最近のトラックバック

« 魅惑のシナトラ・トリビュート | トップページ | 幻のフュージョン・オムニバス盤 »

2015年11月27日 (金曜日)

デックスの玄人好みの好盤

僕は、ジャズ者駆け出しの頃、このアルバムが苦手だった。大らかなブロウ。少し外れたアドリブ・フレーズ。でも、その少し外れたところが「味」と感じる。でも、若い頃は、その「味」が判らんかった。

もともと、日本人というのは、子供の頃、音楽というものを大体「クラシック音楽」で体験する。音程はしっかり合っていて、ユニゾン&ハーモニーもバッチリ合っている。リズム&ビートも外れることは無い。それを音楽と経験する。その経験が「ジャズ」を理解する上で障害となる。

そのャズ者駆け出しの頃、苦手だったアルバムが、Dexter Gordon『Our Man in Paris』(写真左)。1963年5月の録音。ブルーノートの4146番。ちなみにパーソネルは、Dexter Gordon (ts), Bud Powell (p), Pierre Michelot (b), Kenny Clarke (ds)。デックスがパリを訪れた折に、パリにいた米国ジャズメン達と現地のベーシストと邂逅したセッションを記録したもの。

パーソネルを見渡して、まず「バド・パウエル」の名を見つけてビックリする。ビ・バップの開祖の一人、モダン・ジャズ・ピアノの祖。彼はニューヨークでの暮らしを嫌い、欧州へ移り、当時パリに在住。続いて「ケニー・クラーク」の名を見つけてビックリする。著名なビ・バップ・ドラマーの一人。彼もニューヨークでの暮らしを嫌い、欧州へ移り、パリに集結。

デックスが欧州に渡り、バド・パウエルとケニー・クラークとの再会セッション。パリにおけるバド・パウエル・トリオが旧友デックスを迎えた、10数年ぶりの再会を記録したセッションという触れ込み。これだけ劇的なエピソードが揃えば、ジャズ者駆け出しであっても、ついつい手を出したくなる。
 

Our_man_in_paris

 
で、ついつい手を出して、この盤は「難物」なのに気がついて、やっても〜た、と後悔する。このアルバム、ジャズ者初心者にはちょっと難物だと感じている。少し外れたアドリブ・フレーズ。でも、その少し外れたところが「味」と感じる。が、経験不足のジャズ者初心者の頃は、この「味」を「味」と感じない。どころか、なんじゃこれ、と理解不能な状態に陥る。

演奏の全てにちょっと強めにテンションが張っていて、そのテンションに気後れする。そして、デックスの大らかで力強いブロウが来る。アドリブ・フレーズに入って、音程はちょっと外れつつ、テンポもちょっと不安定に振れまくる。クラシック音楽ではありえない「破綻」。これがジャズ者初心者の頃、大いなる誤りだと感じてしまう。まあ、仕方が無いけど。

このアルバムのデックスのブロウが「良い味だしてるなあ〜」と感じる様になったのは、ジャズを聴き始めて10年以上経ってからだったと思います。そういう意味で、この盤をジャズ者初心者向けの「ジャズ入門盤」として推薦するのは、ちょっと違うんではないかなあ、と今でも思います。

じっくり聴き込んでみると、伝説のピアニスト、バド・パウエルのピアノはまあまあ、特段にコメントする程度のものでは無し。逆に、ケニー・クラークのドラミングにビックリ。大変モダンでアグレッシブなドラミングに、思わず、ケニー・クラークを見直す。そして、やっぱりデックスのテナーは別格。これぞデックスのテナー、デックスのワン・ホーン盤。

ジャズ者中堅、ジャズを聴き初めて10年以上経って、本当にジャズが好きで、もう恐らく死ぬまでジャズを聴き続けるだろうな、と思い始めた頃に聴いて、ちょうど良い塩梅の「玄人好みの好盤」だと思います。

 
 

震災から4年8ヶ月。決して忘れない。まだ4年8ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« 魅惑のシナトラ・トリビュート | トップページ | 幻のフュージョン・オムニバス盤 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80793/62707312

この記事へのトラックバック一覧です: デックスの玄人好みの好盤:

« 魅惑のシナトラ・トリビュート | トップページ | 幻のフュージョン・オムニバス盤 »

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ