思い切りブルーノートな盤
ブルーノート・レーベルのアルバムというのは、他のレーベルのアルバムとは違った、明らかにブルーノートの音と判る個性を兼ね備えている。録音の響きとアレンジ。独特のユニゾン&ハーモニー。ブルーノートに録音するジャズメンは、必ず、このブルーノートの音の個性を意識する。
そんなブルーノート・レーベルの盤の中でも、明らかにこれは「思いっきりブルーノートな」雰囲気を色濃く持った盤というのがある。例えば、このTina Brooks『True Blue』(写真左)。1960年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Tina Brooks (ts), Freddie Hubbard (tp), Duke Jordan (p), Sam Jones (b), Art Taylor (ds)。
冒頭の「Good Old Soul」を聴くだけで、もう気分は「ブルーノート」。哀愁とファンクネスが色濃く漂うティナのテナー。ブルーノートが育てたハバードのトランペット。ティナとハバードのユニゾン&ハーモニーは、限りなく「ブルーノート」の響き。その響きに、ブルーノートならではのエコーがかかる。
やはり、ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンの成せる技なんだろう。彼は録音される音に対しても「ブルーノートらしさ」を求めた。そして、そのブルーノートらしい音について、その「方針と方向性」を明確にしていた。そして、それは彼がプロデューサーであった間、一切ぶれることは無かった。
そして、このリズム・セクションの人選がブルーノートである。哀愁のティナのテナーに、哀愁のピアニスト、ジョーダンをぶつける。ハバードが吹きまくり暴れまくると困るので、ジョーンズの重力級ベースで押さえを効かせて、テイラーの職人芸的ドラミングで全体をきっちり整える。良く考えられたリズム・セクションです。
ジャケットだって、思いっきり「ブルーノート」している。斬新なデザイン、意外性満載の写真の使い方、写真のカットの仕方。そして、ブルーノート・レーベルのジャケット独特のタイポグラフィー。このジャケットを見るだけで、もうブルーノートっぽい音が聴こえてきそうです。
加えて、収録された楽曲はそれぞれ出来が良い。そして、バラツキが無い。リハーサルをしっかりと積んでいる証拠だ。アンサンブルがバッチリ決まっている。演奏全体の展開にも破綻は無い。ミドル・テンポの楽曲を核に、ジャズのアドリブ・フレーズをジャズメン毎の個性を、ジックリと確実に聴かせてくれる。これがブルーノートである。
このティナの『True Blue』は、とてもブルーノートらしい盤の一枚。ティナの少し気怠い感じのファンクネス溢れるテナーの音は正に「ブルーノート・レーベル」。ブルーノートの音を語る上で、このアルバムに詰まった音は絶対に外せない。
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