こんなアルバムあったんや・53 『Earth Run』
今でもネットショップを冷やかしていると「おお、これは」と思わずポチッとしてしまうアルバムに出くわすことがある。例えば、最近の「おお、これは」なアルバムはこれ。
Lee Ritenour『Earth Run』(写真左)。1986年リリースのアルバム。懐かしいジャケットである。このアルバムの「唯一無二の個性」はこのジャケットに隠されている。リー・リトナーが持っているギターみたいな楽器「SynthAxe(シンタックス)」(写真右)である。
シンタックスは、ギターに似た形状を持つMIDIコントローラー。シンセサイザーを音源に使用し、ギターのネックに似た形状のコントローラーで音を操作する。弾き方はギターなんですが、音色はキーボード、というか、基本はシンセなんで、どんな音でも出せる。
フュージョン・ギターの貴公子、リー・リトナーが、このシンタックスというMIDIコントローラーを駆使したアルバムがこの『Earth Run』。このアルバムほど、好き嫌いが分かれるアルバムは無いのでは、と常々思っている。ギタリストのリー・リトナーがシンセを弾くのである。確かにこのアルバムがリリースされた時は「賛否両論」。
まずは「シンセサイザー」という楽器にどういう評価、感情を持つかがカギになる。好意的なジャズ者にとっては「面白れ〜この音」ということでこのアルバムが好きになるし、否定的なジャズ者にとっては「なんだこれ、シンセやん」ということでこのアルバムを忌み嫌うことになる。
で、私こと「松和のマスター」は、このアルバム、好きです。非常にバラエティーに富んだ音色が出てくる出てくる。シンセ好きには堪えられないアルバムです。このアルバム一枚で、僕は「SynthAxe命」になりましたねえ。今でもリーズナブルな値段だったら欲しいですね。シンタックスは七変化。
このアルバム、純粋にフュージョン・ジャズのアルバムとしても一流品。ちなみに参加ミュージシャンを並べてみると、リー・リトナー(g), デイヴ・グルーシン(key), ドン・グルーシン(key), デイヴィット・フォスター(key), ジミー・ジョンソン(b), モーリス・ホワイト(cho) 他。フュージョン・ジャズの名うて達が大集合。それぞれ良い仕事してます。
デジタル録音を大々的に全面に出した録音で一世を風靡したGRPレーベルからのリリースで、音的にもシンタックスの音が活き活きと録音されていて秀逸。ジャケット・デザインのテイストもGRPレーベルの個性を思いっきり反映したもので良好。
フュージョン・ジャズの変わり種盤として良好。ギターかシンセかという前に、このシンタックスという楽器を駆使した、リー・リトナーの実験精神とテクニックに着目すべきでしょう。単純に「楽器」として良い音出しています。フュージョン者の方々にお勧めの好盤です。
★震災から4年8ヶ月。決して忘れない。まだ4年8ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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