ザヴィヌルのエスニックな音世界
1970年代から1980年代、一世を風靡したフュージョン・バンド、ウェザー・リポート(Weather Report)。僕はこのウェザー・リポートの大ファンな訳だが、幾つか気になることがあった。
4枚目の『Mysterious Traveller』から紛れ込んできた、ワールド・ミュージック系の音、アフリカン・ネイティブでアーシーな民俗音楽風の音は誰の趣味なのか。ショーターの趣味にしては、ワールド・ミュージックな雰囲気があからさますぎる。
ジャコ・パストリアスが参入してから、このワールド・ミュージック系の音、アフリカン・ネイティブでアーシーでエスニックな音がかなり幅をきかせ始めたので、ジャコの趣味かとも思ったが、ジャコ参加以前から、そこはかとなく、この音世界が漂っていたので、ジャコが発信源では無い。
実は、このアルバムを聴いた時、このワールド・ミュージック系の音、アフリカン・ネイティブでアーシーでエスニックな音は、ジョー・ザヴィヌルの趣味、仕業だったことに気がついた。そのアルバムとは、Joe Zawinul & The Zawinul Syndicate『Vienna Nights』(写真左)。
故郷ウィーンに開いた自己のクラブ「ジョー・ザヴィヌルズ・バードランド」でのライブ盤である。2005年のリリース。Weather Report解散後,ザヴィヌルのアフリカン・ネイティブでアーシーでエスニックな音は段々と頭角を現し、このアルバムでは、もはや、アフリカン・ネイティブでアーシーでエスニックな音一色。
しかし、これほどまでに、ザヴィヌルがアフリカン・ネイティブでアーシーでエスニックな音がお気に入りだったとは思わなかった。好きこそものの上手なれ、というが、確かに、このアルバムでの、アフリカン・ネイティブでアーシーでエスニックな音については、実に上手く創られている。
ザヴィヌルお得意のシンセサイザーによるユニゾン&ハーモニーが実に効果的に響いて、両立のアフリカン・ネイティブでアーシーでエスニックなフュージョン・ジャズ盤に仕立て上げられている。ボーカル入りの曲も約半数を占め、肉声だけで無く、ボコーダーも有効に活用して、エスニック度濃厚な音世界が溢れんばかり。
アフリカン・ネイティブでアーシーでエスニックな音の展開が凄い迫力と内容。ザヴィヌルの本質はここにあったのか、と改めて再認識する。ジャズの原点を押さえた好盤ではあるが、アフリカン・ネイティブでアーシーでエスニックな音を前面に押し出した分、ある意味、通常のメインストリーム・ジャズを超えている。
ワールド・ミュージックがベースのフュージョン・ジャズ。ある意味、真のフュージョン(融合)な音楽であると言える。これほどまで、エスニックな音世界は唯一無二。ザヴィヌルは亡くなったが、彼の音楽は残った。
震災から4年7ヶ月。決して忘れない。まだ4年7ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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