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2015年12月13日 (日曜日)

Dave Grusinの傑作の一枚

1970年代後半から1980年代前半のフュージョン・ジャズのブーム。フュージョン・ジャズにおいては「アレンジ」という技は大変重要な位置を占める。電気楽器中心のフュージョン・ジャズは、音の重ね方、フロントとバックの演奏のバランスなど、アコースティック楽器中心のジャム・セッションには無い難しさがある。

そんなフュージョン・ジャズのアレンジャーとして、僕が一目置いてきたのは、ボブ・ジェームス、デイブ・グルーシン、デビッド・マシューズの3人。この3人には、ジャズ者初心者の頃、大変お世話になった。とにかく、素晴らしいアレンジなのだ。聴き易くて、味わいがあって、奥深さがある。

そんな味わい深さを強烈に感じさせてくれるアレンジャーが「デイブ・グルーシン(Dave Grusin)」。フュージョン・ジャズ、アダルト・コンテンポラリー及び映画音楽を代表するピアニスト、アレンジャー。ピアニストとしては、独特の音色とフレーズが特徴的で、一聴すればすぐ判るほどの個性。アレンジも音の重ね方、バランスが特徴的で、一聴すればすぐ判るほどの個性。

デイブ・グルーシンのキーボード、そして、アレンジにはファンクネスが希薄。逆に、クラシック音楽にも通ずる音の美しさ、煌めきが特徴。録音の傾向については、少し深めのエコーが叙情的でかつ印象的。そんな特徴、個性が一番出ているアルバムがこれだと感じている。

そのアルバムとは、Dave Grusin『Night Lines』(写真)。1983年のリリース。1983年と言えば、フュージョン・ジャズのブームも終焉を迎え、リリースされたフュージョン・ジャズのアルバムも内容的にはイマイチのものばかりがリリースされていた時代。そんな中、この『Night Lines』は白眉の出来で、他のアルバムを引き離してその内容は際立っていた。
  

Night_lines

 
ちなみにパーソネルは、Dave Grusin (p,syn), Ed Walsh (syn), David Sanborn (sax), Marcus Miller, Lincoln Goines (b), Buddy Williams (ds), Rubens Bassini (per), Phoebe Snow, Randy Goodrum (vo)。フュージョン・ジャズの著名なプレイヤーがズラリと勢揃い。フュージョン時代末期、圧巻のパーソネルである。

このアルバムは、リズム・セクションが打ち込み中心で作られている様で、アルバムの内容としては、グルーシンのアレンジとグルーシンのキーボードを中心に愛でる、グルーシンの、グルーシンによる、グルーシンの為のアルバムと言えるでしょう。フュージョン・ジャズの高テクニックな丁々発止とした演奏を期待する盤ではありません。

逆に、グルーシンのアレンジとキーボードを愛でるに、これだけ最適な盤は無い。アレンジとキーボードのグルーシンということのみに着目すると、このアルバムはデイブ・グルーシンの最高傑作に位置する盤ではないかと思っています。グルーシン独特の音色とフレーズ、音の重ね方、バランスが実に良く理解出来る、グルーシンを理解する為のアルバムですね。

アルバム全体の内容的には「フュージョン・ジャズ、ここに極まれり」という位の、フュージョン・ジャズの一つの完成形を我々に聴かせてくれます。良いアルバムです。フュージョン者の方々には是非一聴をお勧めしています。

 
 

震災から4年8ヶ月。決して忘れない。まだ4年8ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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