ケッセルの本質を楽しむ 『To Swing or Not to Swing』
ジャズ・ギターを聴き続けて来て、最近、やっとこういうシンプルで枯れた、木訥な味わいのジャズ・ギターがお気に入りになったのは、つい最近のことである。
それまでは、若かりし頃、ロックからジャズに入った経緯と、エレクトリック・ジャズがお気に入りだったこともあって、どうしても、アタッチメントを駆使して様々な音色を紡ぎつつ、目眩く万華鏡のようなエレギが大好きで、どうも、1950年代以前の木訥な味わいのジャズ・ギターが、どうにも退屈だった。
でも、今ではそんなことは無い。木訥な味わいのジャズ・ギターの中に、味わいのある高度なテクニックとシンプルなギターの音の中にそこはかとなく滲み出る「侘び寂び」が、なんとも心地良く感じる様になったのだ。どうしてかなあ。まあ、歳をとるということはそういうことかもしれない(笑)。
そんなシンプルで枯れた、木訥な味わいのジャズ・ギターの中で、お気に入りの一枚が、Barney Kessel『To Swing or Not to Swing』(写真左)。1955年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Barney Kessel (g), Harry Edison (tp), Georgie Auld, Bill Perkins (ts), Jimmy Rowles (p), Al Hendrickson (g), Red Mitchell (b), Irv Cottler, Shelly Manne (ds)。
タイトルに「Swing」の文字が目に付くが、このアルバムに詰まっている音は「スイング・ジャズ」の音である。パーソネルもスイング・ジャズの名手達が集っているように感じる。1955年のハードバップ初期の時代に、米国西海岸ジャズの中での「スイング・ジャズ」。なんともはや「粋」である。
コンテンポラリー・レーベルに残されたケッセルの作品の中でも、かなりトラディショナルな内容なので、モダン・ジャズのファンからはあまり注目されないアルバムではあるんですが、このスイング・ジャズな雰囲気のジャズ・ギターはなかなかに味わいがあります。ケッセルのルーツを感じる上でも、重要な位置づけのアルバムですね。
ケッセルのギターの基本は「スインギー」。この『To Swing or Not to Swing』を聴けば納得の一枚です。ちなみにタイトルを直訳すると「スイングするか、スイングしないか」。これって、ハムレットの「To be, or not to be(生きるべきか、死ぬべきか)」のもじりでしょうね。お後がよろしいようで(笑)。
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