ホールズワース起死回生の一枚 『I.O.U.』
アラン・ホールズワース(Allan Holdsworth)との出会い。つらつらと盤コレクション、アルバム鑑賞のキャリアを振り返る。う〜ん、あれは今から35年ほど前に遡る。
ソフト・マシーン(Soft Machine)の『Bundles(収束)』というアルバムだった。『英国の70年代フュージョン』(2010年12月21日のブログ・左をクリック)にご紹介しているが、これがまあ、思いっきり超絶技巧な弾きまくりギター。誰だ、このギタリスト、とパーソネルを確認して、アラン・ホールズワースの名前を初めて確認した。
アラン・ホールズワースのギターは凄い。「超絶技巧」とはこのこと。どうやったら、これだけギターが弾きたおせるのか、理解に苦しむ。破綻の無い、疾走感溢れる超絶技巧な世界。凄いギタリストがいたもんや、と心から感心した。
しかし、そんなアラン・ホールズワースは正統に評価されていた訳では無い。1980年代に入って、子どものミルク代に困って機材を売り払うなど金銭的にも困窮していたそうで、そういう意味では、音楽というのは実力と収入とは常に比例するものでは無い、ということを改めて認識する。
そんなホールズワースが、もうこのアルバムが駄目ならミュージシャンをやめる、という位の不退転の決意で、1982年に自主制作で出したのがこの作品。Allan Holdsworth『I.O.U.』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Allan Holdsworth (g), Paul Carmichael (b), Gary Husband (ds), Paul Williams (vo)。
アラン・ホールズワース本人をして「初めてやりたいことができた」とコメントした位の起死回生の一枚。さすが本人が「初めてやりたいことができた」とコメントした位である。凄まじい出来である。ここまで弾き倒したエレギのアルバムを僕は他に知らない。
しかも、ファンクネスは全く希薄。ジャズからのアプローチというよりは、ロックからのアプローチと評した方が合点がいく。ロックからのフュージョンへのアプローチ、いわゆる僕が勝手に名付けた「フュージョン・ロック」である。
恐らく、このアラン・ホールズワースが、エレギ弾き倒しの最高峰だろう。とにかく、エレギがどこまで弾き倒せるのか、どれだけの音色が出せるのか、エレギの最高限界地点を確認出来る、それはそれは素晴らしい内容のアルバムです。
それでいて歌入りは8曲中4曲。これが良かった。アダルト・コンテンポラリーな雰囲気が色濃く漂う。単純なギター弾き倒しの盤では無かった。上質のフュージョン・ロック盤である。
アルバムタイトルの「I.O.U.」とは「I Owe You」、つまり借用金証明という意味ですが、アラン・ホールズワースは、この自主制作のアルバムを機会に飛躍することができました。 目出度し目出度し。
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