最近のトラックバック

« ペッパー者に一聴の価値あり | トップページ | 先取性の高いマクリーン »

2016年1月 7日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・75

僕はペッパーについては、1978年に『再会』を聴いて「ペッパー者」になり、それ以降、少しずつ彼の歴史を遡っていった。つまりは、1974年カムバック後の「後半のペッパー」から経験したことになる。

今まで、いろいろと議論されてきたが、僕が思うには、「後半のペッパー」のブロウは、若い頃「前半のペッパー」が確立した、軽やかで切れの良いスタイル(瑞々しい生け花のようなブロウ)をしっかりと維持しつつ、明らかにコルトレーンの影響を受けたであろう、フリーキーでアグレッシブなブロウを併せ持つもの。

つまり、1950年代の軽やかで切れの良いスタイル、唄う様なアドリブ・フレーズを捨て去ること無く、1974年にカムバック後、フリーキーでアグレッシブなフレーズを加えて、演奏の幅を広げたと解釈しているので、「前半のペッパー」と「後半のペッパー」と、どちらが優れているか、というジャズ界における定番の議論については全く理解出来ない。

さて、僕が「ペッパー者」になる切っ掛けになったアルバム、Art Pepper『Among Friends』(写真)について語ろう。邦題は『再会』。1978年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as), Russ Freeman (p), Bob Magnusson (b), Frank Butler (ds)。1950年代の「前半のペッパー」の盟友ピアニスト、ラス・フリーマンとの再会セッションである。

ネットでのアルバム紹介のこの文章が、このアルバムの内容の全てを語る。『録音が3カ月以上延びたためか、アートはスタジオに入るなり「この日を待ってたんだ」と気合十分。自ら選んだスタンダードを思う存分に吹きまくっている。録音が進行する中、同行のローリー夫人も「カムバック後の最高傑作になるわよ」と予言した』。
 

Art_pepper_among_friends_2

 
確かにこのアルバムでのペッパーのアルトは良い。余分なものが無い、シンプルにフレーズを吹き上げていく、渋くて落ち着いたブロウが実に「クール」。要所要所の「後半のペッパー」の特徴である、エモーショナルなブロウが顔を出すが、それも演奏全体の流れを損なうことの無い、良いアクセントとして聴かれるべきもの。

このアルバムの「ベサメ・ムーチョ」の再演が「前半のペッパー」と「後半のペッパー」と、どちらが優れているか、というジャズ界における定番の議論を煽るみたいだが、その比較は全く意味が無い。

演奏の背景にあるジャズの時代が違うし、ジャズ演奏のトレンドが違う。「前半のペッパー」の時代には、まだフリーなコルトレーンは存在しなかったし、モード・ジャズは存在しなかった。アドリブ・フレーズの耳当たりの良さと個人的好みだけで「前半のペッパー」と「後半のペッパー」の良し悪しを推し量るのは、あまりに乱暴だ。

とにかく、このアルバムでのペッパーのアルトはとてもクールで、変に捻ったアドリブ・フレーズや大向こうを張った「はったりフレーズ」も無い。唯々、淡々と選曲したスタンダード曲の美しい旋律をトレースし、美しい旋律をベースに、無駄な展開を一切省いた、明快でシンプルなアドリブ・フレーズをふんだんに聴かせてくれる。

良いアルバムです。先にご紹介したローリー夫人の言葉「カムバック後の最高傑作になるわよ」を思い出します。確かに、このアルバムは、カムバック後のペッパーの好盤の一枚ですね。クールでエモーショナルなペッパーのアルトが堪らない。

 
 

震災から4年9ヶ月。決して忘れない。まだ4年9ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« ペッパー者に一聴の価値あり | トップページ | 先取性の高いマクリーン »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80793/63357385

この記事へのトラックバック一覧です: ジャズ喫茶で流したい・75 :

« ペッパー者に一聴の価値あり | トップページ | 先取性の高いマクリーン »

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ