« 硬派なアルト奏者なんですが | トップページ | ホールズワース起死回生の一枚 »

2015年10月22日 (木曜日)

これが「ペッパー最後の録音」

アート・ペッパーについては、麻薬禍の為に活動を停止した1960年代を境に、1950年代のペッパーと復帰後の1970年代のどちらが良いかといった議論が白熱した時期があった。確か、当時有名なジャズ雑誌とそれにまつわるジャズ評論家が仕掛けた議論では無かったか。実に不毛な議論であった。

実は僕は復帰後の1970年代のアート・ペッパーを良く聴く。テクニック優秀、エモーショナルで、限りなくフリーキーな、モーダルなアルトが耳に馴染む。当然、1950年代のメロディアスなフレーズだって吹くことが出来る。1970年代のペッパーは、1950年代のペッパーの発展形であり、そもそも2者択一するものでは無い。

1970年代のアート・ペッパーで愛聴しているシリーズがある。今から、3年ほど前に出会ったシリーズで、その第一作が、『Unreleased Art: Vol.1』(2015年5月31日のブログ・左をクリック)。「Vol.1」と言うんだから「Vol.2」以降もあるんでしょ、と思って探したら、これがあるんですね。ペッパーの奥さん、ローリーが彼の未発表セッションを発表していたんですね。

「Vol.1」の続編が、Art Pepper『Unreleased Art Vol. 2 the Last Concert』(写真左)。1982年5月30日、Kool Jazz Festival でのライブ録音である。場所は、Washington's Kennedy Centerとある。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as), Roger Kellaway (p), David Williams (b), Carl Burnett (ds)。Vol.1とはピアノだけが異なる。
 

Unreleased_art_vol2

 
タイトル通り、ペッパー最後の録音である。ペッパーは1982年6月15日に急逝しているので、亡くなる16日前の録音ということになる。ペッパーは脳溢血による急逝だったので、恐らく、このクール・ジャズ・フェスティバルでの演奏の時には、16日後に自分は鬼籍に入るなんて思ってもみなかったと思う。

それが証拠に、このライブ録音でのペッパーは溌剌と演奏している。1970年代ペッパーの延長線上で、テクニック優秀、エモーショナルで、限りなくフリーキーな、モーダルなアルトを吹きまくる。いやほんと、なかなか良いんですよ。今の耳で聴くと、決してそんなにフリーキーでは無いし、決して、コルトレーンにベッタリ追従している訳でも無い。

そして、ラストの「When You're Smiling」などは、流麗で歌心満点、テクニック優秀な1950年代からのペッパーの演奏そのもの。1970年代のペッパーは、瑞々しいアドリブの花をドライフラワー化してしまった、などと揶揄されましたが、それは大いなる誤解だったことがこのラストの名演を聴けば良く判ります。

このペッパーの奥さん、ローリーが発表してくれた『Unreleased Art』シリーズはどの音源もなかなかの内容です。ペッパー者には必須アイテムでしょう。また近いうちに「Vol.3」以降もご紹介していこうと目論んでいます。

 
 

震災から4年7ヶ月。決して忘れない。まだ4年7ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« 硬派なアルト奏者なんですが | トップページ | ホールズワース起死回生の一枚 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: これが「ペッパー最後の録音」:

« 硬派なアルト奏者なんですが | トップページ | ホールズワース起死回生の一枚 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、 ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で、不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 青春のかけら達(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでのジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で、不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。         
2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

カテゴリー