櫻井哲夫の30周年記念アルバム
カシオペア初代ベーシスト、「ミスター・チョッパー・ベース」櫻井哲夫。和製バカテク・フュージョン・バンド、カシオペアの初期の名演の数々をガッチリとサポートした、和製エレベの改革者の一人である。
そんな櫻井哲夫の30周年記念アルバムが『My Dear Musiclife』(写真左)。2009年9月のリリース。30周年記念アルバムということで、さすがに参加ミュージシャンは豪華絢爛。代表的なメンバーを見渡してみても、Bob James, 小野塚 晃 (key), 野呂一生, 岡崎倫典, 菰口雄矢 (g), 本田雅人, 勝田一樹 (sax) ,則竹裕之, Gene Jackson (ds), カルロス菅野 (per) 等々。
アルバムを通して聴いて満足満足。誰かが書いていた、とても良い表現なので引用させていただくが、アルバムのコンセプトとしては、30周年記念アルバムとして「売ろう」と考えるよりも「好きなことをやろう」と思ってやったら、こんな素敵なアルバムが出来ちゃいました、という感じ。とにかく、収録されたどの曲も、櫻井はじめ参加ミュージシャン全員が活き活きとプレイしている。
どの曲も聴き応えがあるが、2曲目の「ティーン・タウン」などは、この曲は元々は、伝説のエレベ奏者、ジャコ・パストリアスの名演で知られる名曲であるが、このエレベの名曲を櫻井がジャコばりに弾きまくる様には思わず胸が熱くなる。
このジャコの演奏って、当時「エレギの様にエレベを弾く」と度肝を抜かれたハイテクニックだったが、あれから、約30年経って、日本人エレベ奏者があのジャコばりに「ティーン・タウン」を弾きこなすとは、ジャズをずっと聴いてきて、こんなに嬉しいことは無い。
5曲目の「哀愁ファンク」もお気に入り。これ、聴けば判るんだが、あの伝説の童謡歌謡曲「およげ、たいやきくん」の旋律を借用している。そういう意味で、演奏される旋律から非常に懐かしさを感じさせてくれるナンバーで、僕は好きだ。真面目なフュージョン者の方々は「ふざけるな」と言いたくなるらしいが、これくらいの「ジョーク」がジャズにあって良いでは無いか、と僕は思う。
続く6曲目の「ドミノ・ライン」は、櫻井の代表曲、櫻井のチョッパー・ベースを世に知らしめた名曲の再演バージョン。余裕のあるチョッパー。排気量の大きいスポーツカーが、速度を落として、悠々と余裕をかまして走ってく様な存在感。
良いフュージョン・ジャズのアルバムです。特に、日本人フュージョン・ジャズの特質や個性が出ていて、聴き応えがあります。こういうアルバムが日本発でリリースされる時代が来たんですね。
震災から4年6ヶ月。決して忘れない。まだ4年6ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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