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2016年1月 5日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・74

硬質でメタリック、絞り上げるような、ちょっと耳をつんざくような個性的なブロウ。ビリビリと煌めく様に響き渡るブラスの輝き。とにかく音が大きい。とにかく音が響く。とにかく音が突き抜ける。フィル・ウッズのアルトは、そのフレーズの展開は男性的である。
 
昨日は、そんなフィル・ウッズ(Phil Woods)のアルバム『Musique du bois』をご紹介した。この盤に詰まっているのは、まったくして「硬派でストイック、甘さも微塵も無い、切れ味の良いインプロビゼーション」。思いっきり男気のあるウッズのアルトである。ウッズのアルトはそんな印象が中心である。
 
では、甘くて優しいウッズのアルトはあるのか。それがあるんですなあ、これが。そんな甘い優しいアルトのウッズを楽しめる盤がこれ。Phil Woods『Warm Woods』(写真)。1957年9〜11月の録音。ちなみにパーソネルは、Phil Woods (as), Bob Corwin (p), Sonny Dallas (b), Nick Stabulas (ds)。
 
このアルバムでは、タイトルの通り「温かいウッズのアルト」が聴ける。この盤では、豪快な男気あるフルトーンなアルトを聴かせるのでは無く、抑制の効いた、味のある気品すら漂うアルトを聴かせてくれる。うむむ、ウッズの懐の深さを感じる。
 

Warm_woods

  
硬質でメタリック、絞り上げるような個性的なブロウは見え隠れするが、全編に渡って(選曲のせいもあるが)、温かい聴き応えのある演奏を聴くことが出来る。ウッズの歌心に対する深い理解力を感じ取ることが出来て、うむむ、やはりウッズの懐の深さを感じる。
 
冒頭の「In Your Own Sweet Way」のウッズのアルトを一聴して「これは、むむっ」と感じる。まず、この美しい旋律を持つスタンダート曲の主題部を唄うように奏でるウッズのアルトを聴いて「いや〜これは良いなあ」と感じ入る。そして、アドリブ部に入って、その暖かでキャッチャーな展開に思わず惚れ惚れする。
 
2曲目以降、全編に渡って、同様な、暖かで美しい、それでいて、しっかりと芯のある適度に力強いアルトが、スタンダード曲を中心に唄う様に、アドリブ・ラインを紡ぎ上げていく。切れ味の良いアルトは、それぞれの曲で感じることは出来るが、その切れ味は決して鋭角では無い。マイルドな切れ味のアルトがこの盤では心地が良いのだ。
 
オリジナルのジャケット(写真左)を見れば、これまたイメージ通りのジャケットに思わずニンマリする。でも、欧州仕様のジャケット(写真右)はちょっと酷いなあ(笑)。そういう意味で、この盤はジャケットからその内容まで、タイトル通り「ウォームなウッズ」のアルトを楽しめる好盤なのである。
 
 
 
震災から4年9ヶ月。決して忘れない。まだ4年9ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。

Never_giveup_4

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