象徴するアルバムの一枚がこれ。Jackie McLean『One Step Beyond』(写真左)。1963年4月の録音。ブルーノートの4137番。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Grachan Moncur III (tb), Bobby Hutcherson (vib), Eddie Khan (b), Tony Williams (ds)。 

このアルバムは、パーソネルを見れば判るように、当時の先端のジャズの演奏トレンドを追求したアルバムである。聴くと判るのだが、このアルバムでは、オーネット・コールマン系のフリー・ジャズを追い求めているように感じる。

それでいて、ハードバップの様に演奏における構成、展開については、しっかりとアレンジされていることを感じる。単純にオーネットのフリー・ジャズを追い求め、コピーする様な安易で単純なアプローチに飛びつかない、マクリーンのしたたかさを感じる。
 

One_step_beyond

 
冒頭の「Saturday and Sunday」のテーマを奏でるバンドの音を聴くだけで、ただならぬ雰囲気を感じる。もはやこの雰囲気はハードバップでは無い。明らかに、ハードバップの次に来るべき新しいジャズの演奏トレンドである。フリーでありモードである。

このアルバムでは、まだモードの影は薄い。明快に感じるのは、オーネット・コールマンの様な、限りなく自由度の高いハードバップ的な演奏。オーネットほどにはフリーでは無いが、明らかにハードバップよりは遙かに自由度が高い。

ハードバップからモードへの移行の過渡期ならではのユニークな演奏の雰囲気がこのアルバムの個性である。いわゆる「フリーの要素を持つ4ビート」なスタイルで、この時期だけの、特別にユニークなスタイルである。

限りなく自由度の高いフリーなサウンドだが、作編曲がきっちりとしている。恐らく、ブルーノートの総帥であり、プロデューサーである、アルフレッド・ライオンの指導の賜ではないかと想像する。フリーなサウンドではあるが調性を保っているところがユニークである。マクリーンのアレンジ力を感じる。

アルバムを録音する時点でのジャズの演奏トレンドをしっかりと取り入れ、自分のバンド・サウンドに反映する。マクリーンの先取性と応用力の高さを強く感じる。さらに、そんなマクリーンのトレンドを取り入れる「柔軟性の高さ」を実感出来る好盤です。

 
 

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2016年1月 7日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・75

僕はペッパーについては、1978年に『再会』を聴いて「ペッパー者」になり、それ以降、少しずつ彼の歴史を遡っていった。つまりは、1974年カムバック後の「後半のペッパー」から経験したことになる。

今まで、いろいろと議論されてきたが、僕が思うには、「後半のペッパー」のブロウは、若い頃「前半のペッパー」が確立した、軽やかで切れの良いスタイル(瑞々しい生け花のようなブロウ)をしっかりと維持しつつ、明らかにコルトレーンの影響を受けたであろう、フリーキーでアグレッシブなブロウを併せ持つもの。

つまり、1950年代の軽やかで切れの良いスタイル、唄う様なアドリブ・フレーズを捨て去ること無く、1974年にカムバック後、フリーキーでアグレッシブなフレーズを加えて、演奏の幅を広げたと解釈しているので、「前半のペッパー」と「後半のペッパー」と、どちらが優れているか、というジャズ界における定番の議論については全く理解出来ない。

さて、僕が「ペッパー者」になる切っ掛けになったアルバム、Art Pepper『Among Friends』(写真)について語ろう。邦題は『再会』。1978年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as), Russ Freeman (p), Bob Magnusson (b), Frank Butler (ds)。1950年代の「前半のペッパー」の盟友ピアニスト、ラス・フリーマンとの再会セッションである。

ネットでのアルバム紹介のこの文章が、このアルバムの内容の全てを語る。『録音が3カ月以上延びたためか、アートはスタジオに入るなり「この日を待ってたんだ」と気合十分。自ら選んだスタンダードを思う存分に吹きまくっている。録音が進行する中、同行のローリー夫人も「カムバック後の最高傑作になるわよ」と予言した』。
 

Art_pepper_among_friends_2

 
確かにこのアルバムでのペッパーのアルトは良い。余分なものが無い、シンプルにフレーズを吹き上げていく、渋くて落ち着いたブロウが実に「クール」。要所要所の「後半のペッパー」の特徴である、エモーショナルなブロウが顔を出すが、それも演奏全体の流れを損なうことの無い、良いアクセントとして聴かれるべきもの。

このアルバムの「ベサメ・ムーチョ」の再演が「前半のペッパー」と「後半のペッパー」と、どちらが優れているか、というジャズ界における定番の議論を煽るみたいだが、その比較は全く意味が無い。

演奏の背景にあるジャズの時代が違うし、ジャズ演奏のトレンドが違う。「前半のペッパー」の時代には、まだフリーなコルトレーンは存在しなかったし、モード・ジャズは存在しなかった。アドリブ・フレーズの耳当たりの良さと個人的好みだけで「前半のペッパー」と「後半のペッパー」の良し悪しを推し量るのは、あまりに乱暴だ。

とにかく、このアルバムでのペッパーのアルトはとてもクールで、変に捻ったアドリブ・フレーズや大向こうを張った「はったりフレーズ」も無い。唯々、淡々と選曲したスタンダード曲の美しい旋律をトレースし、美しい旋律をベースに、無駄な展開を一切省いた、明快でシンプルなアドリブ・フレーズをふんだんに聴かせてくれる。

良いアルバムです。先にご紹介したローリー夫人の言葉「カムバック後の最高傑作になるわよ」を思い出します。確かに、このアルバムは、カムバック後のペッパーの好盤の一枚ですね。クールでエモーショナルなペッパーのアルトが堪らない。

 
 

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2016年1月 6日 (水曜日)

ペッパー者に一聴の価値あり

今週の「聴き始め」週間は、図らずも「アルト・サックス」週間となりつつある。初日、リー・コニッツから始まって、フィル・ウッズと来た。で、私、バーチャル音楽喫茶『松和』のマスターとしては、次はお気に入りの「アート・ペッパー」で行きたい。

僕はアート・ペッパーが好きだ。流麗なテクニック、硬軟併せ持った柔軟性の高いブロウ、フリーからメインストリームまで適用範囲の広いスタイル。今を去ること40年ほど前、ジャズを聴き始めた頃、奇跡のカムバックを遂げた後のペッパーがお気に入りになった。

ということで、僕はペッパーについては、1978年に『Among Friends』を聴いて以降、少しずつ彼の歴史を遡っていった。いわゆる「瑞々しい生け花の様な」アドリブ・ラインと喩えられる1950年代中心の「前半のペッパー」については「後半のペッパー」の後に経験しているので、どちらが優れているか、というジャズ界における定番の議論については全く興味が無い。

さて、そんなアート・ペッパーの未発表ライブ音源が昨年リリースされている。Art Pepper『Live At Fat Tuesday's』(写真左)である。 April 15, 1981年4月15日の録音。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as), Milcho Leviev (p), George Mraz (b), Al Foster (ds)。

アート・ペッパー最晩年(亡くなる1年2か月前)、ニューヨークのクラブ「ファット・チューズデイズ」で披露した会心のパフォーマンスを記録した優れものである。たった5曲、トータル70分の音源なんだが、ここでのペッパーのアルトは充実している。神懸かった天才的なブロウってレベルでは無いんだが、かなり充実していて好調なペッパーのアルトは聴き応えがある。
 

Art_pepper_live_at_fat_tuesday

 
そして、このライブ盤では、バックのリズム・セクション、Milcho Leviev (p), George Mraz (b), Al Foster (ds)、の3人、ピアノ・トリオの演奏が素晴らしい。

ベースのムラーツ、ドラムのアルの素晴らしさは当然として、このライブ音源では、特にミルチョ・レヴィエフのピアノは良い。レヴィエフは、晩年、ペッパーが最も信頼を寄せたピアニストとされるが、このライブ盤の演奏を聴くと、それも納得の素晴らしさである。

しかしながら、やはり最終的にはペッパーのアルトだろう。この「後半のペッパー」のブロウは、若い頃「前半のペッパー」が確立した、軽やかで切れの良いスタイル(瑞々しい生け花のようなブロウ)をしっかりと維持しつつ、明らかにコルトレーンの影響を受けたであろう、フリーキーでアグレッシヴなブロウを併せ持つもので、やはりこの時期のペッパーは素晴らしい。

スロー・バラードな演奏においても、適度な緊張感を維持しながら、時にエモーショナルに、時に流麗にブロウするペッパーは圧巻です。このライブ盤を聴けば、「前半のペッパー」と「後半のペッパー」と、どちらが優れているか、というジャズ界における定番の議論については全く意味の無いことが判ります。

アルバム・ジャケットは適当にデザインされた様な凡百なものなのが惜しいですが、中身の音源自体は優秀です。特にアート・ペッパーのファン、いわゆる「ペッパー者」にとっては一聴の価値のある好盤と言えるでしょう。

 
 

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2016年1月 5日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・74

硬質でメタリック、絞り上げるような、ちょっと耳をつんざくような個性的なブロウ。ビリビリと煌めく様に響き渡るブラスの輝き。とにかく音が大きい。とにかく音が響く。とにかく音が突き抜ける。フィル・ウッズのアルトは、そのフレーズの展開は男性的である。
 
昨日は、そんなフィル・ウッズ(Phil Woods)のアルバム『Musique du bois』をご紹介した。この盤に詰まっているのは、まったくして「硬派でストイック、甘さも微塵も無い、切れ味の良いインプロビゼーション」。思いっきり男気のあるウッズのアルトである。ウッズのアルトはそんな印象が中心である。
 
では、甘くて優しいウッズのアルトはあるのか。それがあるんですなあ、これが。そんな甘い優しいアルトのウッズを楽しめる盤がこれ。Phil Woods『Warm Woods』(写真)。1957年9〜11月の録音。ちなみにパーソネルは、Phil Woods (as), Bob Corwin (p), Sonny Dallas (b), Nick Stabulas (ds)。
 
このアルバムでは、タイトルの通り「温かいウッズのアルト」が聴ける。この盤では、豪快な男気あるフルトーンなアルトを聴かせるのでは無く、抑制の効いた、味のある気品すら漂うアルトを聴かせてくれる。うむむ、ウッズの懐の深さを感じる。
 

Warm_woods

  
硬質でメタリック、絞り上げるような個性的なブロウは見え隠れするが、全編に渡って(選曲のせいもあるが)、温かい聴き応えのある演奏を聴くことが出来る。ウッズの歌心に対する深い理解力を感じ取ることが出来て、うむむ、やはりウッズの懐の深さを感じる。
 
冒頭の「In Your Own Sweet Way」のウッズのアルトを一聴して「これは、むむっ」と感じる。まず、この美しい旋律を持つスタンダート曲の主題部を唄うように奏でるウッズのアルトを聴いて「いや〜これは良いなあ」と感じ入る。そして、アドリブ部に入って、その暖かでキャッチャーな展開に思わず惚れ惚れする。
 
2曲目以降、全編に渡って、同様な、暖かで美しい、それでいて、しっかりと芯のある適度に力強いアルトが、スタンダード曲を中心に唄う様に、アドリブ・ラインを紡ぎ上げていく。切れ味の良いアルトは、それぞれの曲で感じることは出来るが、その切れ味は決して鋭角では無い。マイルドな切れ味のアルトがこの盤では心地が良いのだ。
 
オリジナルのジャケット(写真左)を見れば、これまたイメージ通りのジャケットに思わずニンマリする。でも、欧州仕様のジャケット(写真右)はちょっと酷いなあ(笑)。そういう意味で、この盤はジャケットからその内容まで、タイトル通り「ウォームなウッズ」のアルトを楽しめる好盤なのである。
 
 
 
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2016年1月 4日 (月曜日)

聴き初めのアルトの「続き」

昨日、Lee Konitz『Motion』で聴き始め。コニッツのアルトを聴いて、次に思い浮かべるのが「フィル・ウッズ」。まるで連想ゲームのようなんだが、僕の頭の中ではそうなる(笑)。

硬派でスカっとする純ジャズ。硬派でストイック。甘さも微塵も無い、切れ味の良いインプロビゼーションの嵐。とくれば、それに似合ったフィル・ウッズのアルバムがこれだろう。Phil Woods『Musique du bois』(写真)。

1974年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Phil Woods (cl, as), Jaki Byard (p), Richard Davis (b), Alan Dawson (ds)。ピアノがジャキ・バイアード、ベースがリチャード・デイビス、ドラムがアラン・ドーソン。いや〜良いリズム・セクションですね。ウッズが喜々として吹きまくる気持ちが判ります。

冒頭の「Samba du Bois」を聴けば、その硬派ぶりが良く判る。リチャード・デイビスの「ブブブンブン」としなやかに唸るようなベースから始まり、なんだなんだ、と思っていたら、そこにフィル・ウッズのアルトがスッと乗りかかってくる。重なるシンバル、そして、ピアノ。自然な流れの様に淀みなく流れていく。

まったくして「硬派でストイック、甘さも微塵も無い、切れ味の良いインプロビゼーション」とはこのことである。「あ〜、ほんま、ジャズ聴いてるわ」と心から思える瞬間。ジャズ者ベテランであれば、皆、そう感じるでしょう、ね。ほんと、このアルバムって、そんな思いを強く持たしてくれる、ジャズ者ベテラン御用達の好盤です。
 

Musique_du_bois

 
2曲目の「Willow Weep for Me」が、これまた面白い。どこかで聴いた前奏。これって「All Blues」のベースラインやん、て思うんですが、そこに乗っかってくる旋律が「あれれ、柳よ泣いておくれ」。いや〜、これもいかにもジャズらしいなあ。何でもありのジャズ。「洒落てるだろ」と得意げなウッズの顔が目に浮かぶ。

3曲目は「Nefertiti」ですよ。あのマイルスの名演で有名なウェイン・ショーターの名曲ですが、これがまた良い。切れ味の良いウッズのアルトが「Nefertiti」のフレーズを、エモーショナルに紡いでいく。マイルスのそれは「クール」、ウッズのそれは「ホット」。バックのリズム・セクションが個性あるバッキングを繰り広げる。マイルス・バンドには無い「ホット」なビート。

6曲目の「Airegin」も良い。もともとウッズのアルトは切れ味良く、グッと締まったアルトなんだが、この「エアジン」のアルトのアドリブ・ラインもグッと締まっていて、聴いていて気持ちが良い。70年代のウッズのベスト・プレイに近いのではないか。

この盤が録音されたのが1974年。ジャズの世界では、フリーじゃ、クロスオーバーじゃ、フュージョンじゃ、と大騒ぎの時代。そんな時代に、こんな硬派でスカっとする純ジャズ。硬派でストイック。甘さも微塵も無い、切れ味の良いインプロビゼーションの嵐。どっこい純ジャズは生きている。そんな想いが嬉しい、爽やかな好盤です。

 
 

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2016年1月 3日 (日曜日)

今年の聴き始めは「これ」

今年はカレンダーがあまり良く無くて、正月三が日明けてすぐに月曜日で出勤。こういう日取りって久し振りじゃないかしら。調べてみたら2010年以来とのこと。6年ぶりかあ。なんか正月気分が抜けないまま、一週間をはたらくのは憂鬱ではある。

さて、今年の聴き始めであるが、最近はあまり深く考えずに選盤している。硬派でスカっとする純ジャズが良い。何にするか。とデータベースを漁っていて、これに決めた。Lee Konitz『Motion』(写真左)。1961年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Lee Konitz (as), Sonny Dallas (b), Elvin Jones (ds)。

パーソネルを見ただけで、この盤は普通のセッションの演奏では無いことが判る。まず、ピアノがいない。アルトのコニッツのピアノレス+ワンホーン盤。しかも、ドラムがポリリズムの鬼、エルビン・ジョーンズときた。ベースのソニー・ダラスについてはあまり知らない顔だが、この際、関係無い。

収録された全5曲ともスタンダード曲なのだが、これがどの演奏も硬派でストイック。甘さも微塵も無い、切れ味の良いインプロビゼーションの嵐である。なんせ、どのトラックでも、コニッツがテーマらしい旋律を奏でること無く、いきなり即興に突入するのだ。心地良い緊張感張り詰める中、コニッツのインプロビゼーションが流れるように響き渡る。
 

Lee_konitz_motion

 
加えて、この盤でのコニッツのアドリブが異常なほどに冷静沈着。かなり難解なアドリブを展開しているのだが、さすが、トリスターノ門下、クール・ジャズの後継者、その音は決して熱くならない。冷静に難解なアドリブを涼しげに展開していく。こういうインプロビゼーションが「クール」というのだろう。

バックの二人も好演。ソニー・ダラスのベースが意外と良い。腹に響く骨太のウォーキング・ベースはコニッツのアドリブのビートをしっかりと支える。好調で本気のエルビン・ジョーンズのドラミングは素晴らしくて当たり前。この盤でのエルビンは好調。耳にも軽やかな絶妙のポリリズミックなドラム・ワーク。

正月早々、こういう硬派でストイックでスカっとする純ジャズは良いなあ。コニッツの「冷静沈着な熱中」のアルトは聴き応え満点です。こういうアドリブ演奏を「クール」と表現するんでしょうね。ちなみに、ジャケットで手前に大きく写っているのは、エルビン・ジョーンズの手。

それでは今年もよろしくお願いします。

 
 

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2016年1月 1日 (金曜日)

今年もよろしくお願いします

明けましておめでとうございます。今年もバーチャル音楽喫茶『松和』をよろしくお願いします。

さあ、2016年が始まりました。今年のジャズ界はどんな展開になるんでしょうか。ジャズ盤のリイシューはどうなんでしょうか。今年は、何とかジャズのライブに足を運びたいですね〜。

ブログは1月3日からのスタートを予定しています。正月は田舎でノンビリ寝正月です(笑)。術後の身体を労りつつ、うたた寝しながらジャズを聴いています。

それでは今年もよろしくお願いします。
 

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