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2015年9月28日 (月曜日)

日本企画のエリントン作品集

米国ではこのテナー奏者はどこまでメジャーなのだろう。その名は「ハリー・アレン(Harry Allen)」。1966年、ワシントンD.C.生まれ。もう今年で49歳になる。若手若手と思って聴いていたら、もはや「ベテラン、中堅」の域である。

日本のレコード会社が着目し、彼のリーダー作を企図、当時の名門ジャズ雑誌の「スイング・ジャーナル」が居抜きでプッシュするという、日本のレコード会社、ジャズ雑誌が発掘し育てたテナー奏者である。よって、日本では一年に一枚のペースで、コンスタントにリーダー作をリリースしている。

そんなハリー・アレンのリーダー作は、どれもが日本人ジャズ者好みのテナーの吹き方、アレンジ、選曲、企画で、どこから聴いても「日本のレコード会社の企画したジャズ盤」という雰囲気が色濃く漂う。それが受け入れられる盤は「良好」だが、それが鼻につく盤はどうしようも無く「いやらしい」(笑)。

さて、そんなアレンの企画盤の中で、これはまあ「良好」かなと、我がバーチャル音楽喫茶『松和』で時折、CDプレイヤーのトレイに載るアルバムが幾枚かある。筆頭はこの企画盤かな。Harry Allen『Plays Ellington Songs』(写真)。雑誌の読者による「リーダーズ・リクエスト」ものによるエリントン作品集。もう完璧な「日本レコード会社の企画盤」である(笑)。

1999年のリリース。こういう企画ものというのは、米国ではまず無いだろう。ちなみに、リーダーのハリー・アレンはテナー。共演者はピアノがビル・チャーラップ、ベースがピーター・ワシントン、ドラムがケニー・ワシントン。バックのリズム・セクションも選びに選んだ「日本人ジャズ者好み」のパーソネルである。

ジャズ・ミュージシャンとしてデューク・エリントンの曲を中心とした「企画盤」に手を染めるということは、ジャズに対する敬意の表れであり、ジャズメンとしての円熟を表現する格好のチャンスでもある。そして、ハリー・アレンはこの盤で、しっかりとしたテクニックの下、安定したプレイを披露する。
 

Harry_allen_plays_ellington

 
アレンのテナーはオールド・スタイル。ベン・ウェブスター、コールマン・ホーキンス、レスター・ヤングのスタイルを踏襲したものである。ジャズ・テナーと言えば「コルトレーン・スタイル」であるが、アレンは敢えて、オールド・スタイルを採用している。

オールド・スタイルのテナーのブロウは、スローなフレーズになればなるほど「ズボボボ」「ブズズズ」と掠れた音色になる。この音色はクラシックのテナー・サキソフォンの奏法に全く無いもので、ジャズならではの、この掠れた音色を良しとするか、耳ざわりとするかで、その好みは大きく分かれる。

オールド・スタイルのテナーという点では、デクスター・ゴードン(愛称デックス)を想起するが、デックスは大らかでスケールの大きい吹き回しをするが、アレンのブロウはそこまでのスケールの大きさは無い。少しこぢんまりまとまった感じ(これが難点だとは全く思っていない)で、カッチリとしている。

エリントンの有名な楽曲を、趣向を凝らしたアレンジで、なかなか硬派に聴かせてくれる。バックのリズム・セクションも良好で、完璧な「日本レコード会社の企画盤」という雰囲気ではありながら、演奏自体が硬派で、聴き手に迎合していない分、意外と聴ける内容になっている。

このハリー・アレンの『Plays Ellington Songs』については、「日本レコード会社の企画盤」にしては珍しく、最後まで聴き通すことが出来る好盤に仕上がっている。アレンジとバックのリズム・セクションの出来の良さに負うところ「大」。ジャズ者中級者から上級者向けです。

 
 

震災から4年6ヶ月。決して忘れない。まだ4年6ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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