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2015年9月26日 (土曜日)

さだミュージックの原点ですね

我がバーチャル音楽喫茶『松和』は、ジャズ・フュージョンが中心であるが、サブジャンルとして、70年代ロック、70年代Jポップも守備範囲である。今日は久し振りに、70年代Jポップのお話しを・・・。

久し振りに「グレープ」を聴く。グレープとは、さだまさし(ヴォーカル・ギター・ヴァイオリン)と吉田正美(現・吉田政美、ギター)による日本のフォークデュオ。1972年結成、1976年解散(Wikipediaより)。

実は僕は「さだまさし」のマニアである。というか、アルバム的には、ソロの11枚目のスタジオ盤『自分症候群』までではあるが、グレープ時代から、ソロ時代のこの11枚目のスタジオ盤までは全て所有している。

さだまさしとの出会いは、まだグレープ時代の1974年のヒット曲「精霊流し」である。曲の調子、曲のアレンジは従来からの「四畳半フォーク」のマイナー調を踏襲しており、いまいちピンと来なかったが、作詞の世界が「新しい」と感じた。それまでの歌謡曲の職業作詞家の調子とは全く異なる、口語体の私小説の様な響きが印象に強く残った。

そこで、高校時代の友人の力に頼ることになる。伝手を頼って、グレープのアルバム、ファースト盤の『わすれもの』(写真左)、そしてセカンド盤の『せせらぎ』(写真右)を借りることに成功。そこで初めて、さだミュージック(以降「さだ音楽」と略す)に触れることになる。

このグレープの『わすれもの』と『せせらぎ』には、さだ音楽の基本が詰まっている。さだ音楽の魅力は、まず男性の立場から女性や恋愛を俯瞰して、それを私小説風に語り綴っていくという、それまでの日本の歌謡曲、ポップスに無い歌詞にある。僕はこのさだまさしの作詞を聴いていて、庄司薫の4部作「赤頭巾ちゃん気をつけて」「さよなら快傑黒頭巾」「狼なんかこわくない」「白鳥の歌なんか聞えない」を思い起こす。 

ファースト盤で言うと「精霊流し」や「蝉時雨」「あこがれ」などがそうだし、セカンド盤については、さだの作詞の唄は、もう全てが「さだ音楽」の世界である。男性の口語調に乗った語り口は、さだまさしの専売特許となった。女性の口語調の語り口を借りた展開もあるが、その内容はあくまで、男性の立場から女性や恋愛を俯瞰して、それを私小説風に語り綴っていくというバリエーションのひとつである。
 

Grape_wasuremono_seseragi

 
曲想、アレンジなどは、当時のレコード会社の売らんが為の意向に左右された跡がありありと垣間見えるが、歌詞の世界については、セカンド盤の『せせらぎ』が、さだまさしの歌詞の世界の特徴が良く出ていて、十分に聴き応えがある。

冒頭の「ほおずき」はちょっと「精霊流し」の残像を追いかけすぎた嫌いもあるが、傑作だと思う。2曲目の「殺風景」も新しい感覚が感じられて、当時からお気に入り。「あなたより好きな人が出来ただけのことです」のくだりが残酷で良い。これが真実なんだろうな、と若い頃、至極納得したことを覚えている。

6曲目、LP時代のA面のラスト「交響楽(シンフォニー)」は傑作だろう。この曲は、当時のレコード会社の売らんが為の意向に左右されておらず、非常に良好なアレンジに乗った、典型的な「さだ音楽」の世界である。さだまさしの初期の名曲のひとつ。

9曲目、LP時代の3曲目の「風邪」も良い。タイトルが良くないので、誤解されることの多い曲だが、内容的には、これまた典型的な「さだ音楽」の世界。サビに部分でメジャー調に転調して、視界がブワーッと広がる感じの展開は「さだ音楽」の真骨頂でもある。

そしてラストの「追伸」。この歌詞の世界は凄い。男性の立場から女性や恋愛を俯瞰して、それを私小説風に語り綴っていくという展開、しかもそれを女性の口語調の語り口を借りて展開するのだが、この歌詞の内容が「怖い」。こんな未練たらたらの手紙を女性は書かないだろう。女性の語り口を借りた男性の女々しい未練。女々しい男性の未練がこの恐ろしい歌詞から階間見える。これぞ「さだ音楽」。

30年ぶりくらいに、グレープ時代のさだまさしをじっくりと聴いた。今の耳で聴くと、当時、気が付かなかったことがいろいろ垣間見えて、聴いていてとても興味深く、面白い。やはり「良い音楽」というものは、時代を越えて、それぞれの時代の耳で、様々な角度から切り口から、音を感じることが出来る。楽しい瞬間である。

 
 

震災から4年6ヶ月。決して忘れない。まだ4年6ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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