« ピアノ・トリオの代表的名盤・47 | トップページ | ポップな米国ロックな音作り »

2015年9月11日 (金曜日)

目から鱗な英国フュージョン

国によってジャズの捉え方は違う。特に、大きく分けて、米国、欧州、日本の3極に分かれるのと、欧州については、2大勢力として、英国、仏蘭西とそれぞれ独特のジャズの文化があり、その他、それぞれの国で「ならでは」のジャズが根付いている。

さて、その欧州の中で、英国はロックとジャズの境界線が曖昧である、というのが僕の持論だが、このアルバムを聴いて、その意を強くした。Bill Bruford's Earthworks『Earthworks』(写真左)。

1987年の作品。英国のプログレ・ドラムの雄、リズム&ビートを熟知するビル・ブルッフォードが主宰するフュージョン・バンド、アース・ワークス名義のアルバムである。ちなみにパーソネルは、Bill Bruford (ds), Django Bates (key, tp), Iain Ballamy (sax), Mick Hutton (b)。英国ジャズ界が生んだ類い希な才能ジャンゴ・ベイツの名が目を惹く。

とにかく、ハイテクニックでコンテンポラリーで先進的な純ジャズの演奏が詰まっている。演奏の雰囲気としては、どこから聴いても、これって「Weather Report(以降WRと略)」ではないのか、と思ってしまうくらいの「WRの音世界」、どのあたりだろう、『Night Passage』から『Procession』のWRの音を踏襲したコンテンポラリーなフュージョン・ジャズが展開されている。
 

Earthworks

 
そして、ほとんどフリー・ジャズな、硬派で尖った、切れ味鋭い前衛的なジャズもやっている。そして、この前衛的なジャズが欧州ジャズ独特の響きを宿していて、意外や意外、かなりの「聴きもの」となっていて、ちょっとした驚きである。

まあ、全体の雰囲気は「Weather Report」でしょうか。エレクトリックな楽器を駆使して、ポップで判り易いフレーズを展開しつつも、ハイテクニックで緻密なインプロビゼーションを繰り広げる、そして、リズムチェンジがかなり頻繁に行いつつ、相当に高度で個性的なリズム&ビートを叩き上げる、そんなアース・ワークスの音世界です。

ビル・ブルッフォードは、King Crimson のドラマーとしても有名なんですが、King Crimsonのアルバムと比較すると、この『Earthworks』の音世界は、King Crimsonの『Beat』に近いでしょうか。とにかく、ブルッフォードのポリリズミックなドラミングが驚異的です。変則拍子、リズムチェンジは当たり前、って感じの凄まじいリズム&ビート。

素晴らしいコンテンポラリーなフュージョン・ジャズです。米国ジャズの世界でも、このアース・ワークスの音世界に匹敵するのは、Weather Reportか、チック率いる Return to Forever くらいでしょう。それほどまでに素晴らしいアース・ワークスの音世界です。ジャズ者中級以上の方々にお勧め。目から鱗な英国フュージョンです。

 
 

震災から4年6ヶ月。決して忘れない。まだ4年6ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

保存

« ピアノ・トリオの代表的名盤・47 | トップページ | ポップな米国ロックな音作り »

コメント

初めまして。

日本では珍しい、JAZZドラマー兼お坊さんです。
お坊さんのお仕事のため、海外行きを断念しましたが、時々ライブをやっています。
ご興味がありましたら、見てみてください。
よろしくお願いします。

www.sasaky.sakura.ne.jp

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 目から鱗な英国フュージョン:

« ピアノ・トリオの代表的名盤・47 | トップページ | ポップな米国ロックな音作り »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2022年8月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

カテゴリー