ケイコ・リーの20周年記念盤
昨年のビートルズ・カバー集『Keiko Lee Sings The Beatles』以来のアルバムになる。今回はケイコ・リーのデビュー20周年記念アルバムをこの11月にリリースした。その20周年記念アルバムは、Keiko Lee『Love XX(ラヴ・キス・キス)』(写真左)。
内容としては、まずは彼女の真骨頂であるスタンダード曲の歌唱を採り上げている。「Autumn Leaves」「Caravan」「Theme from “New York, New York”」など、魅力的な選曲と歌唱が見事。どのスタンダード曲も聴き応え抜群。本当にこの人は上手い。それでいて、歌唱のテクニックが耳に付かないところが魅力。
加えて、これまでリリースしてきたアルバムから、評価の高いトラックにストリングス等をオーバーダビングしたリミックスを収録している。3曲目の「Fly Me To The Moon」、6曲目の「Bridge Over Troubled Water」、12曲目の「Feelings」、ラストの「What A Wonderful World」がリミックス曲になる。
このリミックス曲、なかなかの出来でアルバム全体の雰囲気にマッチしていて違和感が無い。リミックスと言って軽く見るなかれ。ここまでしっかりとアレンジを再考し、元の演奏のイメージとはまた違った魅力を引き出すリミックスは秀逸。安易なリミックス対応とは一線を画する。
日野皓正との曲や、オーバーダブによるビリー・ホリデイとのデュエットも、出来をとやかく言う前に、アルバム全体の構成や流れから見ると良いアクセントになっていて、これはこれで楽しい。プロデュースの妙だろう。
僕はこのケイコ・リーのボーカルがお気に入りで、彼女のリーダー作の3分の2は所有しているが、彼女のディープ・ボイスはとにかく安定感と安心感が抜群。これまでのジャズ・ボーカルにありがちな「アクの強さ」が希薄で、しっかりと芯のあるボーカルでありながら耳当たりの良いところが僕には良いみたい。
選曲も毎度毎度良く考えられており、非常に主体性のあるボーカリストという印象があって、アルバム毎に聴き応えの異なる彼女のボーカルは、新しいリーダー作がリリースされる度に楽しみになる。今回もその期待に十分応えてくれている好盤です。
しかし、彼女もデビューして20年になるのか。1995年のデビュー盤『イマジン』のボーカルに驚愕して以来、ずっとお気に入りの女性ボーカリストの一人として聴き続けて来て、はや20年。今回のこの20周年記念盤を聴いていて、彼女は素敵に歳を重ねているなあ、と感じて何だか嬉しくなった。
★震災から4年7ヶ月。決して忘れない。まだ4年7ヶ月。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« 70年代フュージョンの原型 | トップページ | このライブ盤のケッセルは凄い »
ケイコ・リーさん、好きです。よくライブにもいきました。
この人のライブは小さなクラブなどで聴くほうが好きです。
ビッグバンドのバックでは(・・・。)と言う感じでした。笑
ジャズのライブ収録盤(特に小さなクラブなどの)で気になってしまうのが
「異常なハイテンション」あるいは「いやいやのお義理拍手」と思われる観客の手拍子・お囃し・掛け声までリアルに収録した録音が結構多いように思います。それもライブ盤の醍醐味ではありますね。
で、私がそんな視点から「理想的なライブ盤」として長年愛聴しているのがカーメンマクレエのクラブダンテでのライブ盤「グレイトアメリカンソングブック」(アトランテック2枚組)です。
このライブはカーメンの曲間のおしゃべりをカットした1枚ものもありますが、これに限っては完全盤の2枚組のほうが臨場感があって好きです。
なによりも演奏・曲目・メンバーの素晴らしさと、観客の節度ある?盛り上げがとても自然で好感がもてます。
小さなライブハウスの「かぶりつき」の臨場感が味わえるマイ極上盤の一枚でもありますが、ケイコリーさんもこんなライブ盤をだしてほしいなあ、と思っていますです。^^
投稿: おっちゃん | 2016年8月23日 (火曜日) 05時53分