カールトンのスムース・ジャズ
1970年代後半から1980年代前半に渡って、フュージョン・ジャズが流行した。フュージョン・ジャズとは、基本的にはエレクトリック楽器がメインで、ジャズを基調にロックやラテン音楽、R&B、電子音楽などを融合(フューズ)させた音楽のジャンルである。
そして、このフュージョン・ジャズは、更に1980年代後半以降、融合(フューズ)から演奏の雰囲気に重心を変えつつ、リズム&ビートは「打ち込み風」で、聴き心地の良いハイテクニックな「フュージョン・ジャズ」がメインとなる。「スムース・ジャズ」の出現と流行である。
ここバーチャル音楽喫茶『松和』においては、1970年代から1980年代のフュージョン・ジャズの演奏の雰囲気を踏襲したアルバムは「フュージョン・ジャズ」、リズム&ビートは「打ち込み風」で、聴き心地の良いハイテクニックな演奏を基本としたものを「スムース・ジャズ」と聴き分けている。
それでは「スムース・ジャズ」の好盤とはいかなるものか、という問いにお答えしたい。まずはこのアルバムを。Larry Carlton『Fingerprints』(写真左)。2000年のリリース。リーダーのLarry Carlton(ラリー・カールトン)は、1970年代のフュージョン・ジャズの代表的ミュージシャンの一人で、フュージョン・ジャズ・ギタリストのレジェンドである。
そんな彼がこのアルバムでは「フュージョン・ジャズ」では無い「スムース・ジャズ」を物にしている。冒頭のタイトル曲を聴けば、このアルバムの雰囲気が良く判る。クールな「打ち込み風」のリズム&ビート、アーバンでクールなエレギの響き、ジャジーではあるがファンクネスを極力排除した様な、クリスタルなフレーズ。
とにかく聴き心地は満点です。クールでクリスタルで包み込むようなエコーが、その聴き心地を増幅します。そして、これまた、ラリー・カールトンのエレギの響きが、エレギのフレーズが聴き心地満点なんですね。
つまり、主役は当然ですが、リーダーのカールトンのエレギで、その他はバックの惹き立て役なんですね。だから、リズム&ビートはクールで「打ち込み風」の方が良いということ。
スムース・ジャズは、フロントのメインの楽器を全面的に押し出して、聴き心地を最大限に追求した演奏スタイルなんだなあ、ということが良く判ります。繰り出されるアドリブ・フレーズも印象的な聴き心地の良いものばかりで、BGM風に流し聴くについてもピッタリの音です。
演奏内容はハイテクニックを基本として、とても高度なもの。破綻など全く無縁、しっかりと準備され練られた「錬金術」の様な音作りはとてもクールです。このクールさが、スムース・ジャズの重要ポイントですね。音楽として聴いていて楽しい雰囲気で、スムース・ジャズというものがよく理解出来ます。
ラリー・カールトンは、フュージョン・ジャズ・ギタリストのレジェンドとして、1970年代から1980年代のアルバムばかりが紹介され、推薦されますが、21世紀になった現在も、フュージョン&スムース・ジャズ・ギタリストのレジェンドとして、なかなかの内容のアルバムをリリースし続けています。もっと注目してもよいのでは、と思います。
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