もの凄いジャズ・エレギである
僕にとって、37年のジャズ盤鑑賞の歴史の中で最後の楽器が「ギター」。最近、ジャズ・ギターのアルバムに重点を置いて、ジャズ盤コレクションを進めている。故に、ジャズ・ギターのアルバムについては、聴き直しというよりは初モノがまだまだ多い。
ギター担当のジャズメンも他の楽器に負けずに多くいる訳だが、ジョン・スコフィールド(John Scofield)はお気に入りギタリストの一人。ワン・アンド・オンリーな個性を持った、実に癖のあるギタリストである。
伝統的なジャズ・ギターの奏法をベースにしながらも、ちょっとアバンギャルドに「捻れて」、音を不協和音っぽく響かせながら、モーダルに唄い上げていくところが実にユニーク。一聴するだけで「ジョンスコや〜」って判るくらい、独特の個性ある音の持ち主である。僕は「捻れギターのジョンスコ」と呼んでいる。
さて、そんなジョンスコの胸が空くような、クールでハードでタイトでダイナミックなライブ盤が最近のお気に入りの一枚。そのライブ盤とは、John Scofield『Pick Hits Live』(写真)。1987年10月7日、日本は東京でのライブ音源(昭和女子大学人見記念講堂とのこと)。ちなみにパーソネルは、John Scofield (g), Robert Aries (key), Gary Grainger (b), Dennis Chambers (ds)。
ジョンスコはエレギ専門と言ってよいギタリストではあるが、決して、フュージョン畑では無い。捻れに捻れたエレギではあるが、演奏されるスタイルは、基本的に「コンテンポラリーな純ジャズ」である。エレギの音の個性は聴けば直ぐ判る程の「個性的な捻れ音」と「くぐもった拡がりと伸びのある音」。
むっちゃ硬派なライブ演奏である。聴き手に媚びること無く、迎合すること無く、一心不乱に自らの信じる「コンテンポラリーな純ジャズ」をガンガンに弾きまくる。このライブ盤でのジョンスコのエレギは何時になく「シャープ」。素晴らしい切れ味のアドリブ・フレーズに思わず仰け反る。
そして、このライブ盤で白眉なのは、デニス・チェンバース、愛称デニチェンのドラミング。バッシバッシと叩きまくるが、彼の叩き出すリズム&ビートは「コンテンポラリーな純ジャズ」。ジョンスコとの掛け合いも素晴らしく、ジョンスコを鼓舞する様はまさに「鬼神」である。とにかく、このライブ盤でのデニチェンのドラミングは破壊力満点である。
リズム隊がハードにタイトに尖って、バシバシしばくようにリズム&ビートを叩き出すが、決して耳につかない。録音が良いんですね。ジョンスコのエレギとのバランスも良好で、実に躍動感溢れ、適度なテンションが心地良い、内容が高度で濃密な傑作ライブ盤に仕上がっています。
ジョンスコのエレギの捻れ具合も良好、通常盤もコンプリート盤もどちらも良好。ジョンスコを初めて体験するには、ちょっとハードな内容かなとも思います。ジョンスコを聴き始めて、ジョンスコがお気に入りになった時が、このライブ盤の「聴き頃」かと思います。もの凄い「ジャズ・エレギ」のライブ盤です。
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