典型的な新主流派の音世界
1960年代前半、当時の若手ジャズ・ミュージシャンは、当時、再先端と言われたモーダルなジャズ、フリーなジャズにこぞって取り組んだ。そんな若手ジャズ・ミュージシャンの一派を「新主流派(New Main-stream)」と呼ぶ。
そんな新主流派の代表格の一人が「ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)」。そんなショーターが新主流派の音とはこんな音である、と、教科書的に「新主流派の音」を伝えてくれるようなアルバムがある。
そのアルバムとは、Wayne Shorter『The All Seeing Eye』(写真左)。1965年10月の録音。ブルーノートの4219番。ちなみにパーソネルは、Wayne Shorter (ts), Freddie Hubbard (tp, flh), Grachan Moncur III (tb), James Spaulding (as), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Joe Chambers (ds)。
若手ジャズ・ミュージシャンの一派「新主流派(New Main-stream)」については、ブルーノート・レーベルに優れたリーダー作を沢山残している。それについては、ブルーノートの総帥、プロデューサーのアルフレッド・ライオンの手腕に負うところが大きい。
アルフレッドには、新しいジャズの音を聴き分ける耳がある。ジャズメンの資質を選別する選定眼がある。アルフレッドの耳に叶った若手ジャズメンをスカウトし、リーダーとしての裁量を全て託し、やりたいことをやらせる。これがブルーノートが「新主流派の音」をしっかりと残せた秘密である。
そして、ブルーノートの録音時の語り草になっている「ギャラを払ってしっかりとリハーサルをやらせる」ということと、「ブルースの自作曲を最低1曲は持ち込むこと」。それは、このアルバム『The All Seeing Eye』でも同じだろう。非常に良い音が、このアルバムにギッシリと詰まっている。
テナーのウェイン・ショーターも良い音出してる。この頃のショーターは、コルトレーンのダイレクトな影響下から抜け出て、思いっきりオリジナルな音を出し始めていた。冒頭のタイトル曲を聴けばそれが良く判る。この曲を聴き通すと、このテナーは絶対にショーターと決めてかかれるほど、その特徴が明確である。
思いっきりモーダルでフリーな演奏がとても心地良い。このアルバムでの、トランペットのハバード、トロンボーンのグラチャン、アルトのスポルディング、ピアノのハンコック、ベースのロン、そして、ドラムのジョー・チェン、皆、新しい響きの、新しい感覚の、新しい音を出しまくっている。
「新主流派の音」を体感するには、この『The All Seeing Eye』は格好のアルバム。ショーターの個性の展開がここにある。ショーターが独自に開拓し完成させたコンセプトがこのアルバムで、様々なバリエーションに展開されている。ショーターの個性のバリエーションのショーケースの様なアルバム。ジャズを知る上では必聴の一枚でしょう。
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