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2015年12月 7日 (月曜日)

こんなアルバムあったんや・55

ジャズのアルバムをコレクションしていると、時々、前評判も何も無く、リリースされた後もネット上ですらそのアルバムのコメントに振れることが少ない、全く地味なアルバムなのに「これは何だ」とビックリする様な優れた内容のアルバムに出くわすことがある。

今回、そんなアルバムとして出くわしたのが、Ginger Baker『Coward Of The County』(写真左)。1999年、Atlanticレーベルからのリリース。アルバムのリーダーの表記については、正式には「 Ginger Baker And The DJQ2O With Special Guest James Carter」。

「DJQ2O」とは「Denver Jazz Quintet-To-Octet」の略とのこと。そして「Special Guest」として挙げられている「James Carter(ジェームス・カーター)」は、1969年ミシガン州デトロイト生まれのジャズ・サックス奏者。今年46歳の中堅ジャズメン。

豪快で強烈、ワイドに吹きまくるパフォーマンスが個性。ソプラノからバリトン・サックス、バス・クラリネットなど各種リード楽器を操る「マルチ・リード奏者」。メインストリーム・ジャズ風の端正で正統なブロウから、アバンギャルドでフリーなブロウまで、サックスの主なスタイルに適用する。

そして、リーダーはドラマーのGinger Baker(ジンジャー・ベイカー)。なんとまあビックリな存在のロック系ドラマーで、ジャック・ブルース、エリック・クラプトンらと「クリーム」で活動したドラマーとして有名。1939年生まれ。「ローリング・ストーン誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のドラマー」に於いて、第3位のロック史上、重要なドラマーの一人。

パーソネルは、Artie Moore (b), James Carter (b-cl,ts), Ted Hess (ts), Ginger Baker (ds), Todd Ayers (g), Glenn Taylor (steel-g), Shamie Royston (org), Eric Gunnison (p), Ron Miles (tp)。James Carterだけは知った名前だが、それ以外は知らない名前ばっかり。
 

Coward_of_the_county

 
それでもこのアルバムの演奏内容は「モーダルなジャズ」の類であり、白眉なもの。1960年代後半のマイルス・バンドの雰囲気をよりフリーに、よりコンテンポラリーにした、実に先進的でモダンな「モーダル・ジャズ」である。初めて聴いた時、とにかくその内容にビックリした。

モードな展開を活かした自由度の高い、印象派の様な演奏から、アバンギャルドでフリーキーな演奏まで、このバンドの表現能力は相当に高い。テクニックもかなり高度で確かなもの。モーダルなアドリブ・フレーズはキャッチャーで親しみ易い旋律が爽快。モーダル・ジャズの中でも聴き易い部類で「判り易くモダン」。

リーダーのジンジャー・ベイカーのドラミングがこれまた素晴らしく個性的。一聴して、このドラミングは「純ジャズ」なものでは無いことが直ぐに判る。バスドラを活かして、ビートを強調する様は明らかに「ロック調」。その上に、繊細でテクニカルなドラミングが彩りを添え、複雑にリズム&ビートが重なる中、ジャズではあまり聴く事の出来ない「多彩でバラエティ溢れる」ドラミングを体感することが出来る。

他のメンバーも高度なテクニックと流麗なフレーズをもって、リーダーのジンジャー・ベーカーのドラミングに支えられ、ジェームス・カーターのサックスにリードされながら、爽やかにたおやかに、モーダルなジャズを展開して行きます。現代のモダンな感覚で再構築された、1960年代後半のマイルス・バンドの音世界。

こんなアルバムがあるなんて、全く知りませんでした。しかも、それがロック・レジェンドなドラマー、ジンジャー・ベイカーのリーダー作なんて。いやはや、ジャズという音楽ジャンルは奥が深く懐が深い。このほのぼのとしたイラストのジャケットに騙されてはいけない。良いアルバムです。

 
 

震災から4年8ヶ月。決して忘れない。まだ4年8ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 
 

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コメント

クリーム全盛期にエルビンジョーンズの再三にわたる競演申し込みをクリーム側が断り続けたというエピソードは有名?ですが、おそらくは商業的思惑がらみだったのかなあ?なんて思っています。

ロック畑で有名なジャズ好きドラマーでは他にストーンズのチャーリーワッツも有名ですが、彼の近年のビッグバンドモノはひそかな愛聴盤でもあります。

ジンジャー米カーのクリーム時代の有名なフィルモアライブでの「トード」での練りに練られた?長尺ドラムソロは何度聴いても血が騒ぎますです。

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