いわゆる「大人のコラボ」盤 『Larry & Lee』
こういうのが「大人のコラボレーション」と言うのだろう。お互いを意識するあまり、差し障りの無い演奏に終始するコラボもあれば、ライバル心むき出しで、相手を如何に凌駕するかだけを目的に前へ出るだけのチープでエゴなコラボもある。
しかし、この今やレジェンドの域に達したギタリスト二人のコラボは素晴らしい。お互いを認め合い、お互いの音を聴き、お互いを惹き立て合いつつ、自らの個性の主張もしっかりする。まったくもって「大人のコラボ」である。
その「大人のコラボ」盤とは、Lee Ritenour & Larry carlton『Larry & Lee』(写真左)。1995年のリリース。リリースされた時は、このコラボって成立するんだろうか、なんていらぬ心配したものだが、全くの杞憂だった。
良く考えると、二人のレジェンド・ギタリストの個性は全く異なる。リー・リトナーは乾いたファンクネスを隠し味に、ジャズに力点を置いたギタリスト。逆に、ラリー・カールトンは柔軟性あふれ、応用力に優れた、全方位なギタリスト。どちらかと言えば、フュージョン色が強い。
そんな個性の全く異なる二人である。それぞれの人間性が良ければ、まあ個性がぶつかることは無い。というか、ぶつからないので、あまり打合せやリハーサルをすること無く、ジャム・セッションなイメージで、自然に弾いて自然にコラボレーションが成立している雰囲気なのだ。
二人はフュージョン・ジャズを代表するギタリストであり、さすがに、こういうフュージョン・ジャズ系の演奏については、非常に優れた、味のある演奏を繰り広げてくれる。特に、ミドル・テンポの演奏が秀逸。余裕あるインプロビゼーションが実に心地良い。
まあ、つまりは、このアルバムを聴く前は、個性がぶつかりあって、このコラボって成立するのか、と心配したが、よくよく考えると、これだけ個性の異なる二人のギターである。まず、悪意でもなければ、個性がぶつかることなんてないんですよね。
演奏の雰囲気もリラックスしたカジュアル色の豊かな演奏なので、変な刺激やイメージが残ることは無い。逆に、ことある毎に聴き直しすることができる「金太郎飴」的な魅力を持ったコラボ盤である。
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