あくまで「ウエスの異色盤」
紛らわしいアルバム・タイトルである。しかし、この盤は1963年8月の録音。1970年代後半から1980年代前半に流行った「フュージョン・ジャズ」とは、全く因果関係は無い。
そのアルバムとは、Wes Montgomery『Fusion !』(写真左)。パーソネルを見れば、このアルバムの内容が判る。ちなみにパーソネルは、Wes Montgomery (g), Milt Hinton (b), Kenny Burrell (g), Dick Hyman, Hank Jones (p), Osie Johnson (ds)、そして、With Strings。
そう、このアルバムは、ジャズ・ギターのレジェンド、ウエス・モンゴメリーの「ウィズ・ストリングス盤」である。ジャズ・ミュージシャンは有名になり、一流の仲間入りをすると、何故か「ウィズ・ストリングス盤」を録音したがる。いわゆる「ステイタス」なんだろう。チャーリー・パーカー、クリフォード・ブラウン、スタン・ゲッツなど多くの一流ミュージシャンが「ウィズ・ストリングス盤」を録音している。
ということで、このアルバムは、ウエスの「ウィズ・ストリングス盤」。ストリング・オーケストラとの共演、ジャズらしからぬ、気品に満ちた上質の一枚。ジャズというよりは、イージーリスニングに近い雰囲気である。後のヴァーヴでのイージーリスニング・ジャズに先駆かとも思うんだが、肝心のグルーヴ感、ポップ感は皆無。似て非なる物である。
ストリングスの存在が浮いているというか、ストリングスの存在自体が疑問を感じる演奏内容である。それだけ、ウエスのギターが突出している。そして、ウエスのギターは十分にウエスの個性を溢れんばかりに表現している。つまり、ウエスのギターを愛でるに、ストリングスの存在が邪魔になっている。
逆に、ケニー・バレルの存在が良いアクセントになっている。ウエスとは異なるジャズ・ギターなんだが、ウエスのギターとの相性抜群で、主役のウエスのギターを良くサポートし、惹き立てている。その他、バックのジャズ・ミュージシャンの効果的なバッキングが意外と光っている。
この『Fusion !』というアルバムは、普段聴きなれているハードバップなウエスのギターでは無い、違った趣向のウェスを聴くことが出来る異色盤という位置づけの盤だろう。ウエスのギターが堪能出来る分、ウエスのギターのファンの方々にはお勧めだが、一般のジャズ者の方々には、是非にという盤では無い。あくまで、ウエスの異色盤。
震災から4年6ヶ月。決して忘れない。まだ4年6ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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>>ストリングスの存在が浮いているというか、ストリングスの存在自体が疑問を感じる演奏ストリングスの存在が邪魔になっている。
違います!!ウェスもストリングスもアレンジもとても素晴らしい、邪魔なんかしていません。悪いのはミキシングです。それくらい気付いて割り引いて聴くべきです。
投稿: たかし | 2020年6月30日 (火曜日) 15時22分