ハーブ・アルパート80歳の新作
iTunes Storeをうろうろしていて、偶然、このアルバムに出くわした。よくよく見れば、ハーブ・アルパートの新作ではないか。ハーブ・アルパートと言えば、ポップス系ジャズのトランペッター&コンポーザー。また、A&Mレコードの創始者の一人。
その新作とは、Herb Alpert『Come Fly With Me』(写真左)。2015年10月のリリース。できたてのホヤホヤである。この3年ほど毎年コンスタントにアルバムを発表しているハーブだが、80歳となった今年も、なかなかの秀作を届けてくれた。そうか、ハーブ・アルパートも80歳になるのか〜。
ハーブ・アルパートと言えば、大学時代、1979年リリースの『Rise』を聴きまくった思い出がある。このアルバム『Rise』(2013年3月27日のブログ参照・左をクリック)は、軽快なリズムや流行りのリズムに乗った、ちょっとラテンがかったサウンドが絶妙だった。何故か、昼下がりの空いている「行きつけの喫茶店」で聴くことが、流すことが多かった。
ハーブ・アルパートのトランペットって、明晰で突き抜けるような爽快感があるんだが、不思議とマイナーな哀愁感漂うところが良いんですよね。そして、本当にトランペットが良く鳴る。ブリリアントという言葉がピッタリのトランペットの響き。
この今年の新作『Come Fly With Me』でも、明晰で突き抜けるような爽快感のあるトランペットは健在。不思議とマイナーな哀愁感漂うところも健在。良くなるトランペットも健在。ブリリアントな響きが魅力的だ。
しかし、そんなハーブ・アルパートも80歳である。さすがに速い吹き回しは無い。この新作には、ミッドテンポの曲がズラリと並んでいる。ゆっくり歩くテンポの、心地良い緩やなテンポの楽曲が収録されている。それだとアルバムを聴き通すと飽きるでしょう、と思うんですが、これが飽きない。
ハーブ・アルパートのアレンジ能力が優秀な分、同じテンポでも様々な展開、響き、音色があるので、このアルバムは全編に渡って聴き通しても決して飽きることは無い。不思議なんだが、これがほんと飽きないし、どの曲もアルパートのトランペットの音色が実に魅力的に響く。
収録されている曲は、彼のオリジナル曲の他に、Irving Berlinの「Blue Skies」や Billy Strayhornの「Take the "A" train(A列車で行こう)」などのスタンダード曲、そして、ビートルズ・ナンバー、George Harrison の「Something」などの曲名が挙がっている。どれも魅力的なアレンジが施され、アルパートのトランペットも魅力的に響く。
確かに、ヘッドフォーンとかでしっかりと聴くと、アルパートのトランペットも少し、そのブロウが揺らいでいるのが判る。今年80歳という年齢を考えれば仕方の無いこと。でも、ミッドテンポで吹くトランペットはコントロールが難しいのだが、そのミッドテンポで、よく聴けば判るかどうかのレベルの揺らぎである。年齢を考えると「大健闘」である。問題無い。
トランペットの音色が芳しい、聴き心地の良い、良い意味での「イージーリスニング・ジャズ」。大健闘、ハーブ・アルパートの80歳の新作です。
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