ジョンスコとパットの邂逅です。
新作ではないんですが、このアルバムも初めて入手した類。リーダーのジャズメンはお気に入りなのに、なかなか縁がないのか、入手に至らない盤ってたまにある。特にこのアルバムは双頭リーダーの二人とも大のお気に入りギタリスト。今まで手にしなかったのが不思議。
そのアルバムとは、John Scofield & Pat Metheny『I Can See Your House From Here』(写真左)。1993年12月ニューヨーク、パワーステーションで録音。ちなみにパーソネルは、John Scofield & Pat Metheny (g), Steve Swallow (b), Bill Stewart (ds)。メンバー的には、ジョンスコのトリオにパットが参加したような感じ。
バックのベースの大御所スティーブ・スワロー、ドラムのビル・スチュワート共にかなりの優れもので、フロントで主役の2人のギタリストのパフォーマンスをガッチリ受け止め、がっちりサポートしている様は、実に安定感があり、実に説得力がある。
フロントの二人、主役の二人、ジョンスコとパットであるが、これがまあ、素晴らしいコラボレーションを聴かせてくれている。ぶつかったり、エゴを出し合ったりすることは皆無。お互いの音を聴きながら、しっかりと相手と対話し、しっかりと自らの個性を発揮し、しっかりとユニゾン&ハーモニーする。実に大人のコラボである。
サウンド的には、ジョンのAS-200とパットのES175がぶつかり、ユニゾン&ハーモニーするんだが、サウンド的にもお互いの邪魔はしない。どころか、異なるギターの音色がとっても上手く重なり合って、聴いていて、実に心地良いユニゾン&ハーモニーを醸し出す。これは目から鱗。ジョンスコとパットのギターがこんなに相性が良いなんて思ってもみなかった。
曲のよって、ジョンスコとパット、同じ雰囲気の音を出し合って、双子の兄弟の様な、音色の傾向が同じなユニゾン&ハーモニーを醸し出す曲もあれば、ジョンスコとパット、それぞれの個性を前面に押し出して、ジョンスコ色とメセニー色に真っ二つに分かれる曲もある。バリエーション豊かで決して飽きない、優れた内容である。
タイトルは聖書の中の言葉で『わざわざその地に行かずとも私にはそなたの家の様子が手に取るようにわかる』の意。なるほど、ジョンスコとパット、お互いの音を頭で理解すること無く、感覚で解り合えるということか。確かにこのアルバムを聴くとそれがなんとなく納得出来る。それほど、ジョンスコとパットのコラボは息が合っている。
決して、伝統的なジャズ・ギターでは無いが、コンテンポラリーなジャズ・ギターとして、必聴のアイテムでしょう。演奏されるフレーズが親しみ易いものが多いので、ジャズ者初心者の方々にもお勧めです。ちょっと変ちくりんなジャケットに怯まず、手にしても良い佳作です。
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