アメリカン・カルテットの第1弾
1970年代のキースは、ソロピアノと並行してカルテットで活動していました。インパルスレーベルを中心に米国で活動したカルテットを「アメリカン・カルテット」と呼び、ECMレーベルにて、欧州で活動したカルテットを「ヨーロピアン・カルテット」と呼び、この2つの異なる個性のカルテットをキースは使い分けていました。
双方、まったく性格の違うカルテットで、「アメリカン・カルテット」は、火の出るような激しくテンションの高い演奏が多く、「ヨーロピアン・カルテット」は、透明感のある冷静でリリカルな演奏が中心でした。どちらも、キースがリーダーでしたから、キースは、「アメリカン・カルテット」と「ヨーロピアン・カルテット」をうまく使い分けて、キースの2面性を表現していた様に感じます。
さて、まずは「アメリカン・カルテット」を聴き直してみたいと思います。インパルスでのキース・ジャレットの第一弾で、ビレッジ・バンガードでのライブ音源。Keith Jarrett『Fort Yawuh』(写真左)。1973年2月24日の録音。
ちなみにパーソネルは、Keith Jarrett(p, sax, per), Dewey Redman (ts), Charlie Haden (b, per), Paul Motian (ds, per), Danny Johnson (per)。伝説の「アメリカン・カルテット」+パーカッション奏者。まだ、アメリカン・カルテット一本で行く、というところまでは思い切っていない。
もちろん、全曲キースのオリジナル。思いっきり強引にフリーな演奏を重ねて行く1曲目の「(If the) Misfits (Wear It)」から始まるので、スタンダーズ・トリオでのリリカルなキースをイメージして聴くと、おったまげてしまうのでは、と思います。でも、これがキースの本質の1つ目なんですよね。
2曲目のタイトル曲「Fort Yawuh」もかなり自由度の高い、フリーな演奏ですが、3曲目の「De Drums」で思わず「おおっ」と声を上げてしまいます。キースの本質の2つ目、アフリカン・ネイティブな、アーシーでフォーキーな8ビート曲。アーシーなリズム&ビートが実にアフリカンな響き。これもまた「ジャズ」である。
4曲目の「Still Life, Still Life」は、美しいピアノではじまり、情感溢れるリリカルな演奏が展開される。う〜ん、これもキースの本質、3つ目の本質である。リリカルなピアノ、スピリチュアルな展開、耽美的な響き、5曲目の「Roads Traveled, Roads Veiled」は限りなく美しい。
このインパルスでの「アメリカン・カルテット」の第1弾『Fort Yawuh』は、当時のキースの多面性を良く表したライブ盤です。この多面性がキースの特質で、以降、この多面性を「アメリカン・カルテット」と「ヨーロピアン・カルテット」と使い分けて表現していきます。演奏のレベルも高く、上質の純ジャズです。
震災から4年6ヶ月。決して忘れない。まだ4年6ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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